デビット・フィンチャー監督 ソニー・ピクチャーズ
デビット・フィンチャー作品、かなり好きです。中でも私にとっての1番は「セブン」ですし、「ファイトクラブ」も「ゾディアック」も好きです。ちょっと落ちて「パニックルーム」と「エイリアン3」でしょうか?「ゲーム」は風呂敷を広げ過ぎた感じがします。
正直躊躇してしまったのは「Facebook」について何も知らないからであり、予備知識無しで楽しめるか?が不安だったのですが、見た結果としては何も知らなくても楽しかったですし、最近読んだ本の舞台がハーバードだったこともあり、映画としてとても楽しめました。
世界で5億人以上が登録しているソーシャルネットワークサービスである「Facebook」を開発した経緯を追いながら、その中心人物であるマーク・ザッカーバーグとその親友であるエドゥアルド・サベリンとの関係を焦点に絞りながらも、ハーバード大学のヒエラルキー、訴訟、ネット社会、シリコンバレー、執着、起業家、様々な物事や事柄を絡めながら、成長というかその結果を示す物語です。しかも時間軸を切り貼りしているために、非常に画面に集中させますし、ものすごく濃密な時間に感じられました。
まず、冒頭のマークと彼女のエリカとの会話シーンの凄さで画面に目が釘付け状態です、このシーンの話しの噛み合わなさと不穏感、そしてマーク・ザッカーバーグという非常に変わった(なんと言いますか、ルサンチマンを抱え込んだ、しかし天才でもあるのにコミュニケーションスキルが低く、執着ある人物)人物像が理解できます。その喋り方がまた秀逸で早口で何か問題あるのではないか?と受け手に疑わせる、信用ならざる人物として認識させられるのですが、それが僅か数分!です。このシーンは素晴らしかったです。まさに「掴み」が上手い、上手すぎます。
実際の企業の成り立ちを追った作品ですが、実際がどうだったのか?ということは置いておいて(いろいろネットでも見てみましたが、訴訟は事実ですけれど、映画が事実に近いわけでもないようです)、映画としてとても上手くまとまっていますし、面白いです。
古典的、友情と成功と裏切り、一般的成功を収めたモノの苦悩と手に入らざるモノ、というものに興味がある方に、フィンチャー作品が好きな方にオススメ致します。