井の頭歯科

「エッジエフェクト 界面作用」を読みました

2010年12月6日 (月) 08:37

福岡 伸一、桐野 夏生、柄谷 行人、森村 泰昌、小泉 今日子、鈴木 光司、梅原 猛著      朝日新聞出版

福岡さんの対談集です。福岡さんの本はどれも面白かったので、そろそろ対談集が出るのではないか?と思っていたところだったので早速読んでみました。

基本的にいつもの福岡さんのお話し、なのですが、対談集は相手がいますし、そこに何かが波及していくのが面白いと思います。対談はやはり予定調和な部分があるのは仕方ないかも知れませんが、出来るだけそこを壊そうとする部分があると面白くなると考えます。福岡さんのキャラクターでは難しいのですが、それでも面白かったです。

中でも対談相手として面白かったのは、「OUT」の作者の桐野さんです。「OUT」も「グロテスク」も、小説として私の好みとは少し離れていたのでそれ以上追いかけないでいるのですが、男性論と女性論についてはかなり深くその違いの深さと関係性の理解度の違い、そしてその結果の受け入れ方についてまで、非常に面白かったです。「世界のふるまい」を言葉にする だけ という姿勢は、私の小説を楽しむ視点として全く考えた事が無かったので新鮮でかつ、考えさせられました。

さらに小泉さんもなかなかイイ味です。アイドルであったことを考えると、もっと変にねじれている人がたくさんいる中、とても常識的でまっとうな感覚の持ち主だと思います。皮膚的な部分の感覚を大事にしているように感じる部分も多いですし、それでいていわゆるスピリチュアルなものを合理的に判断できる理性があります。また考えを言葉にするその選び方は、個人的にですが気に入りました。演出家久世さんの言葉は、きっとどのような方にでも伝わる話しではないからこそ、小泉さんから聞くことでヒロガリを感じさせます。上手い言葉だと思いました。

また、知らなかった芸術家、森村 泰昌さんの話しが1番面白かったです。

最も個人的基準である『美』という話しは、とても、とても惹きつけられました。確かに、「万人」の為のものではないですね。当然美しいと思うか、思わないか?が違うはずですから。美術家が語る非常に簡単でしかし切れ味鋭いモノサシ、使い方によってはかなり自由になれるように感じました。違いを受け入れる度量の広さも、もちろん求められますけれど、是非使って行きたいです。股上の話しは非常に納得致しますし、こういう全てが一面的になってしまう傾向が非常に怖く感じます、私も。

最後に福岡ハカセの自著についての言及もなかなか面白かったです。

科学的、合理的判断とその上の話しが気になる方にオススメ致します。

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