諸事情があって転勤する方もいらっしゃると思います。
とくに歯科の場合は治療途中での転院はなかなか難しいこともありますけれど、それも仕方の無いこともありますよね。
そんな時はやはりある程度連携の取れている歯科医同士であればより良い治療の継続性が保障されます。
実はこの4月にも私の医院に通院されていた患者さんが大阪に転勤されたのですが、その際数人の先生をご紹介させていただきました。
もちろん、どの先生も立派な先生ですのであとは通院時間等の関係で選んでいただいても問題ないと思います。
特に関西方面の先生は私の学生時代の友人、先輩、後輩がたくさんいますので(関西はアメリカンフットボールが盛んで羨ましいです!)、その中でも今回は数人ご紹介させて頂きます。
まず、一人目は私の後輩の先生ですが、とても勉強熱心な先生の、橋本先生のハシモトデンタルオフィスです。
既に数軒の医院を経営されている凄腕です。
しかも後輩への教育にもチカラを注がれていますし、確かに歯医者としての腕も(大学生の頃のアメリカンフットボール部ではワイドレシーバーで数々の私のヘナチョコパスをロングゲインに変えてくれたキャッチ力の持ち主が!)確かですし、アメリカンフットボールでの頭脳というか戦略性も、その歯科の中でも見受けられます。後輩ですが、さすがです。
続いてはK・Hデンタルクリニックです。
小久保先生も非常に勉強熱心な方でしたし、一緒に治療にあたっている原先生も私の後輩なんですが、真面目で丁寧な先生です。身体が大きくて心は優しいタフガイです、フットボールでもタイトエンドとして何度も助けて頂きました。
大阪方面に転勤やお引越しされる場合の少しお手伝いになれば、と思います。これからも時々、先生方をご紹介させていただきます。
ゲルシー・カークランド、グレッグ・ロレンス著 ケイコ・キーン訳
大変有名な男性ダンサー、ミハイル・バリシニコフ(日本で言えば熊川さんですね、熊川さんとバリシニコフの踊りは似ていると思います)という天才がロシアからアメリカに亡命してパートナーを組んだのがこの本の著者であるゲルシー・カークランドです。もちろん彼女も偉大なダンサーなんでしょうけれど、バリシニコフ、という天才と比べられ、しかもそのパートナーを勤め、その圧倒的才能と近くで接することがどれほどキツイ現実か?ということを分からせてくれます。もちろん暴露的な自伝という意味に於いても出版当時はかなりセンセーショナルな出来事だったと思います。
有名な振付家であるジョージ・バランシン(彼もロシアからの亡命者)に師事してNYCB(ニューヨークシティバレエ)に在籍して若くして才能溢れるダンサーだったのですが、バランシンの目指す幻想的で物語性の薄い抽象的な演目を演じることに違和感を覚えてNYCBを去り、ABT(アメリカンバレエシアター)に所属するようになります。カークランドが目指したかったのは古典的なロマンティックバレエであって、この自伝の中にも物語やキャラクターの解釈が挿入されているのですが、そのどれもがなるほど、と思わせる解釈でなかなか面白かったです。そのクラッシックなものを踊るにあたって亡命してきたバリシニコフとパートナーを組むことになるのですが・・・というのが冒頭です。
私は別にバレエに詳しいわけではないので、細かな部分に分からない場所も多かったのですが、天才バリシニコフのパートナーになりたくてなったのに、その天才ゆえの様々なものに押しつぶされ、比較というか同じ芸術家としての土俵で勝負することの葛藤が見受けられ、非常に面白かったです。かなりエキセントリックな人のように文章からも感じられますし、話の整合性や、かなり悪露的な部分も多く、信憑性に疑問を抱かざるを得ないのですが、それでも、いやだからこそカークランドにとっての真実、という説得力はあって(ただし!もしこのような人物と仕事をする、という状況に私が置かれるのならば、かなり嫌な仕事環境になるであろう、とは思います。この人自分の中の感情のコントロールもあまり上手くないですし、スポークスマン的な人にも恵まれなかったのだと思います)面白いです。
圧倒的才能との邂逅という状況に、あるいはバリシニコフに、芸術に興味がある方にオススメ致します。
自伝とはそういうものだとしても、他人のプライバシーの切って捨て方はかなり一方的で遠慮が無いです。バリシニコフに対しても恋愛的関係もあり、尊敬する部分を持ちながらも、傲慢さに軽蔑したり、比較されることでのダンスの解釈の違いもあって愛憎入り混じったなんとも言えない関係なのですが、その時々の感情が、その場の態度を決めているように見えます。この本に出てくる関係者はほぼすべての人が怒ったでしょうね。そして薬物の中毒になっていく様が赤裸々でその露悪的な部分が自分にも多少向いているところにも少し共感は持てましたし、面白かったです。そして、こんな風に完璧ではない(すべての)人間は間違いや転向を繰り返している存在なんだなぁ、という気持ちにさせられます。
春日 武彦著 朝日新聞出版
