ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ 監督 ビターズエンド
予告編を何気なく見て気になってた作品です。
結局劇場には間に合わなかったのでレンタルで視聴しました。最近は劇場からDVDになるまでが早いですね。
小さな診療所の代診ジェリーは研修医と2人で、研修医を指導しながら診療を行い、在宅診療も行うホームドクター。研修医ジュリアンはまだ若く、なかなか言う事を聞いてくれません。そんな中、診療所の閉院時間を1時間以上過ぎているのにブザーが鳴り、たまたま研修医とぶつかり、しかもその後新たな、好条件の勤め先の内定パーティがあった為に、その訪問者を無視した結果…と言うのが冒頭です。
非常にサスペンスフルな作品でした。しかもかなり上質。とても見事な人間成長譚にもなっています。
医師であるジェリーの、とても複雑な心情を、決して言葉では説明せず、淡々と、少しづつ、理解していくストーリィです。
ジェリーの動機はとても理解出来ますし、医師として必要な気質だと感じました。ここまで1人の患者に向き合おうとする性格は、医療従事者として向いていると感じます。
また自らの非を認める強さ、平行して、同じように自らの非を認め、研修医を指導する立場の職責を果たそうとする、戒めも理解出来ます。人として凄い。
最後に明らかになる事実、それと向き合う強さも、非を認め、努力し続けた結果、初めて手にした強さだと感じました。
医療現場の端っこの端っこにいるモノとして久しぶりにもっと真面目に取り組まねば、と思わせてくれた作品でした。劇場に観に行きたかったです、本当に残念、少し会の仕事について、考えさせられる時間でした。
ジェリーの、何故あそこまで、と感じる人もいらっしゃるみたいですが、人がいなくなるとは、そういう事ですし、他者を助ける仕事を生業とするのであればなければいけない気質だと思います。
ラストのラストでの真相こそ、刑事ではないジェリーだからたどり着いた地平だと思います。
また、私は男なので、ブライアンの父の哀しさも感じます。もちろん決して褒められた行動ではないし、コントロールすべきリビドーです。ですが、そんなリビドーが存在し、歳を経ても、無くならない事に、哀しみを感じます。ホントに哀しい。
医療に携わる人に、オススメ致します。