高橋 秀実著 草思社
私も相撲は国技とばかり思っていたり、神事であるのだから、という思い込みであったことを、知らされる非常に示唆に富んだものが本書です。またまた知り合いからオススメしていただき読んだ次第です。
読んでいただくしかないんですが、実は国技とは○○○であった為であるとか、力士になるには○○○なくなってしまうものであり、とまさに驚愕の事実を突きつけられます。実際は非常にファジーな文化であり、相撲なのです。
この先内容を書いてしまいますので、興味のある方は是非本書を読んでその衝撃を味わっていただきたいです。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
まさに「なんとなく」の世界が相撲。そのことを取材や体験に基づいて、しかもおっとりした文体で書かれることで、より分かり易くなっていると思います。力士や相撲取りを目指す最大の動機は「周囲の勧め」であり、「気がついたらなっていた」という「なんとなく」さ。
立会いの申し合わせも本来は1時間くらいかかっていたそうですが、ラジオの放送の為に制限時間を設けます。しかしそれまでは「なんとなく」呼吸が合うまで立ち会わない。1950年(だから昭和25年、相撲の歴史から言えば 最近 の出来事)3人横綱が休場することになって困ったから出来た横綱審議委員会、それまではあまり困らなかったわけですね。
とにかくびっくりする話しばかりで驚かされます。戦争中の相撲と軍部の関係も想像を絶するものがあり、しかしそんな激動の時代であってもゆる~い相撲はあまり姿を変えずに残っていく様がなるほど、と膝を打たせます。
結局のところ、いろいろな騒動はあっても相撲は形を微妙に変えながら、伝統として残ってゆくのであろう、という認識が持てました。なんのかんのと言われるのは所詮言っている側の妄想や思い込みであり、「国技と称されている」ということに尽きると言ってよいと思います。この部分を懐が深いと感じるか、あいまいと感じるかで評価が分かれる部分でしょうけれど、そういうもの、なのだと私個人は感じました。
おすもうさんが好きな方にオススメ致します。