ナ・ホンジン監督 クロックワークス
私にとって3作目の韓国映画、というか映画監督の国籍なんて映画の内容には関係ないですけれどね。で、ポン・ジュノ監督は好きな監督と言えますけれどこのナ・ホンジン監督も素晴らしいです!
元刑事のジュンホは今は少しいかがわしい商売で生活しています。そんなジュンホのお店の女の子が立続けに失踪。ジュンホは彼女らに高額な手付金を支払っており、何処かに逃亡しているに違いないと考えていたところに、失踪直前に会っていた奇妙な、そして危ない奴という噂のある得意先の男からの電話がかかり・・・というのが冒頭です。
いわゆる犯罪モノなんですが、これはかなり異色、と言いますか、私は度肝抜かれる展開で非常に驚きました。予定調和を崩す、かなり物議を醸し出しかねない展開です。本当にびっくりしました。
映像もクリアであってクリアになり過ぎない、僅か一昼夜を主に描いた作品なんですが、闇と光の加減が、人物の真理描写まで美しく演出出来ていて素晴らしかったです。
役者さんもとてもよかったと思います、特に主役のジュンホを演じているキム・ユンソク、青年を演じるハ・ジョンウが両方とも素晴らしかった。かなり説得力ある演技でした。当たり前ですが、言語が分からなくとも、激情、憤怒、不貞腐れている時の表情はちゃんとそういう表情なんだなぁ、と実感してしまいました。
リアリスティックな映像、役者さんの演技、度肝を抜くストーリィ、躍動感溢れる演出、素晴らしかったです。特に主人公ジュンホの、オトナが見せる必死さの源を感じさせる演出と演技には心動かされました。もちろんその本質を、言葉を使わずに、しかし見ているものに強く理解出来る演出、そしてそれを具現化した照明、カメラ、役者さんの演技等々全てが揃った結果だと思います。
ホラーな展開や、サスペンスが好きな方にオススメいたしますが、かなりの衝撃作だと思います。
で、それでもちょっとだけ気になった部分は、やはり圧倒的な警察の能力の低さと、子供の怪我の意味が分からなかったです。