今年の診療は本日の12月29日までとなっています。
新年は1月4日から診療致します。
今年観た映画の中のベスト10!というか、比べたり順位をつけるものでは無いんですが、流れに乗っかってみました。
10位 「二重生活」 岸 善幸 監督
門脇麦と菅田将暉の魅力のみ!ストーリィはたいしたことないけど、この2人の魅力が凄い!特に初めて見た門脇麦のなんでしょう、器の大きさを感じさせられました。
9位 「ある終焉」 ミシェル・フランコ監督
なかなか凄いぶった斬りです。ティム・オレンジ・ロビンスが献身的な介護士として登場します。介護する際に出る音からわかる有能さが、とても斬新な表現だと思います。劇場で思わず声を出してしまった幕切れが凄いです。
8位 「サウルの息子」 ネメシュ・ラースロー監督
こんなに息苦しくなる映画はあまり無いです。狭い画像にも意味があるし、人間の集中力があれば狭くても狭く感じなくさせるのが凄い。とても恐ろしい映画でした。
7位 「 この世界の片隅に」 片淵 須直監督
今の理解度はきっと時間をかけて変わるんだろうと思います。多分歴史的にはこの映画がこの年を象徴するんだと思うのです。私としてはまだ咀嚼出来てないので。ちなみに原作の漫画も凄いです。
6位 「ヘイトフル・エイト」 クエンティン・タランティーノ監督
とにかく 贅沢な作品です、本当に贅沢な映画。サイコーです!あの扉のギミック考えた人は凄い!新宿ミラノ座で見たかったなぁ。とにかく贅沢過ぎます!
5位 「 また一緒に寝ようね」 首藤 凛監督
アヴァンギャルドでパンクな才能を溢れる傑作です。私的にはこの監督の作品を初めて見た年として2016年は刻まれています。ホント凄い!是非いろいろな人に見てもらいたい作品です。
4位 「マジカル・ガール」 カルロス・ベルムト監督
ここから2位までは同位と考えています。 緻密に計算されたスペインノワール作品。ジグソーパズルの最後の1枚の行方が・・・救いが無い終着点がまた凄いです。誰かとこの映画について話してみたいです。
3位 「葛城事件」 赤堀 雅秋監督
私は個人的に、皮膚感覚で刺さるが詳しく話したく無いですし、説明できません。が、とにかく凄い映画です・・・
2位 「コップ・カー」 ジョン・ワッツ監督
ケビン・ベーコンムービーです。コスパの良さ!とにかくベーコンだけで出来上がっているし、この低予算感がとても合っていて素晴らしいし、ラストも最高です。私としては普通なら1位なんだが。
1位 「シン・ゴジラ」 庵野 秀明 樋口真嗣 監督
なんて言っても話題になりましたしね。最初に観た時は本当に素晴らしいと思いましたが、2回目に観るとやや評価が下がったというか、いろいろ気づかされます、が、それでも、矛盾があっても楽しいし好きだ、と言える作品に仕上がっていると思います。
あくまで私の観た範囲なんで、とてもとても狭い中の話しなんですが・・・今年もお世話になりました。
恒例の大晦日ソングをどうぞ。
今年もかなり残り少なくなってきましたね。
井の頭歯科は12月29日まで診療致します。
新年は1月4日から仕事始めます、どうぞよろしくお願い致します。
なかなか時間が無いのですが、スター・ウォーズ関連作品ですし、観てきました。
スター・ウォーズ アナザーストーリィ というか始めてのスピンオフ作品である「ローグ・ワン」です。
ギャレス・エドワーズ監督 ディズニースタジオ・モーション・ピクチャーズ
エピソードⅣの始まる直前までを描いた作品です。農地で親子三人で暮らしているジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)に帝国軍からの使者が現れ、研究に協力しろと脅してくるのですが・・・というのが冒頭です。
ま、何と言ってもものすごく有名な映画の前日譚ですから、最終的にどのようになるのか?は既に分かっています。ですのでストーリィで魅せる作品ではないのは観客側も理解していると思います。
いわゆるスター・ウォーズと言えば壮大な宇宙戦争の話しかと思いきや、実際はすっごく狭い家族の争いでしかないんですもんね。でもとても奥深い世界の話しです、映画が好きな人でスター・ウォーズが嫌いな人って多分かなり少数派でしょうし、映画は好きじゃないけどスター・ウォーズは好きって人も結構いると思います。映画ライターの高橋ヨシキさんもよくおっしゃってますが、とにかく当時としては圧倒的にデザインが素晴らしく未来的に見えたんです。
で、映画としてはちょっと前半が長く感じてしまいました・・・スター・ウォーズ関連作品としては外伝という初めての試みですから、結構いろいろ工夫はされているんです、でもストーリィがちょっと長い。
また正直言うと主人公のキャラクターがちょっと弱くみえてしまいます、相棒となるキャシアン・アンドーやロボットのK2-SOのようなキャラとしての魅力に欠ける部分があると感じてしまうんです、が、それは多分、エピソードⅦの主役レイ(デイジー・リドリー)を見てしまったからなんですよね・・・本当に魅力的な女性の主人公ってこういう風に見えるのね、というのを知ってしまったからなんです。だからこそ、もう少しキャラクターに奥行のある何かが欲しかったです。
高橋ヨシキさんのおっしゃる過剰接待(=スター・ウォーズのファンに向けていろいろな小物や名前や姿をだしてくれる事。つまりファンを喜ばそうと過剰にしているように感じられる)は今作もこれでもか!と入っています。そして宇多丸さんも指摘していましたが、ついに東洋人がスター・ウォーズ作品に出演してるんです、それも結構な数ですし、小さな役でもいるんです、ここは素直に良かったです。特にほぼ主役を食ってしまうくらいの存在感を放つのがドニー・イェン!強い!もうジェダイの騎士よりも絶対強いぞ!
