毎年1年が早くなっているように感じます。また11月末に転んで足首の腓骨骨折と、老いを感じる1年の締めくくりになりました。普段も気を付けていたにも拘らず、怪我する時は怪我してしまうんだなぁ、と感じました。松葉杖生活はなかなか大変で周りの人いいろいろご迷惑おかけしています。
さて、そんな中ではありますが、今年観た2017年公開映画の勝手な、ごく私的な、私の好みの判断だけで出来上がったランキングです。まぁ毎年たいした数の映画を観ているわけでもないので、非常に浅はかな、自己顕示的な、自己満足な文章です(このブログ全体がそうなんですけど)。それでも今年公開映画という意味では私の中では結構見れた年でもあります。昨年があまりに面白い映画が多かったので、昨年と比べるとややこじんまりしている印象があります。
あと、見逃してしまって残念に思っている作品としていくつかありますけど、
『ゲット・アウト』 ジョーダン・ピール監督
『希望のかなた』 アキ・カウリスマキ監督
『ギフテッド』 マーク・ウェブ監督
『パターソン』 ジム・ジャームッシュ監督
『否定と肯定』 ミック・ジャクソン監督
『散歩する侵略者』 黒沢 清監督
そして某所ではとても盛り上がり祭になったという『ハイアンドロー ムービー』の2、3を見逃しています。
特に『希望のかなた』と『パターソン』、そして『否定と肯定』を見逃す事になってしまったのは間違いなく怪我してしまったからで、大変悔やまれます。
それでは、勝手なランキングに行きましょう!
10位 『わたしは、ダニエル・ブレイク』 ケン・ローチ監督
社会派のイギリス映画、めっちゃ有名な、しかし私は初見の監督、ケン・ローチ作品です。社会の出来事には全然詳しくない私でも、この作品の素晴らしさ、と言うかとても丁寧に作られている事が理解出来る作品でした。決して重いだけの映画ではなく(もちろん重い部分もあります)、映画として面白い作品に仕上がっているのが素晴らしいです。『ムーンライト』と迷いましたが、私はこちらの映画の方が好きです。昔気質の大工が隣人とカフカ的な組織と尊厳をかけて戦う話し、そうか大好きな映画『未来世紀ブラジル』に似てるからなのかも!
9位 『三度目の殺人』 是枝 裕和 監督
かなりの不条理劇だと、私は解釈しました。だけど、役者さんの、特に役所広司さんの演技がすさまじいです。また、とあるどんでん返しがあるのですが、その事が起こる事と、個人の葛藤と、また司法制度の難しさが浮き彫りになっていて、凄く(失礼な言葉使いになりますが)面白かったです。是枝監督作品の中では異色だと思いますけど、私は好きな映画でした。カッコイイ福山さんもいいです、けど、広瀬さんの凄さみたいなものは感じられなかったです、普通な感じがしました。是枝さんは子役を指導が凄いので有名ですから、少し期待し過ぎたのかも知れませんけど。
8位 『午後8時の訪問者』 ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督 の詳しい感想は こちら
とてもサスペンスフルな映画だと思ってます。初めて見た監督でしたけど、これからはこの監督作品は必ず観に行かなきゃ!と思わせてくれました。私も医療のはじっこのすみっこに携わる人間として、観れて良かったですし、受け入れたいと思いますし、この女性主人公の行動原理の凄さに感心しました、絶対真似できないけど、目指したい方向だな、と。
7位 『夜明け告げるルーのうた』 湯浅 政明監督
天才・湯浅監督の作品が今年は2つ公開された大変珍しい年でした。この監督作品で最も衝撃を受けたのが『マインド・ゲーム』という映画で、この映画は本当に凄いです。湯浅監督が天才と呼ばれるのは、呼ばれるだけの理由があると思いますし、私は納得しています。で、今作も素晴らしいポイントがたくさんあります。けどこの作品は正直脚本には問題が結構あるとも思います、リアリティラインが何処なのか?で引っかかってしまうんですが、それでもなお!サイケで、アニメーションの動きで見せつけてくれます!音楽も良かったです。
6位 『グッド・タイム』 ジョシュア&ベニー・サフディ監督
