1月4日より、普段通り診療しております。
仕事が休みになると風邪をひくのは心が弱っているからなんでしょう・・・
凄く気になる昨年見逃した2本の映画を見ました。
「帰ってきたヒトラー」 デヴィッド・ヴェント監督 ギャガ
コメディタッチの予告編も流れていますし、DVDのパッケージも非常に笑える作品を装っていますが、実のところ非常にハードな内容です。
2016年のトランプ現象のような、怖さを見せつけられます。
現代ドイツに、突然、ヒトラーがタイムスリップしてきたところから話しが始まります。あくまでヒトラーは本気の発言を繰り返しているだけなのですが、周囲の人物にはコスプレのヒトラーを『芸人』として受け入れていくので・・・というのが冒頭です。
恐ろしいまでのホラー作品です。なんと言いますか、ドキュメンタリー風の作り、つまり現代ドイツ人の皮膚感覚、それもポリティカルコレクトネス的な部分を剥いだ後の部分を見せつけられて、本当に恐ろしいです・・・
人民というか市民が責任を取りたくないのであれば、私が責任を負ってやろう、だから判断を移譲しろ、と言ってくるヒトラーのぶれないアジテーションには、判断を任せてしまう一般ドイツ人がたくさん出てきて怖いです、多分日本はもっとだと思うので・・・
映画の結末の怖さはちょっと類を見ない恐ろしさです。また続けて観たマイケル・ムーアの「世界侵略のススメ」も合わせて、2016年はいろいろ崩壊が始まった年として後年ふり返られることになりそうな気がしてなりません・・・
「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」 マイケル・ムーア監督 角川
マイケル・ムーアがアメリカ軍から依頼を受けて、世界の様々な良い所を取り入れよう!という主旨でワンマンアーミーとして世界を巡る話です、いつも通りアポなし突撃モノでした。
マイケル・ムーア監督はノーム・チョムスキーさんという言語哲学系の学者さんのお弟子さんだと理解していますが、いわゆる日本のテレビ番組の「進め!電波少年」を思い浮かべて頂けると分かり易いです。アポイント無しで突然答えにくいインタヴューをしてそのドタバタを楽しむタイプの作り方です。
何しろ第2次世界大戦後、アメリカが加担した戦争はかなり負けが込んでいます、ベトナムも、アフガンも、イランも・・・
最初に訪れるのはイタリア。イタリアでは有給休暇が8週間もある事に驚かされます。しかもランチ休憩が2時間・・・
その他にもフランスの学校給食の豪華さ、食を大事にするメンタリティ、大学進学にお金がかからないスロベニア(に押し掛けるアメリカ人大学生)、フィンランドの宿題を無くした事での学力向上、ノルウェイの犯罪に対する考え方(この中でかかる『ウィー・アー・ザ・ワールド』が最高過ぎる!!!)と収監施設のおおらかさ、麻薬の取り締まりを止めた事でのメリットを謳うポルトガル、そしてアイスランド・・・
どれも非常にポジティブで日本で言う欧米化は結局アメリカ化であってヨーロッパは入ってないんだなぁとより強く意識させられました。
この映画では割合ポジティブな面を強調していますし、帰ってきたヒトラーではネガティブな面を強調しているとは思いますが、どちらにでも転びうる、という部分の怖さを感じました。
2016年に見忘れてしまった方にオススメ致します。