井の頭歯科

「瞳の奥の秘密」を見ました

2011年3月1日 (火) 09:17

フアン・ホセ・カンパネラ監督       東宝

患者さんが劇場で見て絶賛!ですが既に教えていただいた時には劇場公開は終了していましたのでDVDになるのを待っていました。大変面白かったアルゼンチンの作品です。全く初めての監督ですし役者さんも知らない方ばかりですが、脚本が非常に練られている上に構成も細かな配慮がいろいろなされていて、非常に良かったです。

裁判者で働くベンハミンは定年退職してブエノスアイレスに帰り、かつての仕事仲間で上司の美女イレーネに25年前に扱ったいわくつきの事件を小説にしていることを告げます。かつての仕事仲間と、非常に重苦しい事件を回想することで、現実に向き合う何かを掴み取ろうとするベンハミンの心の軌跡を追うドラマです。

場面転換はかなり多いのですが、それを感じさせない作り、しかもストーリィは非常に練りこまれていますし、この脚本をこの構成で見せることがもう上手いです。確かにある意味ベタな展開かもしれませんが、しかし含んで説明しないギリギリのところでもあり、私は好感を持ちました。その脚本に応えようとする主演数人の(主人公ベンハミン、上司イレーネ、同僚のパブロ、そして被害者の夫モラレス、どの人も素晴らしい演技でした。さらに本当に数少ない出演ですがその美貌は飛びぬけている被害者リリアナ・コルトのキャスティングも素晴らしい)やや抑え気味の演技、さらに程よい解析度の映像も、それに被せてくる音楽も素晴らしいです。その上同僚の笑いのセンスがイイです!この軽口が無かったら案外ストーリィには全然関係ないけれど違った印象を持ったかもしれないくらい良い意味で上手いです。

ただし、ある意味非常に恐ろしい映画、でもあります。サスペンスを装った愛の映画ではありますが、私にはモラレスの正義が高じてしまった終着点が、理解できますし『正しい』とも『正義』だとも思いますが恐ろしくも感じます。そして現実にいるこの映画における悪意は恐ろしいです、実際に手を下すのではなく恨みを晴らすための些細な悪意の存在が恐ろしいです。

ミステリが好きな方に基本男の方に、オススメ致します。

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