ジェームズ・ワン監督 アスミック・エース
以前一緒に働いていた先生がこのブログを見てくださいまして、なおかつオススメしていただいた作品、久しぶりに見るホラー作品です。
で、いきなりですみませんが、アテンション・プリーズ!
ホラー作品です、ホラー関係に興味が無い方やホラーに抵抗がある方はご遠慮下さいませ。
閉ざされた暗い部屋のはす向かいに、それぞれ鎖に繋がれた男が繋がれています。鎖によって動ける範囲はそれぞれ等しく半径1メートルほどです。浴室のようなタイルばりの窓のない部屋、お互いの手は全く届かない距離ですが話しは出来ます。片方の男は若く、この状況に非常にパニック状態になっていますし、反対側に拘束されている壮年の男も状況は変わらないのですが、少し落ち着いています。そんな2人に、脱出するための、あるゲームが始まり・・・というのが冒頭です。
たしかに、ホラー作品は好みが分かれるジャンルですし、わざわざ怖いものを見たくない、というのも分かりますし、映画だから怖いものが見られる、という人もいると思います。私個人のスタンスですが、いわゆるスプラッタームービーはあまり好きではありません。使った血糊の量を比べることに映画の価値は無関係だからだと思うのです。なので同じ理由で火薬の量を一時期競っていたハリウッド作品も好きではなかったです。映画的な見せ方や、わざわざ『映画』にする何かがある作品が、ジャンルを関係なく見たくさせます。でも、本当のところは見てみないとなんとも言えないですよね。
しかし、だからこそ余計にハードルは高くなってしまうのがホラー作品の特徴だと思います。その行為に怖がらせる以上の、受け手を納得させられる理由があるのか?という部分がより厳しくなってしまうのですから。
偶然選ばれたゲーム参加者の背景が徐々に現われ、さらに様々な展開が用意されているという部分も非常に作り込まれていて良いのですが、だからこその気になるのが殺人者ジグソウ氏の人物像です。
ジグソウ氏の背景、動機、その他もろもろを含めても、この作品だけで終わらせたくない、という意気込みは買います。が、しかし、ならばもう少しこの作品での完成度を高める努力も欲しかったと感じました。とくに動機については全く納得できませんでしたし、最後の最後の伏線については、驚かせるためだけでしかなく、正直興醒めしました。
同様なケースで言えば、「羊たちの沈黙」シリーズに登場するハンニバル・レクター博士の動機はクリアで明確、そしてだからこそ恐ろしく、映画版におけるアンソニー・ホプキンスの演技も相まって素晴らしく説得力もあり、小説におけるレクターは映画とは違った魅力溢れています。また、恐ろしさという点に於いては「ファニー・ゲーム」の手袋の少年2人組こそ、説明をされない恐ろしさもあり、怖いです。が、ジグソウ氏の動機を比べてしまうと弱いと感じます。究極の2択を迫る、わけですから、その根本をみせて欲しかったです、多分続編で明かされるんでしょうけれど・・・
日常から地続きの非日常を垣間見て見たい方に、ホラー作品が好きな方にオススメ致します。