ちょっと体調を崩してしまい更新遅れました、すみません。もう少しで体調も戻りそうです。みなさまも気温の変化が激しいですからご注意くださいませ。
小田嶋 隆著 技術評論社
凄いタイトルの本だなぁ、と思ってみたら、小田嶋さんで深く納得してしまったのでリブロ吉祥寺店(お気に入りの本屋さんです)で購入しました。
以前にも読んだことがある小田嶋さん、非常に言葉、感覚に鋭く、またとても男気溢れる書き手だと思ってます。系統として言わせていただくのであれば、恐らく近いと私が感じるのは、ナンシー関であり、中村 うさぎさんであり、金井 美恵子さんのエッセイだと感じます。鋭く、突然目が見開かされるような思考回路の持ち主ですし、肝も据わっていて、その上まっとうな感覚の持ち主だと思います。決して『毒舌』とか『辛口エッセイ』とかではなく(恐らくそういうくくり方をされているのでしょうけれど)、扱くまっとうでストレートな意見だと私は感じます、欺瞞を見抜く目を持ち、違和感を言葉で流通させられる技術を持つ書き手だと思います。
日経ビジネスオンラインに連載されているコラムをまとめたものなのですが、最近読んだ本の中ではまさに『痛快無比』と例えたくなるようなシロモノでした。また媒体が日経ビジネスオンライン、というのもなんだか笑えると思います。この方はちゃんとブランド物をとの「関係」を語れる方ですし、経済感覚で言うと日経関連で連載して良いのか?という部分がちゃんと笑えます。ブランド物とフェイク物の関係と、経済の話しをここまで明確な文章にしたもの(なんとなく感じる違和感や胡散臭さを正確に言葉で表した)はなかなかお目にかかれませんから。
なので気になった方は是非「草食系をめぐる冒険」だけでも立ち読みしていただけると、この方の切れ味が分かっていただけると思います。ブランドという記号の先、草食系という言葉の裏に潜む腐肉系、そして『結婚』という形態の形骸化というか代用可能性の飛躍化。なかなか納得させられます。
東日本大震災に関連した話題も非常に多いのですが、そのどのコラムも読みがいのある素晴らしいものばかりですし、この非常時における清涼剤であるところの〈笑い〉というユーモアに知性を感じさせつつ考えさせられる、という稀有な技術を惜しげもなく展開してくれます。
著者もまえがきで述べていますが、この本はとにかくいろいろな方に読んでみてもらいたいです。
ナンシー関が懐かしい方に、日本語が読める方にオススメ致します。