デレク・シアンフランス監督 クロックワークス
個人的には(というか恐らく大多数の方が)恋愛関係の中で経験されるであろう夢のような甘い1分の時間と、何故にこんなに同じ1分が長く感じるのか?というくらい気まずい時間を見事に再現してくれています。それも男目線でもあり、女目線でも(私は女ではないので多分、ですが)あります。そしてどちらかに完全なる『非』があるのではない(恐らく、客観的に見れば。それでもどちらかの肩を持ちたくなる!)のに、何処かになんとか落とし所があったのではないか?と探したくなる、個人的見解を述べたくなる、そんな映画です。
夫ディーンはペンキ屋で働く男、妻シンディは看護師として家から少し離れた職場で働いています、2人にはフランキーという女の子がいます。どこにでもいそうな2人の、結婚5年後の決定的な破局の1日と、合間に結婚に至るまでの2人のそれまでを細かく差し込んだ、非常に上手く描いた作品です。しかし、非常にリアリスティックに、ドキュメンタリー調に描かれ、しかもある程度の期間恋人と付き合ったことがある人であるなら、誰しもが経験したことがあるお互いの考えが分かる良い共感と、あんなに分かりあえていた(はずの)相手が何を考えているのか分からない実感を切実に切り取っています。
誰かと付き合った経験のある方、苦い経験のある方、そして未だに解決できないコミュニケーションの断絶、あるいは男と女の間にある深い河に、興味のある方にオススメ致します。