井の頭歯科

「誘う女」を見ました

2014年2月25日 (火) 08:33

カス・ヴァン・サント監督     ギャガ

とある友人にオススメしていただいたので見ました、凄く久しぶりにニコール・キッドマンを見ましたし、カス・ヴァン・サント監督作品を見るのも久しぶりです。そういえばマット・デュロンも歳とったよな〜と割合軽く見てましたが、これが意外なほどの良作でした。オススメしてくれた友人に感謝。

テレビに映る、その1点のみが人生における意味、という非常に偏った意見を持って育ったスザーン(ニコール・キッドマン)はとても派手な女性です。そんな彼女は繁盛しているイタリアレストランを経営している羽振りの良い父を持つラリー(マット・デュロン)と結婚します。ラリーはスザーンを溺愛しており、幸せな生活を送ることになると思っていたのですが・・・というのが冒頭です。

とにかくネタバレ無しで実際に見て頂くしか、この作品の良さをお伝えするのが難しいのですが、編集の妙ももちろんありますし、徐々に事態の推移を知らされることでのサスペンスもあります。スザーンやラリーの周囲の人々のインタビュー取材から浮かび上がってくる過去を知っていく構成になっています。

で、なんといってもニコール・キッドマンの怪演がこの映画の見せ場だと思います。あまり見かけることのない人物を全力で演技している姿が印象的です。個人的にはどのようにしたキッカケでスザーンのような人物が成り立っていったのか?が気になりましたが、そこは描かれません。何故なら、おそらく、ですがこの映画の原作が実際に起こった事件を基にした作品だからだと思います。

いわゆるセンセーショナルな事件、そして裁判の中継もあったような事件のようです。本人であるスザーンの考えの底の浅さを感じるんですが、それをニコール・キッドマンが演じると、ものすごくショウアップされているように感じて、そのショウアップのテクニックがプロフェッショナルな故の説得力があるので非常にアンビバレントな気分になります。

また、もう1人忘れられないのが、ホアキン・フェニックスです。若い、そして上手い!とてもシャイな内省的であって反抗的という難しい演技が求められると思うのですが、良かったです。語彙の少ないジミー(ホアキン・フェニックス)が語るシーンは不穏な感じと完全にコントロールされている、何かの依存体質を見ていて感じさせ、怖かったです。最近見てまだ感想にまとめられないでいるポール・トーマス・アンダーソン監督作品「ザ・マスター」にも同じようなキャラクターで出演しているんですが、上手いです。
ただ、個人的にはラストに少々の不満を感じました。ちょっとご都合主義的だと思うのです。
あくまで実際の事件を基にしたフィクション。それでも役者の演技のすばらしさを感じてみたい方にオススメ致します、それもどちらかと言えば女性にオススメします。女性からすると、スザーンはどのように映るんでしょうか・・・
カテゴリー: 映画 感想 | 1 Comment »
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