春は別れの季節と言いますが、たしかに移動があったりしますね。患者さんの中でも転勤される方がいらっしゃったり、進学でお引越しされる方など様々な方がいらっしゃいます。
先日は結婚式にも出席しましたが、これも新たな出発でしょうし、この歳になるとお葬式に出る回数が増えてきますが、これもまた旅立ちだったりします。
またきっと会えると思っています、こんな曲を聞いていると、そう思います。
出来れば半年に1回くらいは、歯科を受診してクリーニングしてもらってください。それがあなたの歯を長持ちさせます。インプラントや義歯など、歯がなくなっても回復(専門用語で補綴【ほてつ】と言います)する手段はありますが、決して天然の歯牙に敵うものではありません。
失わないようにしていただきたいです。
アンドレア・ピルロ アレッサンドロ・アルチャート 著 沖山 ナオミ 訳 東邦出版
友人のオススメの「I AM ZLATAN ズラタン・イムラヒモビッチ自伝」にも興味があるのですが、何と言っても選手としては断然ピルロの方が好き、ということもあり、こちらを手に取りました(笑)私の好きな選手はたくさんいますけど、性格的にも、プレー的にも、ズラタンよりも知性を感じさせてくれますし。FWで好きな選手なら断然アンリとベルカンプな私はガナーズサポです。でも決してベンゲル監督が好きなわけじゃ無いです、紳士的な態度は好ましいですし愚直な部分も評価するけど監督としての腕はどうかな?とも感じてます。好きな監督はビエルサ、嫌いな監督はスペシャル・ワンと自分を呼べるモウリーニョさんです。
イタリア セリエAのリーグ的な地位は下降し続けているのはやはりカルチョスキャンダル、賭博と八百長が原因ですし、まさに自業自得なわけで、基本的にはしょうがないと思ってますし、きっとイタリアの凋落は止まらないであろうと予想します、国民性の問題でもある気がしますし。しかし、それでも、リーグの試合を見ていて面白いのはセリエAだとも思ってます。非常に硬いブロック形成がなされていて、コンパクトでテクニカル、戦術的にも面白いですし、リーガの試合ほど守備がザルじゃないですし、プレミアほどボールを追い掛け回す感じもしません。プレミアも面白いですけどね。
先日、東京都歯科医師会の主催で行われた「身元確認講習会」に出席してきました。
少し前ですが、武蔵野市歯科医師会でも講師に東京歯科大学の花岡先生をお招きしての講習会に出席したので、なんとなく概要は理解出来ていたとは思いますが、実際に手を動かす実習を伴った講習会でした。
東日本大震災の際の歯科医師の役割、その時に尽力された歯科医の先生方の手さぐり状態の中での努力を知ると本当に頭が下がります。被災された先生方の中にも自分の事を差し置いて身元確認に参加された先生がいらっしゃることを知ると、私のような者でも役立てるのであれば、その時により手助けできるように普段からシステムを知っておかねばなりません。
自分の専門の仕事であっても、実際のところは新たなシステムになっていたり、1度手を動かして体験しておく経験はきっと役立つと感じました。
暗号のように見えますけれど、とても重要な情報が詰まっています。インストラクターの先生にも及第点をいただきました。今回は2人1組での講習だったのですが、もう1人はカルテ記載からの推測をする、まるでミステリ小説の犯人を追及していくような面白さもあって、しかも2人答え合わせをして、身元確認していくのは、難しくもありますが役立つ楽しさも感じられます。本当に参加して良かったです。
身元確認を1名誤るということは、実際には2名の不明者を出してしまう事になる、という説明も重い発言だったと感じましたし、規模の大きな災害では予想だにしなかった様々なことが起こります。それに少しでも対処していくには、普段の訓練がいかに重要かという事を再認識しました。
ロマン・ポランスキー監督 日活
「おとなのけんか」(の感想はこちら)が楽しかったなぁ、と思い出したロマン・ポランスキー監督、何か見てみようかな?と思ったのですがここ数日少し体調が悪く、軽めの作品ということで初期作は回避したんですが、この作品もとても見応えある作品でした!隅々にまで配慮された画像の良さ、出演俳優のキャスティングの良さ、そして何といっても脚本と舞台であるある島の景観等、本当に素晴らしかったです。
イギリス首相経験者であるアダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自伝小説のゴーストライターが不慮の事故で亡くなった事で、その作業の継続を頼まれたライター(ユアン・マクレガー)が招待されたのはアメリカのとある島です。その小さな島に、今アダム・ラング一行は暮らしています。そこで直接取材する許可を得たのですが・・・というのが冒頭です。