予告編の映像のスタイリッシュさ、だけで手を出したのですが、当たりでした!これまた全然知らない監督でして、兄弟で監督です、また弟は役者としても出演しています、非常に重要な役で、しかも上手いです。この映画は、ある瞬間から、突然走りはじめるんですが、その後ノンストップで駆け抜けるタイプの映画です。次にどうなるんだろう?と思わずにはいられない映画でした。すっごく面白いのですが、全然噂を聞かなかったです。この監督作品も劇場でかかったら必ず行かなければ!と思ってます。音楽も素晴らしいです。
5位 『聖なるもの』 岩切 一空監督 の詳しい感想は こちら
この監督はMOOSIC LAB2017で知りましたし、この界隈の方々が口を揃えて「すごいです」と言っていました、その界隈の方々は私の子どもと言ってよい年齢で、能力的には物凄い能力の高い人たちなんです。東京の大学生すげぇ!と(私は出身は東京ですが地方ダメ大学出身者です、もちろんダメな部分もたくさんありますけど、出身なので大事でもあります)思います。で、観たら凄かった!!です。しかし大学生でこんな事やってるなんて、自分の大学時代の文化的僻地からすると天国のように見えます。まぁ仮に私がその中にいてもダメ学生だったでしょうけれど。wヒロインが両方ともスゴイです。
4位 『ベイビー・ドライバー』 エドガー・ライト監督
大好きな監督エドガー・ライト。そのエドガー・ライト監督が大人になってしまいました・・・素晴らしい映画です、本当に凄いです。でも、あの「ショーン・オブ・ザ・デッド」とか「ホット・ファズ」みたいな映画も撮って欲しいんです・・・非常にアンビバレントな、まるでエドガー・ライトのお父さんになってしまったかのような心境になります。でも映画として素晴らしいです。もう何処でも『エドガー・ライト監督作品好きです!』って言えます。前も言ってましたけど、勇気がいらなくなりました(笑)
3位 『なっちゃんはまだ新宿』 首藤 凛監督 の詳しい感想は こちら
3位でいいのか?とも思うんですが・・・とにかく観て!そして、観たら私と話しませんか?という映画です。正直に言うと、もし、骨折してなかったとしたら、あと3回は劇場に足を運んでいたと思います。都合4回観ました。たった4回ですみません、という気持ちになるくらい心掴まれる映画でした。とにかく、観られるチャンスがあったら観てください、スゴイです。秀逸なタイトルだと思いません?
2位 『虐殺器官』 村瀬 修功監督 の詳しい感想は こちら
大好きなSF作家の伊藤 計劃さんが原作ですし、制作が1度頓挫した、と聞いていたので、大変ショックだったのですが、ついに公開されたので、2位とさせていただきました。原作をよくぞここまで映像化してくれた、ありがとう、という気持ちでいっぱいです。アニメーションでしか描けない、いや、もちろんハリウッドの大資本でCGで作っても素晴らしい作品になると思います。が、この作品は日本で、アニメーションで作ってくれた事に意義があると思っています。確かにアニメーション映画ですが、観る人を選ぶ傑作だと思います、原作が素晴らしいからこそ、ですけど。めちゃくちゃヘヴィーな話しです。地獄、とは何処にあるのか?という話しです。
1位 『ナイスガイズ』 シェーン・ブラック監督 の詳しい感想は こちら
今年は役者としてはライアン・ゴズリングの年だったと思います、『ララランド』しかり『ブレードランナー2049』しかり。観ていて気持ちいい、クールでハンサム、演技も上手くて最高の役者さんが当たり役で大作に、1年のうちに立て続けに(まぁ日本での公開では、という事になりますけど)2本出演している、両作品とも非常に宣伝され、注目されました。スゴイ!でも私はこの『ナイスガイズ』の やすい ライアン・ゴズリングが大好きなんです。まるで『インヒアレント・ヴァイス』のような『ビック・リボウスキ』のデュードのような、そんなマーチ探偵がまた観たい!続編を強く希望しています。
以上、あくまで私的な2017年の映画ランキングでした。
今年も大変いろいろな方にお世話になりました。
年内は28日まで診療致します。
皆様、良いお年を!
