デビッド・ロバート・ミッチェル監督 ギャガ
いや〜久々にヘンテコリンな作品でした。多分今年の謎映画として、カルト的な人気作品になる事でしょう。初めてこの監督作品観ましたけれど、様々なレイヤーから成り立ってて、美術もライティングも画角も構図も音楽も映画内映画場面も、めっちゃくちゃカッコイイです!!だいたいこういうのが好きな人なので感想が甘くなってしまいますが、『インヒアレント・ヴァイス』とか『ビッグ・リボウスキ』とかの謎追い系探偵ムービーです。
ただし、結構いろいろな要素で出来てます、一筋縄じゃ行きません。ポップカルチャーしかり、ヒッチコックしかり、謎しかり・・・なんかアレハンドロ・ホドルスキー監督がサンプリングを覚えて、デビッド・リンチ風テイストで、2018年を象徴する映画を作ろう!としたかのような、そんな作品です。
サム(アンドリュー・ガーフィールド)は隣のハイツの住人50代とおぼしき女性を、ベランダから覗き見ています。ハイツの中庭にはプールがあります。そのプールに美女が大きな音で音楽をかけながらやってきたので・・・というのが冒頭です。
謎のヒロインをライリー・キーオが演じていて、正直この主演2人以外、全然知らない人ばっかりです。が、この知らない人が多いのも、不安感といいますか不穏感といいますか、いろいろ相乗効果がある気がしました。
まず何と言っても絵が綺麗!とにかく綺麗!すっごくシャープにピントが合っていて、その色彩も画角もセンスの良さを隠しようもないくらいにイイです!惜しげもなく美女がやたらと身体の線を魅せるのも素晴らしいです。やはり美しさには人を黙らせる強さがあります。
あ、いつも通り、愚痴ります、すみません。
日本国の自主規制、映像倫理機構である映倫さんが、独自の卑猥についての解釈から ぼかし を入れてくれてます、結構な大きさで、です。いや、これもう隠す方が異常に卑猥に拘ってると思えて来ます。いっそ更なるゾーニング『+R20監督意向最大限尊重ゾーン』を作って欲しいです。大人にはせめて、大人への対応をして欲しいです。私は ぼかし を入れる事が作品に対する冒瀆以外の何物でもないと思います。卑猥かどうかを映倫に判断して欲しくないし、時代は変化して常識も変化するものです。
愚痴り終了
音楽!まるでヒッチコックじゃないか!ってくらい似てます、というか覚えてないけど、覚えてるって事で、曲だけ聞いても分からなかったと思いますけど、こういうシュチエーションで聞かされたら、あ!ヒッチコック!ってなる感じのBGMですっごくイイです!
ポップカルチャー含む様々なアート、それに類するアートっぽいオブジェなど、すっごくこだわりを感じます。もっとも、このこだわりがこの映画の肝にもなってくると思ってます。だって誰にとってもアート作品であるには時代の経過が必要で、だからこそポップカルチャーはアブクのようなものであるわけで、玉石混交なわけです。この玉石混交だからこそ自信をもって「これは素晴らしいです」とはなかなか言えない雰囲気が、陰謀論にブーストをかけているように感じました。
ストーリィは、本当に摩訶不思議な世界で、何が現実で、何が虚構で、誰の虚構なのか?がどんどん分からなくなるように、作ってます。だから誰かと話したくなるし、何回も見たくなる作りになってます。
ただ、私の個人的解釈、ですけど、映画内リアリティは今回の作品には無くて、あくまで映画的なリアリティを追及、ここまで映画作品として出来ますよ、的な表現なのかな?と感じました。理屈ではなく、そういうモノとして、受け入れてね、という部分は大変デビッド・リンチに近いものがあります。というか、デビッド・リンチ作品の方がまだリアリティに対して調整して配慮してくれてる気がします・・・
この映画全部含めて、すっごく懐かしいのに新しい、という稀有な作りになってて、そこが好きです。
あ、アンドリュー・ガーフィールドさんのファンは絶対の必見作品に仕上がってます、ファンの人オススメです。おかしなガーフィールドさんが2時間以上も見られる作品はそうは多くないはず!もしくはカルトムービーが好きな方に、意味よりも印象な方に、オススメ致します。