井の頭歯科はカレンダー通りに診療しています。今週は2日木曜日も通常通り診療致しますので、よろしくお願い致します。
また緊急な痛みが出てしまった場合は、公益社団法人武蔵野市歯科医師会にで休日応急診療体制をとっております。担当の先生がそれぞれの日にちに救急対応していただけます。診療時間は9時から17時で12時から13時まではお昼休みとなっております。
5月3日 星野歯科医院 37-6736
5月4日 山口歯科医院 54-0212
5月5日 増田歯科医院 52-2088
5月6日 後藤歯科医院 20-2961
です、万が一の場合はご連絡してみてくださいませ。
ですが、やはり普段からの定期的検診こそ、痛くなる前、困る前のクリーニングが最も重要であることは間違いありません。ご自身の歯を守るのはみなさんご自身しかいらっしゃいません。私たち歯科医は健康を守るお手伝いが出来るだけなのです、是非治療ではなく、予防して行けたら、と思っています。虫歯になれば削ってしまうしかなく、削れば何かしらの異物を詰めるしか無いのです。異物が入った歯はまた細菌の侵入を受けやすいのです、異物との境界線を作っていますので。
内田 樹 、 岡田 斗司夫 著 徳間ポケット
あの岡田さんと、あの内田さんの対談本!かなり読む前から興味をそそられました。こういう対談本はあっという間に読めますし、何より面白いんですが、この2人だと化学反応が起きそうですし、実際非常に面白い対談だと思います。岡田さんの対談本は少し前に読みましたが(「マジメな話し 世紀末・対談」岡田 斗司夫著の感想はこちら)、非常に面白い聞き手であり核心を突いて話しを引き出すのが上手い方、とてもインタビュアー向きな方だと思います。
内田さんはそれこそ非常に面白くて切れる頭の持ち主であり、私も何冊かの本を読んでいますが(中でも精神科医春日 武彦さんとの共著「健全な肉体に狂気は宿る-生きづらさの正体」角川Oneテーマ21は大変面白かったです)、ちょっと自分の考え方の死角を照らしてくれるように感じられます。そして身体と心についてのまたはその関わりへの洞察鋭い方ですのでその辺りも面白いと思います。
割合対照的な2人だと思うのですが、そこを上手く操るのが岡田さんの上手いところだと思うのです、実際とても面白くて、しかもまえがきで岡田さんが語っている部分がある事で、本書の導入として素晴らしいと感じました。
納得し、同意してしまう事多数なんですが、中でも「イワシ化」する社会や「自分の気持ち至上主義」という言葉の考え方、なにより決め台詞のようなインパクトが素晴らしいです。自ら論理的に考えたりしないで、気分がすべてを決定してしまうことの怖さを表していると思います。気分は様々な要素で変わるし変える事が出来るけれど、考えをすすめるには自らが介入し頭を使って考えなければいけないのですが、その事を端的に表せていると思います。
評価と贈与の経済学、というタイトルがおよそ全てを表しているのですが、評価されることの価値、そして贈与という行為の意味を、言葉の意味以上に、今からの(今だけでないところに大きな意味があるのですが!)付加されていくであろう意味を読み取ってお互いに確認しあう部分が新鮮で面白かったです。
ただ、全面的に賛同出来るわけではなく、個人的な感覚としてですが、評価と贈与という行為は今までも行われてきたし、これからも行われてゆくであろうと思います。それがより確かな基準というかルールや慣例になるかどうか?がまだ不明で不安定なだけなのですが、定着するのはなかなかに難しいとも思います、この高度資本主義社会においては。まるでマイケル・サンデル教授の「それをお金で買いますか?–資本主義社会の限界」(の感想はこちら)の話しを未来の視点から見た話しに近いのではないか?と感じました。社会的慣例やルールになれば良いとは思うものの、それには個々人がより賢く、論理的にならなければいけないと思うのですが、マキャヴェッリの「人は見たい現実しか見ない」じゃありませんが感情的に流されやすい生き物だとも思うのです。
それでも、異論を挟みつつも、という事ですが、個人的に贈与の重要性を認識していなくとも、この評価yと贈与という行為は繰り返され連綿と続いてきた行為であることのは充分同意できますし、それこそ今必要な認識であると思います。
そして岡田さんの現状分析や行為の裏いある隠された欲望の読み取り方の凄さ、そしてそれを様々な形でパラフレーズして説明する能力がとても高いと感じました。内田さんの分からない事への追及の仕方、2人の認識が合意に至るまで繰り返される核心を突く質問や例えの出し方で、より深い理解に繋がったと思います。