常々、若々しいことは良いこと、という風潮に疑問を抱いてます。そんなに若いことに価値があるのか?確かに若い頃にしかない『何か』はいろいろあるけれど、見た目だけが若く見えることは正直に言って気持ち悪い(実年齢と見た目の差が開けば開くほど何か恐ろしいものを感じます)です。外見 だけ綺麗であったとして何か意味があるんだろうか?人は年をとるものではないでしょう。なので個人的に感じられる『良い年の取り方』の参考になる人を見るといいな、と思います。が、それはその人にとってのスタンスで人によって違って良いですし、当然私が簡単に真似できる物ではないのだからこそ「いいな」と感じるわけです。私が男だからそうなのかも知れないですが、魅力的な男性でも女性でも『若く見える』事が魅力なのではなく「歳相応」であって「崩れていない」ことに魅力を感じるのではないかと思います。ただ、それも今私が40歳だからこそ同世代から50代辺りの方々の中での評価であって、仮に80歳の魅力的な人物は「崩れている」可能性の自覚はあります。
春日先生も、日頃からどうやら「老い」に対する理想を具現化出来ていないようです、あれほどの人でも迷うのか?と思うと私なんか醜態を晒していくより仕方が無いのではないか?とも思いましたが、かなり多角的にかつ、いつもの春日先生節が炸裂しています。本書では「果たして老いを個人として落としこむことが出来うるのか?」ということに挑戦しているように感じました。そしてその手段としての今までの経験や関わった人物の他に、文学からの引用が多く、とても楽しめましたし、考えさせられました。
何歳からが老人なのか?を考えると、なかなか恐ろしいのですが、仮に60歳とすると(春日先生は60歳を初老と感じております)、私も僅か20年未満で初老、果たしてそれまでに「老人」にふさわしい「老人らしさ」を身につけることができるのであろうか?貫禄や落ち着きや深み、自分の欲望への枯渇具合はどうなっているのであろうか?・・・というようなことを春日先生も感じており、私よりも切迫感があるようです。だからこそ、老いの見本帳(ダークサイド版)としての意味もあると記されています。
スマートに歳をとっている目指すべき老人、というものをほとんど知らないゆえ(というのは、若く見える溌剌とした老人という存在にアンチエイジングというような欺瞞を感じるからであり、老人だからこその老人ぽさを感じさせる人が少ない、ということです)、なかなか現実味が薄いのですが「こうはなりたくない!」という老人は見かけることが多い(春日先生の遭遇したパンを落す老人には私も怒りを覚えました、その歳になってそれか!という対処の仕方なんです・・・)ということを考えると、恐らく「老人」というものに対する理想化と刷り込みがあってしかもハードルを高く設定してしまっているのでしょうけれど、老人にしか出来ない物事の収め方や生きた裏づけある知恵のようなものを期待してしまいますし、映画や本やマンガの世界ではよくいるタイプの老人像であるのに現実ではなかなかお目にかかれません。
春日先生も老人に期待するものが大きいようで、だからこそに失望も大きく、そのギャップに苦しみつつも自分が理想とする老人からも遠い存在であることに不安を感じていらっしゃるようです。なので、「老人」ではなく「年寄り」と呼ばれたい、という吐露も何だか分かる気がします。
春日先生が好む作家の中でも藤枝 静男に最も会ってみたかったという話しに納得。非常に腑に落ちる話しでした。だからこそ、春日先生とキリンジの堀込 高樹さんが対談したらすごく面白いんじゃないか?と想像します。普通の感覚からは離れた、それでいて化学反応が起きそうな気がします、お二人の好きなモノが似ていそうな感じがするのです。
誰もが今この瞬間も、1秒毎に歳をとっているという事実に向き合ってみたい方にオススメ致します、辛気臭いようでいて、そうではない認識があります。
先週土曜日に行われた「第44回 良い歯のための集い」に参加してきました。
武蔵野市民の方々と一緒に「歯」について考えたり、歯についての表彰を行ったりする集いなのですが、私は初参加です。今年から、武蔵野歯科医師会に会員として参加することになったので参加したのですが、かなり面白い1日でした。毎年武蔵野公会堂で行われています、入場無料です!
特別に健康な歯をお持ちの方や、お子さんとお母さんの両方に虫歯の無い方、さらに80歳で20本以上の歯をお持ちの方を表彰され、その健康の秘訣を聞いたり、歯に対する講演が開かれたりします。表彰された方々はみなさん喜ばれていらっしゃいました。
その後に行われた慶応義塾大學医学部 歯科・口腔外科学教室 教授 中川 種昭 先生のご講演は非常に面白かったです。専門は歯周病という歯を支える組織の病気なのですが、とても分かり易く、しかも絶妙のタイミングで笑いが起こるその話術は上手く、学問に裏づけされた知識だけでない、人柄も偲ばれる、もっといろいろ聞いてみたくなる講演でした。講演後の質疑応答でも、壇上から降りられて、会場の市民の皆様と一緒の目線に立っての回答が、とても素晴らしかったです。
来年も楽しみになりました!
武蔵野公会堂にて行われる「第44回 よい歯のための集い」の参加の為に11時までの診療となります。
13:30から武蔵野公会堂で行われる「よい歯のための集い」は入場無料です!もし、歯についてなんらかの興味をお持ちの方は是非!私も初参加なのですが、楽しみにしております!