ビクトル・エリセ監督 フランス映画社
名作だけど見た事が無い、というカミングアウトは恥ずかしいものです。でもなかなかDVDを買うまではいかないのですが、ここ数年くらい前からTSUTAYAさんは埋もれた名作のDVDをいろいろ発掘してくれていて助かります。ちょっとまえですが同じ棚にあった「眼には眼を」アンドレ・カイヤット監督(の感想は こちら )も凄かった印象を残していますが、この作品も非常に印象に残りました。
1940年代の内戦直後、あるいはその終末期のスペインのとあるさびれた村に暮らす姉のイザベル、妹のアナ、母テレサ、父フェルナンドの一家が暮らしています。そんな村に映画「フランケンシュタイン」が上映されて・・・というのが冒頭です。
いや~さすが名作と言われるだけある作品で、暗喩がいろいろ効いています、もちろんよく分からない部分の方が多いですけど。
そもそもスペイン内戦をよく知らない、という無知蒙昧なんですが、多分その辺の暗喩に満ちているんだと思いました、そうでないと辻褄が合わない、私には汲み取れない描写も多いですし。
それでも、そういう事を一切忘れて、画面に集中させてしまう非常に強い吸引力を持った映画でして、その大部分をキャストの、中でも2人の子役が担っています。
姉のイザベルと、そして主人公であるアナです。2人とも演技とは言えない自然さで、4~6歳くらいの、非常に幼くとも愛らしく、時に残虐だったり、不可思議だったり、その上神秘的な瞳を持っていて、この映画の視点をとても低く保っているように感じました。
主人公の目線でスペインのある種荒廃した世界を眺める時の、自然と普通の目線より低くなることでのヒロガリがあってとても印象的です。
窓枠の六角形といい、ミツバチの箱を透明にしている事での観察といい、まるで神秘的に見えるミツバチであるのに、ミツバチを見つめる人間という構図を、人間を見つめる観客という構図にまで入れ子のような構造に読み取れて面白いです。
でも、とにかく、アナの瞳が素晴らしすぎる!!!!!
スペイン映画に興味のある方にオススメ致します。