確かに元首相の自伝、回想録ですから、多少のきな臭さがあって当然なのかもしれませんが、その特秘ぶりにライターは何か暗い影を感じ続け、それゆえのサスペンス溢れる展開が待っています。物語のネタバレはこの作品の性格上避けますけれど、とても見事な構成になっています。まるでヒッチコック作品のような出来栄えです(そう、個人的に凄く似てるのが「レベッカ」なんです!この映画も原作も大好きです)。
ユアン・マクレガーの演技もとてもイイですし、ピアース・ブロスナンが大仰しいのがとてもリアルな政治家に見えます。途中1場面だけに出てきて強烈な印象を残す老人をイーライ・ウォラックさんが演じていらっしゃいまして、この方の存在感も凄かったです。
ポール・トーマス・アンダーソン監督 ファントムフィルム
結構前ですが同じポール・トーマス・アンダーソン監督作品の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を見たのですが、感想にまとめることが出来なかったのを覚えています。あまりに様々な感想があり、それを文章に出来なかったんです。とても特殊な映画体験だったと思ってます。ダニエル・デイ=ルイスとポール・ダノの役者の演技が素晴らしかったですし、因果応報と言いますか、考えないとワカラナイ、お持ち帰りの思考時間がとても長くなる映画だったんですが、今作「ザ・マスター」も、この系譜です。まさに持って帰るモノが大きすぎる大作でした。
今回も結構前に見た映画ですし、感想もまとめられないまま置いてあったんですが、フィリップ・シーモア・ホフマンが亡くなってしまった事でどうしてもまとめてみたくなりました。この映画の主役フィリップ・シーモア・ホフマンとホアキン・フェニックスの演技は本当に素晴らしかったです。
第2次世界大戦を兵士として従軍したフレディ・クレル(ホアキン・フェニックス)は非人道的な行為に加担したためか、PTSD(心的外傷後ストレス症候群)のような症状と、アルコール中毒に悩まされ、定職につけずに心の赴くままに生きていますが、あるきっかけで不思議な船に密航します。その船は新興宗教家ランカスター・ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)のものだったのですが・・・というのが冒頭です。
作品そのものの評価はとても広い解釈が成り立つ構成なので、フレディやドッドという現実にはあまりお目にかけない奇妙な人物に心馳せることも、物語の渦に身を任せる事も、人の心の闇の深さに恐れおののく事も出来ますし、本当に様々な感想や解釈を受け手である観客が持ち帰る作品ですので、それぞれのシーンの意味を反芻しながら見終わった後で何度も繰り返し考えたりしてしまいます。
映像も、音楽も素晴らしく、そのうえ役者の演技も素晴らしいのですが、新興宗教を扱っている部分で、興味を削がれる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、あくまで人間的魅力あるキャラクターだと考えていただければ間違いないと思います。ある意味フレディとドッドという2人の男の関係性の物語だと私は思っています。
新興宗教という非常に怪しげな世界に生きる男であるドッドを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンの怪演が光る作品です。私は神という概念を発明したのが人間だと考える無神論者ではありますが、宗教の持つ偉大さにも大きな価値を感じますし、道徳や規範を促す事や人間の強さを引き出すチカラの大きさも凄いものがあると感じています。
そういった事柄すべてを背負っているドッドという男のキャラクターが確かにあり、胡散臭さを感じさせつつも、信念を押し通す魅力があるのです(ただ、私は『前世』という考え方そのものは否定しますし、あるかないか?ワカラナイモノは分からないままにしておきたいです、あると考えることで楽になったり苦しくなったりという事そのものを受け付けたくありません。もしどうしても、というのであれば、前世を証明してもらいたいです、科学的に、反証できるように)。その魅力が、フレディというまたひとつ別の、大きな心の傷を持ち、何かが壊れてしまった男を惹きつけた事で生まれる関係性が面白いのです。
ドッドが最期に歌う曲(きっと村上春樹さんの短編集のあるタイトルの曲です)のもの悲しさは心の何かを打ちます。
フィリップ・シーモア・ホフマンが好きな方、ホアキン・フェニックス(の出演作「誘う女」の感想はこちら)が好きな方、そして監督ポール・トーマス・アンダーソンが好きな方にオススメ致します。