大晦日は1年に1回しか無いので、今年も最後はいつもの動画にしようかと思いましたが、大晦日、と言えば、この映画も大晦日です。
なので今年はちょっと変えてみました。
このセリフ、全てが面白いんです。
ライアン・ジョンソン監督 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
只今絶賛骨折松葉杖生活中なので、大変映画館が遠いです。
が、やはりSWですしね、何しろⅦが良かったですから、続きも気になりますので、必死に御近所の映画館に行きました。
ついにルークの居所を掴み会いに来たレイ。またレジスタンス組織はファーストオーダーに強襲を受けていて…というのが冒頭です、Ⅶの直後からです!
すみません、SW信者の方々からはお叱りを受けそうな感想になってしまいました・・・正直な感想としては、長い、長すぎる、と思ってしまいました・・・SWを観ていて長いと感じた事って今までではあまり無かったと思いますが(とは言えⅡとⅢも長かったかも笑)、今までで1番長く感じた2時間40分でした。
監督の前作「ルーパー」(の感想は こちら )は楽しく観ましたし、まぁこれはジョセフ・ゴードン=レヴィットが出演しているだけで楽しくなってしまった部分もありますけど、でも良かった印象がありますし、映像的に凄く良かったですし、特徴的な赤色の効果的な使い方(と言いつつ、赤演出もちょっと盛り込み過ぎな感じもしますけど・・・)、何と言っても前作では主役として大丈夫なのか心配だったカイロ・レン役のアダム・ドライバーさんがとても良かったです。もちろんもう1人の主役デイジー・リドリーさんも美しかったですし、何と言ってもルーク・スカイウォーカーが出演していますしね!
観に行って良かった!と思ってます、思っているんです!
けど、けどなんです・・・そう思いたい私と、いや、待て!ここはどうなの?という私が、観終わった後ずっと頭の中で会話していて、昨夜はあまり眠れなかったです・・・
でもSWを観た事ある人や、デイジー・リドリーが好きな方、アダム・ドライバーが好きな方には間違いなくオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ここから完全にネタバレになってしまいます・・・どうしてもネタバレしないで感想が書けませんでした・・・というか、なんか納得できないんですね、いい解釈をしたい自分と、ツッコミの自分がいて、どうしてもツッコミの自分が勝ってしまいます。
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なので、まず良かったところ!
1アダム・ドライバーがカッコよくなってる!ちゃんと主役に見える!
2相変わらずデイジー・リドリーが可愛い上にカッコいい!でもちょっと太った?そこもまたイイけど笑
3映像が素晴らしく綺麗!
4BB -8は主役!無敵!
5Xウイングの冒頭戦闘シーンの炎の打ちはらい反転シーンサイコー!
6やっぱ音楽はアガる!
7カイロ・レンとレイのタッグ戦がアガる!
8良く見るとレイアとアダム・ドライバーの目の周囲は似てる気がしてきた!親子っぽさ感じられた!
9相変わらずチューイがカッコいい!
10塩の赤いシーン最高に映える!
10もある!やった!いい所ばっかりな気もしました、観ている途中までなんですけどね。
ええ、SW何だから、やっぱ楽しいっす。ホントは続編作ってくれて嬉しいっす!