また今作ではある言葉がほぼ般若心経のごとく語られるのですが、早口で何度も言われると、すごく意味が崩壊して、それこそ宗教性を帯びていきます。決して褒められる表現では無いかも知れませんが、私は好きになってしまいました。
さらに、端役なんですが、とあるパイロットが良かったです。それまで割合ダメな男だったのが役目を果たす、非常にぐっとくる展開でした。とはいえ、非常に感情的に盛り上げてくるのが(まぁタイミングがいろいろ揃い過ぎている・・・)確かに過剰なんですが、それでも結構良かった印象です、本当は比べちゃいけないんでしょうけれど、エピソードⅦは非常に良い作品なんだなぁと改めて思った次第です。
Xウイングも良かったんですが、Uウィングという新たな機体がカッコイイ!!!
あとドニー・イェンとコンビを組んでいる大男も、凄く存在感もあって良かったと思います。「鬼が来た」の主役の方なんですね。
あの砲撃は、すっごく原爆の表現に近づいてきましたね・・・何か意図があるんでしょうか。
それと、カイバ―・クリスタルについて映画内で何にも説明が無いのはちょっとどうかと思います、そりゃスター・ウォーズが好きな人はみんな知ってるけど。
スター・ウォーズが好きな方にオススメ致します!
あっという間に12月、早いです・・・いろいろ仕事も重なってて毎日たくさんいろいろな事があってゆっくり考えたり、気持ちの余裕が無いですが、仕方ないですね。
そんな時は読書とか映画を2時間見るとかしたいのですが、それもあまり出来ないのですが、1か月ほど前に読み終わった本の感想をまとめてみました。
「幻の赤い実」
石井 桃子著 岩波現代文庫
恥ずかしながら読んだ当時は翻訳家に目がいってなかったです、しかし誰でも1冊は石井さんの翻訳本を手に取って読んでいると思います(私が特に覚えているのは「星の王子様」、「ドリトル先生シリーズ(井伏鱒二訳となっていますが、ほぼ石井桃子さんの訳だそうです)」、そしてなにより有名なのが「熊のプーさん」)。その、翻訳家としてとても有名な石井さんの、最晩年の小説です。何しろ書き終えたのが80代ですから・・・
そんな石井さんの自伝的小説なんですが、とても面白いです!
昭和初期、女子大学を卒業した、どこかおっとりしている明子は、ふとした事から大学時代の先輩である、とても華やかな蕗子と出会い、徐々にお互いを理解していくのですが・・・というのが冒頭です。
いわゆる女性友情関係モノなんですが、時代的な背景はリアルでありながらも、実は非常に普遍的な女性同士の友情を描いた傑作だと感じました。
非常に聡明ではあっても表出という意味で感情的になれない、物事をゆっくりと考える明子と、エキセントリックで批評性があり、その上瞬発力が豊かで華やかな世界を生きているが、明子の前でだけ自然に振る舞える蕗子の対比が面白く、そして切実に胸に迫ります。
関係性の構築、移ろい、2人だけに分かる言語を介しての秘密の共有、そして結核という重い病が影を落としていく様は、自伝的と言われれば、より鮮明な記憶を基に書かれているのだと思うと、石井さんの強い意志を感じます。
私は男ですので想像するわけですが、当時の女性の立場や抑圧された、自由度の少ない、あるいは世間だけでなく家族間からの同調圧力を考えますと、非常に苦しいと思うと同時に、現代はいくらかでも良くなっていると感じずにはいられません。それでも、まだ様々な形で残っているでしょうし、同性間でも圧力はあるので残り続けるのかもしれませんが、現代の方がまだマシだとも感じました(ちょっと前に見た映画「この世界の片隅に」でも描かれていますね)。
あくまでネタバレを避けての感想ですから、曖昧な表現になりますが、私個人はある出来事が起こった後の3部には蛇足感を感じてしまいました。2部までの文章の、上手いというわけでは無いけれど瑞々しさが失われてしまい、且つどうしても、そこまで感情移入しているのが分かってしまうくだりが増えていくのも、正直残念に感じてしまいました。
ただ、だからこそ、余計に2部までの素晴らしさがより際立って感じます。
女性同志の友情ものが好きな方、関係性のこの人でしかない、という素晴らしさ、そしてそれが結婚という形によって終焉を迎えるというアイロニーについても考えてみたい方にオススメ致します。