堀江 敏幸著 青土社
短編集というか、エッセィというか、散文というかは、作者本人にも特にジャンル分けを意識して書いていないと思われす。読まれた方それぞれが判断すれば良いかと。
しかし短編一つ一つが素晴らしい出来です、きっといつかまた読み返したくなるそんな作品ばかりです。
表題作の「おぱらばん」も一体どんな意味の何の言葉なのかはあっと言う間に分かる、そこまで読めば何と言う事も無い不思議な響きの言葉が、短編を読み終わると、その言葉がひどく愛らしくまるで手の中に納まった子猫の様に感じられます。
その他にも単館上映されている映画のタイトルの様な作品名の「留守番電話の詩人」(この話しはかなり好きです!いくつもの全く関係の無い小さな流れが絶妙の関係で合流してこのタイトルの元へと流れ込んできます!最高です)、視覚的広がりと美しさを連想させるタイトルの「貯水池のステンドグラス」(私にとってのベスト1です!ゲラシム・リュカ、いつか読んでみたいです)、タイトルから想像していたカラミになっていったにも係わらずさらに深い仕掛けと繋がりを与えられた「黄色い部屋の謎」、等どの作品も素晴らしいです!
最後のボーナストラックの様な「のぼりとのスナフキン」にもヤラレました!あの(どの、あの、なのかは読んだ人だけ分かります!)スナフキンは確かに独特のスナフキンでした。