でもね、でも、気になる事も多過ぎるんです・・・
あ、ココからしばらくちょっと嫌な気分になる文章が続きます…
はいはい、たしかに爆弾投下シークエンスはアガりますし今までのSWでは無かった見所だけど、爆撃機が脆すぎる…自殺行為だし、ならその爆弾を飛ばせなかったの?しかもなんで投下ボタンがわざわざ離れた場所一個しかないの?普通いくつか作りますよね・・・
ルークさん!もう少しレイに優しく、もう少し早く心開いてください・・・(いや、もちろんR2-D2のフォログラムは観たかったですから、よくわかりますけど・・・)葛藤の理由が飲み込めずらい、早くカイロ・レンとの確執を説明してたら、もう少し違った師弟になれたんじゃ・・・というか師弟にすらなってないような・・・
レイアさんが無敵過ぎる!宇宙空間から(確かにⅤでも簡易過ぎる酸素マスク程度で宇宙空間出てたけど失笑)戻ってこれるなんてもはや最強のジェダイなのかも・・・
レジスタンスの方々がクルーザーで逃げるシーン、宇宙空間ですよね?慣性の法則とかありますよね?なんで大型船が小型船の出力に負けてしまうのか?全然ワカラナカッタです・・・爆弾投下もまぁそうなんですけど・・・
そのレジスタンスの意思疎通が無さ過ぎ、無為無策過ぎ!内乱なんてこんな小さな組織でやってる場合じゃないでしょう・・・というか説明してたら良いだけなのに・・・
高速で移動中のクルーザーから出てって、わざわざ解除の達人探す下りが飲み込みにくいです・・・それなら、もうその重要な部品を全部壊せばいいのでは?しかもその間ファーストオーダーも黙って追っかけるだけなのが理解不能でした・・・ファーストオーダーってそんなに組織小さいんでしたっけ?挟み撃ちに出来る別働隊もいないのでしょうか?それこそ何隻か先回り出来るポイント(進んでる方向は分かってるんですから・・・)まで亜空間ワープすれば終了なのでは・・・
カジノシーンのコード解除の達人探す場面いるのでしょうか?しかも牢屋に入れられたらちょうど達人いたって、ご都合主義すぎませんかね・・・
確かにベニチオさんはちょっと良いキャラでした、だけど何しに出てきたのか?都合よく退場しちゃうし、誰だったんだろう、何だったんだろう・・・
ローズさん、あなた整備士って言ってましたよね?イキナリ戦闘機乗るのですか?しかも助け方がすさまじすぎます・・・
スノークさん、あなた結局誰からシスとしてこれだけどの達人になったんですか?シスって全滅してましたよね?しかもこんだけいろいろやってて最後は油断で死んじゃうのがちょっと・・・
カイロ・レンとレイのタッグなんてある種無敵のはずなのに、スノークさんの近衛兵である赤い甲冑兵隊さん方が強すぎる!結構惜しいじゃないですか・・・
ローラ・ダーンの亜空間ワープ特攻、それありなら、もっと兵器化される何かあるでしょうね・・・すでに開発されてますよね、普通・・・あとやるならもっと早くしないと・・・被害甚大過ぎる…
キャプテン・ファズマさん、あんた何しに出てきたんですか?キャラクターへの制作者側からの愛があまりに軽過ぎますよ・・・
BB -8大好きですし、可愛いですよ、でも物事の解決が上手すぎます!だいたいBB-8さん1体で全部なんとかしてますよね、困ったときのBB-8・・・だから一緒に行動してる人間が無能に見えるのがちょっと・・・全部BB -8だけ潜り込ませば良かったんじゃ・・・
フォースチャット便利過ぎる!恋人同士にしかか見えないです・・・サービスショットなんでしょうけれど・・・
なんでマスター・ヨーダだけ都合よく出演なんですか?この壮大な親子ゲンカの責任者であるジェダイになったダースベイダーこそ出てくるべきだし、オビ・ワンだって出てきて欲しかったです泣・・・
レジスタンスの無為無策から閉じこもり戦略で救難信号で誰だか分からない助けを求めるなんて、無為無策の上塗りでしかないような・・・
ルークの幻影ってもうジェダイ何でもアリなインフレーションを起こしてます・・・しかもなんで最初の数回はライトセイバーで打ち合う必要あったんでしょうか?ライトセイバーも幻影なら打ち合えないはずじゃ…
レジスタンスの生き残りが少な過ぎるし(まさかのミレニアム・ファルコンに全員乗れる…)、でも主要キャラだけは助かってるんですよ・・・なんか納得し難いんです・・・その他の人々が蔑ろにされてる感が強過ぎますよ…
なんかLGBT的な配慮の為なのか、もしくはチャイナマネー忖度か分かりませんが、どうも上っ面だけな感じがします・・・恋愛要素っていらないのでは・・・
