スサンネ・ビア監督 ロングライド
空いた時間でちょうど観れる映画で比較的興味があったのがこの映画です。
ちょっと調べてすぐ分かったのが(邦題「未来を生きる君たちへ」というタイトルに非常に違和感があったのです)、原題は「復讐」で、断然原題の方が良いです、映画の内容をストレートに表しています。誰がこの邦題付けたんでしょうね・・・
いわゆる暴力の連鎖をいかに断ち切るのか、もしくは暴力というチカラにどのように接していくべきであるのか?ということを突き詰めようとした映画です。なかなか上手い作りであると思いますし、テーマに対しての答えをどう受け手が判断するのか?で評価がガラリと変わる可能性のある映画だと思います。
デンマークのとある学校に転校することになったクリスチャン(写真の右の子)は父親の仕事の関係でヨーロッパ各国で転校を味わってきたローティーンです。母親をガンで亡くしたことで父の生家があるデンマークにやってきます。母親が死んでしまったことに強い憤りを覚えていて、感情を閉ざしています。クリスチャンが通うことになった学校ではスウェーデン人と思われるエリアス(写真の左の子)がイジメにあっており、ひょんなことからクリスチャンとエリアスは仲良くなります。エリアスの父は遠いアフリカの地で医師として働いており、デンマークでは母親と弟と共に暮らしています。母親も医師であり、裕福ながらも、両親は別居中というアリエス、あどけなさを残すものの、やはり日々の生活に葛藤を感じています。そんな時に父が一時帰国することになり・・・というのが冒頭です。
素晴らしいキャスティングの作品で、少年2人の演技が光ります。特に個人的にはエリアスを演じた少年の持つ雰囲気は素晴らしく説得力がありました。たしかに彼が演じるキャラクターに合わせてキャスティングしたのでしょうけれど、上手いです。
いわゆる暴力的なコミュニケーションに対して、どのような対処をするのが望ましいのか?暴力に暴力で対抗することで得られるカタルシスや満足感に身をゆだねる後味の悪さにどのように向き合うのか?という問いかけは普遍的なものですし、単純な解決策はないのでしょうけれど、そこに『この映画の場合』という解決策が示されるのですが、個人的にはこの解決策であり、顛末については軽い違和感があり、この邦題と共に良い意味でも悪い意味でも「教科書的」になってしまっている部分を感じました。
また、時々差し込まれる自然の風景が非常に美しいです。デンマークという国をあまり意識したことはありませんが(有名なサッカー選手数人、ラウドルップ兄弟とか、GKのシュマイケル、そしてアーセナルからは去ってしまいましたがベントナーくらいしか知りません)、湖か海岸に近い場所に家があることでの窓から見える風景は素晴らしいものがありました。
ジュブナイルものに興味のある方に、オススメ致します。