経済、に興味のある方に、そして理解に至る道の面白さに興味のある方にオススメ致します。
東中野にある映画館ポレポレ、初めて足を運びました。ドキュメンタリーの傑作という噂を聞いたのと、DVDにする予定が無い、との事で観ました。
「隣る人」
刀川 和也監督 アジアプレス・インターナショナル
事情があって親と暮らせない子供を預かり育てる、という施設に密着しカメラを回しているドキュメンタリー映画です。いわゆる「児童擁護施設」のひとつを追いかけているのですが、私には衝撃的な映画でした。子供、というまだ弱くて未成熟ではあるのですが、自我が存在する人間を育てる、という事がどういうことなのか?を突きつけられる映画でした。
児童養護施設で暮らしている保育士マリコさんが担当する2人の女の子、小学校低学年と思われる少し言葉使いは悪くて駄々っ子のムツミとやはり小学校低学年の甘えたがりのマリナ。さらに数十人の子供たちに加え、職員の数も多いですので、下駄箱はなかなか壮観な光景になっています。そんな毎日を淡々と映し出すのですが、その淡々とした日々の中にも大きな起伏があり・・・というのが冒頭です。
子供という人間の存在を、その純真であるが故のもどかしさを感じずにはいられない作品でした。またその子供に、そしてこの施設で暮らす子供に寄り添うのが保育士さんという方々です。この方たちの、真に純粋な考え方をもった方々がいらっしゃる事そのものが素晴らしい事だと思います、とても真似できない、そしてこの保育士さん方のご家族はどうしていらっしゃるのだろう?という素朴な疑問(ここまで施設の子供に寄り添う生活をすることは、現実の家族との繋がりを希薄にすることに他ならないのでは?)さえ浮かぶくらいの献身ぶりです。
わずかに感じさせる恐らくキリスト教の影響を感じずにはいられないものがありました。信仰という人を突き動かすチカラの凄さを感じずには居られません。
また、あるシーンで泣く泣く別れを経験する子供の、真剣な恐怖は、戦慄を覚えるほどのショックがありましたし、終盤ある子供に流れが収束してゆくんですが、その顛末の親子である2人のそれぞれの想いが、蟠りを感じつつも良かったと思え(のは、この後2本立ての「はちみつ色のユン」を見たからで、この2本立てを考えた人が凄すぎる!!!!!)ました。
保育士さんと子供の繋がり、そして子供たちの喜怒哀楽の激しさの中に、心打つ物があり、正直言って結構ショックでした。私はどちらかと言えば『家族』に対してそれほどの強い繋がりを求める方ではありませんし、結局のところ、血の繋がった『他者』であることに変わりないと感じてるんですが、やはり子供の頃がいかに恵まれていたのか、と思わずにはいられませんでした。いろいろは感謝はしております。
単純な面白さ溢れるエンターテイメント作品とは言えないけど、多くの人が観れば何かが変わるのではと期待をさせるくらいの衝撃度で少々疲れてしまったのですが(でも観て本当に良かった)、続けて観たのが「はちみつ色のユン」です。個人的にはこちらの作品の方が心に迫るものがありました。
「はちみつ色のユン」
ユン ローラン・ボアロー監督 トリウッド=オフィスH
朝鮮戦争の際に孤児となり、ヨーロッパへと養子縁組でやって来た5歳のユンは、韓国の何処で生まれたのか?母親や父親がどんな人であったかさえ知らずに、ベルギーのある一家で「家族」として育てられます。「家族」は両親と4人の兄弟からは家族として触れられているのに、何処か素直になれないユンは・・・というのが冒頭です。
こちらも『家族』を扱った作品です。朝鮮戦争について詳しくは知りませんが、しかしとにかく、ベルギーを含む様々なヨーロッパの国々が養子縁組を引き受けた、という事実に衝撃を受けました。アジアではなく、欧州というのがびっくりでした。
この状況に置かれて育ったユンがアニメーションで回想部分を表現し、祖国である韓国を尋ねる現代部分を実写で扱うというのが新鮮でしたし、アニメーション部分のディフォルム具合が絶妙にシリアスになりきらないが、しかしリアルというラインで見せてくれるので、非常に引き込まれました。
ユンが疎外感を感じつつも、しかし、人が育つ、という過程においては様々な事が起こりうるし、順風満帆であるはずがないし、感情の齟齬を乗り越えるからこそ、何気ない一言が、過去の出来事を繋いで、納得してしまったりする日常の中で起こる、何気ないけど劇的な瞬間を見せるのが非常に上手かったと感じました。
