井の頭歯科

「裏切りのサーカス」を見ました

2012年12月25日 (火) 09:06

トーマス・アルフレッドソン監督     ギャガ

ジョン・ル・カレ原作作品なのと、ポスターがカッコよかったので劇場に観に行きたかったんですが、時間が合わず断念、DVDになったので早速見ました。スパイものですし、なにしろジョン・ル・カレ原作映画は友人にオススメしてもらった「ナイロビの蜂」(の感想はこちら)も面白かったですし、トーマス・アルフレッドソン監督作品「ぼくのエリ 200歳の少女」も良かった記憶が残っているので期待して見ました。

東西冷戦下のイギリス。イギリス諜報機関MI6(通称サーカス)は作戦失敗や情報漏洩から組織内に2重スパイである『もぐら』がいりのではないか?という疑惑が持ち上がっていました。組織のトップであるコントロールと呼ばれる人物はなんとか『もぐら』の情報を得ようと、幹部ジム・プリドーを他国のスパイに接触させようとするも失敗、プリドーは銃弾に倒れ、その責任を負ってコントロールはサーカスを辞め、その右腕であったジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)も一緒に引退します。このことによってサーカスは4人の幹部によって運営されることになります。しかしその4人をそもそも怪しんでいたコントロールはそれぞれにコードネームを付けて探っていました。新たなトップの「ティンカー」ことアレリン、その補佐「テイラー」ことヘイドン、勇敢で愚直な「ソルジャー」ことブランド、小心者の「プアマン」ことエスタヘイス。その後コントロールは『もぐら』を見つける前に病没し、新たな事件が起こったために大臣からの密命を受けたスマイリーが「もぐら」を探すのですが・・・というのが冒頭です。

スパイものであり、サスペンスであり、ミステリーですので、ネタバレなしの感想ですが、非常によく出来た映画でした!映像美に、細部にこだわったスタイルある作品に仕上がっていると思います。当時の車やスーツ、あるいは食事風景やらホテルの佇まいまで、とてもよく出来ています。そして見せ方も上手いですし、上手すぎないのです。こういう人物劇の場合、特定の人物を理解させるのにキャプションを使ったり、非常に特徴的でステレオタイプな配役や演出をすることが多いと思うのですが(テレビドラマならともかく、映画の尺を考えると群像劇は難しいからこそのやり方だと思いますが・・・)、そのような方法を用いないで、しかも理解させ、端折れる部分は徹底的に端折っているその匙加減が絶妙だと思いました。容疑者を見せるのではなく、その前の過程を見せることで分からないままにも、スマイリーという過去のサーカスを知っている者にとっては普通、という筋が通っているのです。だからこそ観客も最後まで緊張感が残ります。

細部の中でも個人的にはスーツが最も気になりました。ギラムというキャストが着ているスーツ、スマイリーが着ているスーツ、そして「もぐら」が着ているスーツが素晴らしい!こういうスーツ、そして中の襟が大きなシャツがカッコイイ。理解してますが、決して私が着てカッコイイスーツではないんです、カッコイイ人が、人としてある程度見られることに慣れた、そして熟成された人が醸し出す『何か』がある人だけが出せる貫禄が、このスーツをさらに美しく、シックで、官能的でありつつも仕事着に見せるんだと思います。きっと凄く高いのでしょうし、私は基本的にファッションに疎い人間なのでどうにも分からないんですが、とにかく素敵です。スマイリーが基本的に抑えた茶系のスーツであるのに対して、部下ギラムが着るスーツはストライプあるダークな青系等の細身のスーツ、いいです。そして「もぐら」の着ているスーツが、は、ネタバレになりかねないので控えますが、カッコイイです。

役者の中で目を引いたのは、やはりゲイリー・オールドマン。渋い、渋すぎる。そしてリッキー・ターを演じたトム・ハーディ。無骨な男の追い込まれた姿を上手く演技できていると思います。そしてジム・プリドー役のマーク・ストロングも素晴らしかったです「キック・アス」のあの悪役さんだなんて気が付かなかったです。もちろん、コリン・ファースも素晴らしい。

スーツ姿が好きな方、スタイリッシュな映像が好きな方に、そしてイングランドが好きな方にオススメ致します。

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