ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 パラマウント
各所で話題のSF映画!気になってたので観に行ってきました。とある事情でトーホーシネマ六本木で観ましたが、物凄く混んでます!まぁ六本木自体が混でいる街ですけど。
地球外生命と思われる、建造物のような「殻(シェル)」と呼ばれる450mくらいある宇宙船のような物体が世界12か所に突然現れます。言語学者であるルイーズ(エイミー・アダムス)はアメリカ軍から通訳として協力を迫られるのですが・・・というのが冒頭です。
地球外生命体とのコミュニケーションをどのように行うのか?といった導入から、思考、時間、などかなり哲学的な問題まで扱ったSF作品です。
原作も読みました。わずか100ページくらいの中編ですので、さらりと読めます。でもなかなかな完成度なんですが、いわゆる文字とか言葉とか認識とかを扱っている作品ですので、どうやってこれを映像化するのか、わくわくしながら観に行きました。それでも、原作を読んでいると、既に頭の中で映像化してしまっているので、だいたい期待値が高くなりすぎてがっかりするのですが、今回はかなり良かったです。ちなみに、今まで原作を読んで、映画化された作品で期待通り、原作に忠実!と感じたのは「刑務所のリタ・ヘイワース」ですね。とは言え、この直後に読んだ飛 浩隆さんの「自生の夢」(の感想は こちら )のスケールの大きさ、同じ文字や認識や哲学を扱った作品としてはこっちの方が好きですし、凄いです(←5年後でも10年後でもいいから映画化希望、非常にサイケデリックな作品になって欲しいです!)。
で、映画はなかなかSF映画としては難しい、難易度の高い表現が求められていたと思いますが、映画化する上でのバージョンアップや工夫が効いていて、とても良かったです。この監督の「灼熱の魂」(の感想は こちら )という映画も見ているんですが、こっちも脚本上の問題はあるにしても映画としては、結構良かったです、めちゃくちゃヘヴィーな映画ですけど。しかも、今年の秋には「ブレードランナー2049」もありますし。
ただ、原作との改変で少し気になる部分もあり、もう少し原作は個人に寄せた話しだと思いますが(正直、原作ではどちらとも取れると思うけど、私は過去の出来事だと思います)、それを世界にしている事で、かなりスケールの大きな話になってしまい、且つ、とあるヒールが必要になって・・・という部分が乗れなかったです。いわゆるパラドクス問題が立ち上がってますし・・・もう少しここは世界でなく個人に寄せるべきだったんじゃないかな?とも思いました。「灼熱の魂」もそうですけど、丁寧に積み上げているのに、いや、だからこそ、ちょっとの匙加減で翻って粗が目立つのが、この監督のような気がします。ちょっと厳しい意見になってしまいましたが。もろ手を挙げて大絶賛、にはならないんです・・・
宣伝で映画監督たち(あの、押井 守監督や、樋口 真嗣監督まで!)が褒め称えているのは理解できますが、うん、私としてはやはり改変部分がどうしても乗れなかったし、やはりドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品は素晴らしい部分も大きいけど、だからこそ、少しの粗が余計に目立つ感じで個人的には残念な作品になってると、今のところそう思っています。なので、ブレードランナーの続編への期待が少し下がってくれて、個人的には観て良かったです。
原作を1度読んでいると、理解しやすいと思います。あと、全然伝わらないとは思いますが、原作ではなく、改変しているこの映画は「ビルとテッドの大冒険」のラストだと思います。私はやはり原作の方が良かったと思いますね。
SF映画が好きな方、文字や文章を読むのが好きな方にオススメ致します。