ロビン・ハーディ監督 ケイブルホーグ
いつも通り友人に借りました、ある種の人たちから熱烈に受け入れられている作品、スコットランドが舞台のホラー作品、という概略は知っているものの、見たことが無かったです。親切な友人に借りました、ありがとう。
水上機(水の上に着陸出来る飛行機)に一人乗り込む警官ニール(エドワード・ウッドフォード)はスコットランドの小さな島に子供が行方不明になった事件の捜査に乗り込みます。しかし、敬虔なキリスト教徒であるニールにとって、この小さな島独特の信教に嫌悪感を持つものの、捜査は難航し・・・というのが冒頭です。
あまりネタバレにならないようにしますが、出来れば事前情報の全くない状態での鑑賞が望ましいのは間違いないです。また、ホラー作品という私の認識は少し違ったとも鑑賞後には思われました。これは異文化や倫理観の違いを描いた傑作であり「普通」とか「信仰」とか「日常」など普段だったら気にかけない些細な事柄であっても、異文化と触れ合う事でその自分の「思い込み」とか「刷り込みを」で無自覚に行われている事に驚くことのできる作品です。
役者さんも素晴らしく、非常に鬼気迫る演技でしたし、最も特徴を感じたのは雰囲気と言いますか、島に流れる空気感のおかしさ、それをリアルに感じさせる導入の音楽です。スコットランドなんて行った事ないのですが、こういうところがあるのかも知れない、と思わせるに十分です。
ある種の異文化に興味のある方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ちょっとだけネタバレに繋がる感想があって、もう既に映画を見た、という方に読んでいただけたら嬉しいです。
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この作品を見て最初に思い浮かんだ作品は藤子・F・不二雄先生のSF作品「ミノタウロスの皿」です。
ある種の異文化に置かれることで自分の刷り込みの異常さ(もちろんその世界では普遍的な価値観)に気付かされる驚きです。似たような作品で「気楽に殺ろうよ」にも通じる価値観の揺らぎをよくモチーフにされていると思いますが、中でも連想させるのが「ミノタウロスの皿」でした。
もちろん謎解きのような、事実を知ってゆく様、サマーアイル卿のたくらみがラストで明かされる場面の凄さ、その際の画像の異常さも素晴らしいのですが、自分の中の価値観に縛られている事を自覚していくニールの自我の揺らぎが鮮明に描かれていて、とても面白かったです。
ニール警部の最後の言葉の意味だけでなく、その使われ方の示す意味を知りたくなりました。