井の頭歯科

「脳男」を読みました

2013年2月12日 (火) 08:01

首藤 瓜於著         講談社文庫

読書家の方にオススメしていただいたサスペンス作品です。非常に良く出来た設定だと感じました。手にとって良かったです。

大柄な刑事である茶屋は連続爆弾犯を割り出し、やっとのことでアジトを突き止めます。既に数件の爆破事件を起こしている犯人をこれ以上好きにさせていられない、という強い信念で捜査を続けてきたのです。しかし、単独犯と思われたアジトにはもう1人の男が存在し、仲間割れをしているようで・・・というのが冒頭です。

全くネタバレなしで、事前情報は少なければ少ないほど、面白く読めると思います。ので、内容には触れませんが、プロットは素晴らしく、設定も優れていると感じました。また伏線の回収も見事、そして何より秀逸なのはキャラクターです。これだけ揃っていれば、非常にリーダビリティ高い作品であることはご理解いただけると思います。

アラを探そうとすればある程度あるとは思いますが、それはこの際置いておける、という気持ちにさせてくれるくらい上手いと思います。

正直な感想として言えば、もう少しひねってくれ!という感覚には陥ります。○○に恵まれすぎているということ、そして○○が何故このような意向を持ったのか?が全然分からないので、きっと次回作(があるのか知りませんが・・・)でやりますよ、ということなんでしょうけれど。

思い出されるのは「スメル男」原田 宗典著におけるマキジャク、です。非常に感情がそぎ落とされたキャラクターで似かよっていると思いますが、よりチャーミングに仕上がっていると思います、ストーリィとしても非常に面白い話しだと思います。映画化しないかなぁ・・・知ってる人は少ないかもしれませんが、もし映画化するなら、ずっとこっちの方が面白そうなんだけど、この「脳男」が映画化されたみたいです。で、主役の女性は納得出来るも、男の主役がかっこよすぎる。どう考えても一見普通すぎるくらい普通の特徴が無い男、だからこそ(ネーミングから考えても!)怖いし不穏なのだと思うんですけれど。日本の映画のほとんどが(たぶんテレビも)キャスティングありきで始まってるんだろうですけれど・・・

映画「羊たちの沈黙」ジョナサン・デミ監督作品、およびその原作トマス・ハリスの「レッド・ドラゴン」、「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」、「ハンニバル・ライジング」が好きな方にオススメ致します、スケールはかなり小さいけど、そういう小説です。

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