今、というかここ数年で最も続きが読みたい漫画に「ヒストリエ」岩明 均著があります。現在7巻まで出版されている歴史モノなんですが、紀元前330年くらいのマケドニアという、ヨーロッパとアジアを繋ぐ地方の話しです、今のところ。とても有名なアレキサンダー大王(正確にはアレクサンドロスⅢ世)の書記官として東征に従軍し、大王の死後、後継者戦争(ディアドコイ戦争)において将軍という、記録する係りであったのに記録される側に回るエウメネスという人物を主人公にした漫画です。
とても壮大な物語になりますし、未だアレクサンドロスⅢ世(の活躍をまとめた本の感想はこちら)の父であるフィリッポスⅡ世の治世の話しですから、とてもとても長い漫画になるであろうことは理解していますけれど、どうしても続きが、アウトラインだけでも流れを知れないか?と思い読んだのが「プルターク英雄伝 8」のセルトリーウスとエウメネースの対比項目です。
その国に縁があるわけではないが、武勇に優れ、さらに知性を感じさせる人物として対比されています。漫画「ヒストリエ」の中でもエウメネスが惹かれ憧れる人物にホメロスの「オデュッセウス」という知性で戦う人物が挙げられています。そんな人物の末路はとても哀しいものでした。いかに武勇に、戦闘に優れ、先を読む能力が高かろうとも、信頼を勝ち取ることの難しさを物語っていました。対比されるローマ人のセルトリーウスよりも影のある人物として語られています。
もちろん漫画ですから、そして基本的には歴史を扱ったものですから、史実を曲げることはないでしょう。しかし、それでも、経過を見せることでニュアンスは変わってくると思います。どのような岩明さんの手によるエウメネス像を見せてくれるのか、大変楽しみです。最もこれまでのペースでも相当時間かかるのでしょうけれど、何とか続いて欲しい漫画です。現在はまだフィリッポスⅡ世がギリシャ世界の覇者になる(ことでアジアに向かえるんですが)為に行うカイロネイアの戦いさえ描けていないわけで・・・(エウメネスの半生を振り返るとしてもまだ序章も始まってない感じがします・・・)不安もありますが一ファンとしては待ち続けるだけですね。
今までは1年に1冊くらいのペースで出版されていたのに、第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞しているのに、ここ1年6ヶ月も刊行がありません。それでも期待は高まるばかりです。