ポーとフィンの絡みが少な過ぎます・・・、もっとアガるシーンになるはずなのに・・・今回のポー・ダメロンの扱いにも制作者の愛が感じられないです・・・
ルークを悪くしないとストーリィが進まないなんて悲しいし、もう少しルークの言い分や仕方の無さを描写してくださいよ・・・2時間40分もあるんですよ??ココが一番納得出来ないです・・・
今のところレイの両親は無為の人って事になったんですが、次作でまさかミディクロリアン値測定とか、実は両親は、とかやらないで下さい・・・お願いします・・・
もちろん作ってくれた事には感謝してますし、Ⅸも観に行きますよ、でも、なんか、もう少し何とかなったような・・・
ルークをあまりに悪くしないと(寝首かくまで、ですよ・・・)進まない話しなんて残念過ぎます、そりゃそうかも知れないけど(ジェダイはだいたい弟子を育てるの失敗してるけど)、ルークだってかなりの才があったはずなのに、簡単に上を行き過ぎなんです、強さのインフレーションが起こってます。カイロ・レンは確かに凄い片鱗があったかも知れませんけど、あまりに不安定過ぎるじゃないですか、部下や機械に当る人なんですよ・・・感情的に駄々っ子じゃないですか・・・
壮大な親子喧嘩= SWでしたが、新三部作は向こう三軒両隣辺りまで喧嘩が広がった感じがします。スカイウォーカー家から親戚筋まで、ね。
とは言え、私には何も作れませんし、制作してくれた事、完成させてくれた事には感謝しております。
ポール・バーフォーベン監督 ソニー・ピクチャーズ
ヴァーホーベン監督作品は以前にも感想を書いた事がありますけど(映画「ブラック・ブック」の感想は こちら )、とにかく変わった監督です。どう変わっているか?は観て頂くのが1番ですけど、予定調和を壊す、という意味で変わっていると思います。
とにかく衝撃作ですし、まあいつものヴァーホーベン作品ですので、非常にイジワルく、紋切り型のキャラクターから逸脱した行動を取ります。そのキャラクターなら、こうなるのでは?という観客のある種の期待や予想をことごとく裏切る展開が待ち受けてます。まぁいつものヴァーホーベン作品だと思えば間違いないです。
まあ今回はミシェルの特異な生い立ちから、分かる気もしますが…まあぶっ飛んでますよね…とにかく普通の感覚ではありません、が、だからこそ浮き彫りに出来る『何か』があるとも言えます。
また、その犯人の『必要があったから』というセリフにもかなりの狂気を感じますけれども、その関係者がぼそっと呟く『短い間でも引き受けてくれて〜』がさらなる狂気と、信仰の醜さと言いますか視野の狭さを表していて、恐ろしいです。
人は欲望を持つ生き物で、本能の赴くままに行動した結果を引き受けさせられるのですが(余談ですが、今読んでいる「中道態の世界」國分巧一朗著 ではそうではないかも知れない、というとても面白い考察をしていて、刺激的な本です!)、だからこそ理性やカントの言う悟性があり、何をして良いのか?同意が必要か?法律に反していないのか?等を考える生き物だと思いますが、この映画の主人公であるミシェルは、私には欲望に忠実過ぎる人間に見えました。
特に、とある人物に足を絡めに行ってるの部分は大変如実です・・・まぁ仕方のない人だと思います。しかし、生きている人間は誰しもがリビドーに支配された悲しい煩悩の犬、というだけなのかも知れません。でも犯罪になるなら普通は行動を起こせないと思いますけれど。
確かに、ミシェルの、恋人としての側面、母としての側面、娘としての側面、経営者としての側面、友人への側面、様々な人間の一面が含まれ、しかも主観や客観をも感じさせますが、まあ狂ってるように私からは見えました…
出てくる人間の誰もが人には言えない何かを抱えていて、その闇の深さに、またとても考えさせられます。誰もが心に後ろ暗いヤマシイ思いを抱いているわけではないと思うのですけど。
それでも、やはりミシェルの特異性は恐ろしさを、畏怖を覚えないわけには行きません。もう少しリビドーを抑えるのが人間だと感じています。
哀れな人間をこれでもか、と、特に性に対して思わせる映画でした。
いろいろありつつ、最後に展開するのは、母として、と、同性友人との関係だと言うのはまだ救いがあるのかも知れないです。それでも、散々批判していたある機関を、最後の最後に自分にとって都合が良くなると頼るのか!というのが私には飲み込みにくかったです。