明日、2月28日の午前中は「歯つらつ健康教室」に参加する為に午前中は休診致します。
「歯つらつ健康教室」は食べ物を飲み込むチカラを維持したり、お口の健康を維持するための教室です。来年度も3回行われますので、その前にまたお知らせいたします。
2月も明日で最終日です、3月もよろしくお願いいたします。
カス・ヴァン・サント監督 ギャガ
とある友人にオススメしていただいたので見ました、凄く久しぶりにニコール・キッドマンを見ましたし、カス・ヴァン・サント監督作品を見るのも久しぶりです。そういえばマット・デュロンも歳とったよな〜と割合軽く見てましたが、これが意外なほどの良作でした。オススメしてくれた友人に感謝。
テレビに映る、その1点のみが人生における意味、という非常に偏った意見を持って育ったスザーン(ニコール・キッドマン)はとても派手な女性です。そんな彼女は繁盛しているイタリアレストランを経営している羽振りの良い父を持つラリー(マット・デュロン)と結婚します。ラリーはスザーンを溺愛しており、幸せな生活を送ることになると思っていたのですが・・・というのが冒頭です。
とにかくネタバレ無しで実際に見て頂くしか、この作品の良さをお伝えするのが難しいのですが、編集の妙ももちろんありますし、徐々に事態の推移を知らされることでのサスペンスもあります。スザーンやラリーの周囲の人々のインタビュー取材から浮かび上がってくる過去を知っていく構成になっています。
で、なんといってもニコール・キッドマンの怪演がこの映画の見せ場だと思います。あまり見かけることのない人物を全力で演技している姿が印象的です。個人的にはどのようにしたキッカケでスザーンのような人物が成り立っていったのか?が気になりましたが、そこは描かれません。何故なら、おそらく、ですがこの映画の原作が実際に起こった事件を基にした作品だからだと思います。
いわゆるセンセーショナルな事件、そして裁判の中継もあったような事件のようです。本人であるスザーンの考えの底の浅さを感じるんですが、それをニコール・キッドマンが演じると、ものすごくショウアップされているように感じて、そのショウアップのテクニックがプロフェッショナルな故の説得力があるので非常にアンビバレントな気分になります。
北方 謙三著 角川春樹事務所
1~3巻の感想はこちら
4~6巻の感想はこちら
7~9巻の感想はこちら
一気に最終巻完結までです。
夷陵の戦いが始まるのですが、その前にかなりの分量を割いて描かれるのが張飛の死です。
北方三国志は、その人物の散り際を描くことに長けた魅せ方をするのが特徴なんですが、中でも張飛、そして呂布には特別の思い入れを感じました。張飛のキャラクターもそうですが、三国志演義よりもずっと正史寄りで、なおかつ現代的でロマンティシズムに特別な価値を見いだす人物に描かれています。
この張飛の最期はとても丁寧に描かれています。愛嬌のある力持ち、怪力で部下思い、兄である劉備を立て、汚名を着ることも厭わない。まさに漢(とかいてオトコと読ませる)の中の漢です。
そしてついに劉備の最期が描かれます。私が初めて三国志に触れた際も(中学生向けの三国志演義でした)義兄弟3人のうち、生き残るのが劉備とは思わなかったので、驚いたのをよく覚えています。その劉備の散り際もまた非常に丁寧に描かれます。ついに北方三国志で作者の思い入れを感じさせる主要人物は諸葛亮たった一人になってしまうのです。
この後、北方三国志の勢いは残念ながらとても削がれていると私は感じました。そしてここから諸葛亮を主人公に、その対抗に魏の司馬懿、呉は基本的にほぼ脇役でチラリと陸遜が出てくるくらいです。諸葛亮の南蛮遠征の大舞台はかなり縮小、孟獲を7度捕まえる話しもとても短く、彩り豊かな異国情緒もありません。しかし、その代わりにとても趣向をこらしてくれる部分があります。それは玉璽(皇帝の印)の行方と馬超の行く末です。
そして馬超の視線はこれまでの三国志には無い視点でした。読者の視線をもとめるのに上手い演出だったと思います。ひっそりと亡くなっていく馬超の意味を、斬新な演出で魅せてくれます。こういうのは大好きですし、物語の奥行きを広げてくれます。
ついに諸葛亮の最期。ここで物語は終わります。それは切り方としてなかなか上手いとも思えますし、物足りなさも感じてしまう部分でもあります。三国志の世界をどう描くか?というのは、それこそ様々なやり方がありますし、それぞれの作者の演出や重点にお置き方が存在します。それを、漢の三国志に、それも正史に近い立場で行うのであれば正しい選択だったかも知れません。そういう意味では北方三国志を読まれるのであれば、個人的には既に三国志の世界をある程度知っている人向けなのではないか?という印象を持ちました。
長い物語のざっくりした感想としては、あくまで人物に光を当て、その中でもロマンティシズムに、ハードボイルドに、重きを置いた三国志だと思います。勢いと汗臭さは十分ですけれど、群像劇で13巻という事を考えると、少し登場人物に少なさを感じましたし、もう少し人物の意外な面、多面性を出して欲しかったです。あくまで蜀漢を主人公に扱い、三国志の一つを担う呉の存在が魏と蜀に比べて少なさを感じてしまいました。三つ巴の面白さをもう少し出してくれても良かったのではないか?とも思います。男臭さを感じさせるキャラクターの膨らませ方はとても工夫感じるのに、それ以外との格差をあまりに感じてしまうのもちょっと。多分趙雲が少なかった私の恨み節かも知れませんけれど(笑)。諸葛亮の能力や先見性を司馬懿との対比だけで描くのもちょっと無理があったとは思いますが、諸葛亮にはあまり思い入れが無かったのではないか?とも思います。やはりダントツで呂布なんでしょう。そして周瑜と張飛が続いていて、それ以外にはちょっと距離を感じました。それはそれで構わないのですが、大変大きな物語、しかも群像劇という事を考えると、もう少し配慮して欲しかった部分です。それでも補ってあまりある馬超や玉璽の扱いや諜報戦の描き方があるのですが。
三国志の世界を既にある程度知っている方で、とくにロマンティシズムに親和性のある方にオススメ致します。
2月16日に行われるはずだった吹奏楽の発表会は残念ながら雪のせいで中止になってしまいました・・・
去年くらいからこの吹奏楽の運営にも少し携わらせていただいており、本当に残念だったです。が、もう少し練習する時間を得られた、と思うことにします。
大雪でもっと困られた方々もたくさんいらっしゃると思いますし、実際に交通機関はかなり深刻な状況でしたので仕方ないですね。また今週も雪の予報が出ています、みなさまも十分にご注意くださいませ!