家族というものは作られるものであるのだなぁ、という事を実感しました、血の繋がりよりも、民族よりも、その育ち生活する過程の重要性を確認させてくれます。
家族について考えて見たい方にオススメ致します。
武蔵野市の1歳6ヶ月健診に参加してきました!なんと今回は118人!!の参加がありました。お子さんとお母さんの健診だったのですが(何故かお父さんは健診させてくれないのがちょっとひっかかります、1名のお父さんが参加されていたにも関わらず健診は出来ませんでした・・・)双子のお子さん方も含めて100名超えたのはびっくりです。午前中の3時間ほどでその全員を健診して衛生士さんの歯ブラシ指導まで出来たのはスタッフの方々のおかげだと思います。歯科医師も歯科医師会から私を含めて3名での対応でしたが、非常に大変でした。
1歳6ヶ月の子供にはアンパンマンが非常に効果ありますね、助けられました。
実は先週末から体調を崩しまして、日曜日に行われた松本歯科大学校友会東京都支部総会を欠席してしまいました、本当に申し訳なかったです。仕事はなんとか出来ましたが、聞き苦しい声でしたりしてご迷惑お掛けしました。体調管理も大事な仕事、もう少し気をつけねばいけません。
そして、個人的に大好きで新譜が出れば必ず購入するキリンジという兄弟のバンドから、弟でヴォーカルの泰行さんが脱退されてしまいました。去年の10月に、このニュースを聞いた時は驚きましたし、まさか、という思いでした。
好きなアーティストやバンドや歌手の事を話すのは恥ずかしく感じます、それは私にはセンスが無い事を吐露することになると思ってしまうんですね。でも心から好きと人にも言えるようなアーティストが「キリンジ」です。素晴らしい曲がたくさんあますし、いろいろな思い出と分かちがたくなってしまっているので、聴くだけでその当時の匂いや想いや光が思い出されます。
そんな中で今回は「Drifter」を。ジェーン・スーさんという方(頭脳明晰な方!)がブログでキリンジについて語られているのですが、名言「キリンジには借りがある」は、きっとキリンジが好きな方にとってみんなが当てはまると思います、私もその1人です。
これからはそれぞれソロになって新譜が今までより倍出るんだ、と思ってます。
サラ・ポーリー監督 ブロードメディアスタジオ
新作DVDコーナーに出ていたので借りてみました。結構気になってたのは主演の2人がミシェル・ウィリアムズとセス・ローゲンだったからです。映画「ブルー・バレンタイン」の演技が凄まじかったので興味湧きましたし、セス・ローゲンが関わっている映画はどれも個人的な好みだからです。
結婚して5年目のフリーランスのライターであるマーゴ(ミシェル・ウィリアムズ)と料理レシピ本のライターであるルー(セス・ローゲン)は仲睦まじいカップルではあるものの、何処か空疎な雰囲気に包まれた状況です。ライターとして記事取材で訪れたある島で知り合った男ダニエル(ルーク・カービー)と意気投合するのですが、偶然にも近所に住んでいることが分かり・・・というのが冒頭です。
恋愛モノは落とし所が難しいと思いますし、共感させる為の伏線なり仕掛けが重要だと思うのですが、そのひとつひとつが割合丁寧ではあったと思います、少しありきたりでベタでチープだとは思いますが、だからこそ共感できるというものだろうと思います。
何よりも、役者ミシェル・ウィリアムズの演技の素晴らしさが光る作品です。アンニュイな日常に檻としての閉塞感を感じていることが、言葉では全く説明されていないのにも関わらず、しかも演出だってくどいわけではないのに、演技で、表情で、気分の浮き沈みの激しさで、見事に表現されています。夫婦である2人がいちいち言葉に出し、確認している表層的な挨拶や言葉が、いかに空疎で上辺だけの間柄であるのか?というのを、また、その過程を見事に演じていると感じました。何かの分かり易いターニングポイントがあったわけではない、日々の日常の中で積み重なった様々な感情の澱のような物が現実味を奪ってゆく推移を上手く描けていると思います。
ストーリィとして、果たして良いのかどうかは疑問を覚えますし、正直予告編の切り口が正しいとも思えませんが、共感を呼ぶ作品であることは事実だと思います。そして共感を呼ぶのであるならば、是非見ていただきたいドラマだと思います。
ある意味映画的なクライマックスが終わった後を描く物語、そのストーリィはともかく、着地点は素晴らしいものがあると感じました。
ストーリィの終末、ある人物の吐露にこそ真実があると感じました、おっしゃるとおり。しかしいろいろ衝撃的な映画でした。
ミシェル・ウィリアムズが気になる方にオススメ致します。