オリバー・ストーン監督 松竹
やはり見てしまいました。どうしても少しネタバレありますので、未見の方はご注意くださいませ。
思っていたより、あの長い話しを非常に上手くまとめてよくやっていると思います。アレクサンドロスの関わった3大合戦をものの見事にひとつにまとめあげ、またその合戦シーンの見事さは、考えていた以上に素晴らしいものがありました。出来うる限り忠実にしたい!という監督の意欲(例えば、本当に小道具ですが、その時代の子羊をあしらった豪華なコップがちゃんと使われていたところはかなりびっくりしました!)を強く感じさせます。また、アレクサンドロスを見せる上で避けようとすれば避けられたオリュンピアスとフィリッポスという父母の存在の演出は素晴らしかったです。ただ、オリュンピアスにアンジョリーナ・ジョリーというのはどうなんでしょうか?確かに凄く煩い感じが出ていて良かったですけど。
主役のコリン・ファレルさんは私は初めて見たのですが、少年期のちょっとオドオドしたところと、青年期の演じ分けはなかなか素晴らしいと感じさせられました。乗馬のシーンも素晴らしいですし、見ごたえあります。また、へファイスティオン役のジャレッドさんも「そうかこんな感じもありだな」と思わせますし、イメージを完全には壊されなかったので良かったです。そして回想するプトレマイオスにアンソニー・ホプキンスなんて凄く贅沢なキャスティングですよね。制作費は相当高額だったのではないでしょうか。
そして、インド遠征時での象との戦闘シーン(恐らくポロスとの戦いとその後のぺウケスタスが助ける戦闘をひとつに纏めている)の赤い映像はかなり良かったと思います。ギリシャ的世界から草原、砂漠、そして大都会であるペルセポリス、そして熱帯のようなインド、とその進軍が進むに従った変化も、映像で見られるとやはりもの凄い距離であったことを実感させられます。
が、映画的題材では無かったように感じさせます。どうしてもアレクサンドロスの征服欲が強く出てしまっていてもっと複雑な心情がいろいろあってしかるべきなのですが、その辺はかなり難しいです。
1番気になったのはアレクサンドロスが戦いに負けて帰国に同意する場面ですね。ナレーションでも負けた時点で死んでいればもっと良かったというようなニュアンスがあるのですが、そこは違うと思いました。そしてその辺にオリバー・ストーンらしさを感じてしまいます。負けるて帰ることを善しとしないマッチョな嗜好を感じさせます。が、事実は部下が付き添っていかなかったからであり、戦闘での負傷はありますが、それは既に帰国に向けた後の出来事ですし、負傷した戦闘の相手にも結局(文献上、というただしが付きますが)平定していますしね。
それでも、ファランクスという歩兵密集舞台の動き、広大な地域を支配したアレクサンドロスが見た『景色』を追体験してみたい方にオススメ致します。
ところで、マケドニアって英語では「マセドーニア」って聞こえますが、実際のギリシャマケドニア地方の方ってどういう発音なんでしょうね。