大雪は困ることも多いですが、楽しむことも出来ます、私が実際に見た中ですごかったのがこの雪だるまです。
多分2メートル以上あったと思います、通り過ぎる方々がみなさん驚かれてました!
江川 文庫 / 橋本 敬之 著 角川SSC新書
漫画「風雲児たち」で知った江川太郎左衛門英達 36代。現在私が知っている人物の中でも1、2を争うほど尊敬できる人物です。尊敬とは軽々しく使う表現では無いと思いますし、生きている人物ではないので、生で出会えた訳ではなく、間接的(評伝や研究や創作であろうことを含む)な接触でしかありませんが、それでも尚、尊敬に値する人物だと思ってます。
尊敬できる(人がたくさんいるのも変な気がしますけど)歴史上の人物で尊敬出来るくらい知りたくなって調べた人物はこの江川太郎左衛門英達とフィリッポスⅡ世です。その他にも偉人はたくさんいますでしょうけれど、とても尊敬出来ます、フィリッポスⅡ世(についてはこちら)は偉大すぎて尊敬とは少し違う印象を持ちますけれど。そして偉大すぎるという意味では江川太郎左衛門英達だって偉大すぎるのですが、その姿勢を学ぶことは出来るような気がします。
数年前ですが、江川ゆかりの地である伊豆の韮山に友人と行きました、その時の思い出はこちらです。
そんな江川太郎左衛門英達、坦庵についての新たな本が出ていたので喜んで読みました。著者は江川文庫といわれる江川家に残った様々な文献を整理した人物です。平成14年から11年間かけてその全貌を明らかにした著者だからこそ知りえた新たな知識に驚かされましたし、知っている人物をもう1度他者の手によって書かれたもので知るのも楽しい読書体験でした。
江川太郎左衛門は幕末の人物で、有名なところでは今フジテレビのあるお台場を建設した人物であり、ちょっと(かなり?)癖のある天才佐久間象山も門下であったり、良質の鉄鋼を得るために必要だった反射炉建設に尽力したり、海防に心砕いて献策したり、農兵という身分制度を超えた発想を持ち出した幾人かの中にも入れられますし、イギリス船マリナー号を退去させた交渉、ロシア全権大使プチャーチンのディアナ号改修にも携わってのヘダ号建設、当時の軍事的最高機密に値する爆裂砲弾の製作、中浜万次郎(ジョン万次郎)の登用を訴え、軍事における食事の面からパンに興味を示してパンの祖ともいわれ、領地民から「世直し江川大明神」と言われる程の善政を敷いた人物です。隠密行動で領地の見回るなど水戸黄門様(実際には黄門様は諸国を行脚したわけではない)のフィクションを地で行った人です、一緒に行動した斎藤弥九郎ともども神道無念流の免許皆伝の腕前、まさに文武両道の人です。
で、今回の本で明らかになった1番の個人的な驚きなのが、実は江川太郎左衛門はいわゆる「尚歯会」に在籍していた資料は存在しなかった、という事実です。尚歯会の方々との親交は実際にあって手紙なども多数残っているんですが、属していたという資料は見当たらなかったというのです。私はてっきり江川太郎左衛門もその一員と思い込んでいましたので、驚きました。特に蛮社の獄に関わっての砲術の師である高島秋帆との関係を見ても、高野長英、渡辺崋山との関係で見ても、尚歯会との関わりが多かったので、そう思い込んでいました。
また、鳥居耀蔵との測量の際の話しも新鮮な描かれ方でしたし、何よりも江川太郎左衛門の書き記した絵画が多数載っていてとても面白かったです。
江川太郎左衛門の人柄を示す言葉の中で、ロシアとの交渉を行い、後にタウンゼント・ハリスとも日米修好通商条を結んだ岩瀬忠震の言葉を知れたのも良かったです。
ただ、本書のタイトルで勝海舟や福沢諭吉の名前を出すのは、少し抵抗感あります。そんな事しなくとも素晴らしい人物であると思います。
江川太郎左衛門英達に興味のある方に、オススメ致します。