ジャン=マルク・ヴァレ監督 ファインフィルムズ
史実モノ、という事と、医学に関連している、という事で見ました。実際のどこまで事実に即しているのか?は分かりませんが、とても迫ってくる映画でした。
1985年、アメリカでも保守的と言われるテキサスの州都ダラス。トレイラーハウスに住む電気技師で賭博と酒と女が好きな男ロン(マシュー・マコノヒー)は典型的なその日暮らしの男ですが、当時流行りはじめたHIV感染症を発症し、余名30日を宣告されます。全くの偏見に満ちた先入観から事実を認められなかった男ロンは・・・というのが冒頭です。
病気に対する偏見、主義に対する偏見、それを保守的であるという事で(自分の信条、と言い換えても良いかもしれません)認められなかった男が、徐々に変わっていく様は非常にシリアスで、役者マシュー・マコノヒーの身体的な変化もすさまじく、大変ヘヴィな内容となっています。
無知のための偏見を持ち、忌み嫌っていた存在に自分がなる事で考え、知り、葛藤を乗り越える、言葉で書くと単純極まりない話ですが、特にこの主人公ロンのような性格ですと、とても難しい事に思えます。
明日が分からない非常に不明な中でも、なんとか生きようとする男の戦いを描いた作品ですが、中でも偏見を乗り越える様が素晴らしかったと思います。ビジネス相手で偏見を持っていた男役ジャレッド・レドとの関係性に(主義主張ではなく、人間に)打たれます。
とにかくマシュー・マコノヒーの表情、演技が秀逸な作品、ジャレッド・レドの演技も最高です。
世界が一変した後、その世界に順応して、それでも、を続けた不屈の男を描いた作品です。
信念が事実を知り変わっていく様に信念を感じられる事に興味のある方にオススメ致します。