じゃんぽ~る西著 飛鳥新社
何気なく手にとったいわゆるエッセイ漫画。エッセイ漫画のブームはかなり続いていることを確認しますね。私が知ったのはけらえいこ著の「セキララ結婚生活」辺りだったような?伊東 理佐著の「やっちまったよ一戸建て」で完全にハマりました(それ以外にも西原 理恵子作品はかなりの確立でエッセイ漫画ですし、意外に面白かった安野 モヨコ著「監督不行届」、川原 泉著「事象の地平」もエッセイ漫画と言えなくも無いと思います)が、何気に身辺雑記をありのままを出されるとつまらないということもあり、徐々に手に取らなくなっていったのですが、この本はそれなりに面白かったです。やはりフランスなんて行ったことがないですし、知らないだけに楽しかったのかも知れません。
著者である漫画家じゃんぽ~る西さんがフランス滞在中に出会った非常に男目線での様々な文化のギャップを、面白おかしく紹介してくれます。文化大国と呼ばれるフランスを、一介の日本人男性が素朴に描いているんですが、やはり日本文化がどのように映っているのか?とか、勝手な日本側の思い込みのような部分との、それぞれのギャップが面白いです。
男目線ですから、当然女性関係の部分、特にイタリア人男性(世界のナンパ師!はどうも本当のようですが、私個人はそうではないイタリア人を知ってます)と日本男性とフランス男性(ここでは日本女性から見た理想の男性と、じゃんぽ~る氏の友人であるフランス人とのギャップも面白い)の違いが出てきて、凄く面白いです。じゃんぽ~る氏のモテない事、共感できます。また海外にいる日本女性が『海外に出なくて済むから案外○○(オチなので伏せました~)が多い』という発言の説得力(本当かどうかが私は海外に出た経験が無いのでわかりません・・・)はすさまじいものがありました、納得。美人というかオリエンタルと言うものへの憧れ、というのが何となく見えて面白かったです。ビズという習慣も、なるほど、という目線の低さがあってよかったです。
また、日本文化が輸出されている!と強く感じさせる親日家の存在、そして言及される佐田啓二や小津安二郎作品なんかもなかなか面白い切り口で批評されていて魅せるのですが、それよりももっと大きな影響があるのが漫画、アニメ文化なんですね。ジャパンエクスポの存在も知らなかったですし、一般人までもがドラゴンボールや高橋留美子作品を知っている、ということを知らなかったです。アニメ作品、相当海外でも受け入れられているみたいですね。その辺の描き方も結構良かったですが、某かの連載の為なのか?2ページで1話題というのが、ちょっともったいないと感じました、せめて6ページくらいでやって欲しいです。
また、フランスでの住宅事情(ホントに底辺だと思いますが)、もちろん有名なパリオペラ座(世界最高峰のバレエ団)の話し(バレエに詳しくない人が最高峰を見るとどうなるのか?や、その場にいた紳士淑女の方々への冷静な目が最高!)、かなり面白いです。しかしマッツ・エックの「ベルナルダの家」は観てみたい作品です、その当時はエトワールのマニュエル・ルグリが出演していたはずですし、映画「パリオペラ座のすべて」(フレデリック・ワイズマン監督)でもチラリと映像が観られるんですが、非常に斬新な感じがしましたので。
フランスに行った事ある人にも、フランスに行った事無い人にも、オススメ致します。