クリストファー・ノーラン監督 ワーナー・ブラザーズ
アメリカンコミックの作品は実は全然読んだ事が無いのですが、評論家 宮崎 哲弥氏が映画「ダークナイト」が傑作、という主旨の話しをしていたことを知って初めて観ました。その「ダークナイト」(の感想はこちら) があまりに面白く考えさせられたので、その前作(クリストファー・ノーラン監督のバットマンを扱った映画は3部作で完結、「ダークナイト」はその2作目)である「バットマン・ビギンズ」(の感想はこちら)も観てみたのですが、こちらは個人的にはそれほどでもない感じだったのですが、やはりあまりに「ジョーカー」の存在が凄かったので完結編である「ダークナイト・ライジング」を観てきました。
結構期待してましたので、せっかく劇場で見るならやはりより良いスクリーンで観たくなり、IMAXという臨場感が素晴らしいというユナイテッドシネマとしまえんで観てきました!さすがのIMAX、音響も素晴らしくて映像も綺麗で画面がやたらと大きく感じます。
前作「ダークナイト」で描かれたジョーカーとの戦いから8年後、ゴッサムシティ(という架空のアメリカの都市)は平和な時間を過ごしていました。この8年の間はバットマンであり大富豪のブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は人前には全く姿を表さずに隠遁生活をしています。その屋敷の家政婦として働くセリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)は実は泥棒であり、ウェインに食事を運ぶ役目を利用してウェインの自室に入り込むのですが・・・というのが冒頭です。
とても、とても長い映画でした。全編で165分!2時間45分ですよ!かなりの長丁場でした。で、絵としてはかなり飽きのこない演出や努力がなされていて、確かに綺麗で美しいですし、息を呑む描写もあって良いです。音楽も邪魔にならないで効果音も派手で良いと思います、この映画は娯楽作品ですから、エンターテイメント性が問われるわけで、その点は充分です。新たなバットマンの器械、乗り物出てきますし、そういうガジェットとしても良かったです。冒頭のベイン登場シーンである飛行機のシークエンスも素晴らしいです。
役者さん方、主役のクリスチャン・ベール、相手役ベインのトム・ハーディの肉体、ヒロインのアン・ハサウェイのコケティッシュ、執事役のマイケル・ケインの目の演技、ゴードン本部長のゲイリー・オールドマンの不屈さ、科学者で社長フォックスのモーガン・フリーマンのクール、熱血警官のジョセフ・ゴードン=レヴィットの秘めたる熱さ、それにこのシリーズのあの人たちもチラリと出てきますし、驚いたのがマシュー・「ホテル・ニューハンプシャー」・モディーンが!年取ってる!!びっくり。という大変豪華なキャスティングでして、どの方も頑張ってて良かったです。どちらかというとお姫様的イメージの強かったアン・ハサウェイは特に良かったです。アンニュイな感じも、陰のある過去を背負った感じも良かったですね。ベインの身体つきや声も不穏な感じが出ていて良かったと思います、あの「ジョーカー」の上を期待されるのを分かって引き受けたトム・ハーディはそれだけで凄いと思います。
「ダークナイト」を見た方に、ジョーカーの、ヒース・レジャーの凄さを際立たせたい方に、オススメ致します。ただ、「ダークナイト」よりも私は好きになれませんでした。
アテンション・プリーズ!!
ちょっとだけネタバレのある感想です。ので、既に観賞された方に読んで頂きたいです。
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ベインの目的が全然ワカンナイんです・・・なんでゴッサム・シティにそこまでこだわるのか?たかがアメリカの1都市じゃないか?インドだかチベットだかの組織になんでアメリカ人がこんなにたくさんいるのか理解不能。しかも手下たちがベインの言うこと聞きすぎるし自己主張が全然ないことへの説明が無いので説得力が落ちるのです。証券取引所を襲っての被害がたった1人のためというのも理解出来ませんでした。スタジアムをわざわざ襲うのも動機がワカンナイのです。またバットマンの車を奪ったのなら、最も危険な新しいホバータイプの奴も探しますよね?普通。バットマンに止めを刺さない理由もイマヒトツだし、ベインの強さを短期間でバットマンが超えるのもちょっとご都合よ過ぎると思います。身体的強さを、意志の強さで、魂の強さだけで押し切るのに無理があるような・・・ベインの最後なんかあまりに哀れな扱われ方でかわいそうな気さえしてきました。
特に理由や動機が分からないと個人的には醒めてしまうんですが、やはり1番納得いかなかったのはベインの計画が叶うとベインも死ぬわけだけど、それは無理心中テロということですか?という部分です。他にもかなりいろいろツッコミどころ満載のストーリィでして、個人的には残念な観賞になってしまいました。