八木 竜一 山崎 貴 監督 東宝
ドラえもんが『泣ける』というので観に行きました!というのはウソで、(映画を観に行って)人前で『泣く』という行為って個人的には恥ずかしい行動だと思います。映画館の中であまり感情的になるのはちょっと違うような気がしますし、泣いてすっきりして終わってしまうより、考えさせられる感情的な何かを持って帰らなけらばならないような作品の方が好みです。でも笑うという感情なら曝け出しても恥ずかしくない、不思議です。笑いも捻ってあると考えさせられて好きですし、思い出して笑ってしまいます。思い出して泣く、は何か酔っている感じで嫌なのかな?まだ自分でもよくわからないです。
友人が「俺としてはダメだけど、映画としては娘に見せて良かった」と言っていたので観に行きました。
割とネタとしてアレやるらしいよ、と聞いてしまったのですが、ネタバレなしの感想で。
いわゆるドラえもんのセオリー映画のような、1本の大きな物語、ジャイアンもスネ夫もイイ奴、みんなに活躍の場、最後におうちに帰る、という定番から離れ、マンガドラえもんの最初と、ある意味最終回的なストーリィのような印象的な話しを繋げた作品です。
で、ワタクシ、とても面白い要素が多いとは思いつつ、大人向けのドラえもんなんだな、と感じました。ドラえもんが何故のび太の家にやってきたのか?を見せておいてからの展開なので、正直のび太にしたらものすごくショックでへこむと思いますし、だからってドラえもんのひみつ道具に頼るのはどうなのか?っていうなんと言いますか根本的な違和感が増してしまうと思うのです。
出来杉くんのエピソードは素晴らしく納得。でも、それが最初に来ると、とってものび太に救いが無いんだな、と感じます。この映画の中でのび太が成長というか成し遂げようとする場面は数少ないんですが、それが何か成長とか考えた結果ではなくてそんなに大変じゃない感じがしてしまうんですね。とにかくのび太が悲惨で悲しくなってきます。
それと、時代設定が凄く違和感ありました。のび太の子供時代は結局1970年代初頭な感じの(携帯電話も無いし、空き地があって土管がある・・・)、漫画の中でのリアリティに寄せてしかも3Dで表現されているのに、のび太が大人(どう見積もっても30代だとすると2000年台で、それって今から考えると近過去・・・)の世界がもうびっくりするほどの未来で、異常に違和感を覚えました。
とか、気になってくるとどうしてものび太に、映画に集中出来なくなりやすいとは、思います。でも、身を委ねて見られるのであれば、結構面白い作りになっていると思います。ドラえもんってこういうものだよね、という設定の刷り込みのある人には、それなりに飲み込みやすいですし、ベタな部分を、思いっきりベタに作ってくれているので、どちらかと言えば大人向けの作品だと思います。
ドラえもんとはどういう世界なのか?を知っている人にはちゃんと通じる空気があるけど、そうじゃない子供にはなかなか響かない映画なんじゃないかな、と感じました。ドラえもんリテラシーが求められてる映画、もしかすると間口は狭い映画なのかも。
ドラえもんが好きな方でのび太はそれほどでもない人、あるいは泣ける映画が好きな方にオススメ致します。