井の頭歯科

「ペンタゴン・ペーパー/最高機密文書」を見ました。

2018年12月15日 (土) 09:22

ステーブン。スピルバーグ監督     20世紀フォックス ユニバーサル・ピクチャーズ

2018年見逃し後追い作品その10

S・スピルバーグ監督、巨匠ですよね。好きな作品もありますけど、そこまで思い入れがある監督ではありませんが、なにしろ現代の巨匠、扱っている題材も興味がありますし、後追いですが見る事にしました。今年公開作品であと3つほど見たいと思っている作品があるのですが、これも見たかったので。

1971年、ベトナム戦争が泥沼化しているその最中。NYタイムズは政府の最高機密文書であり、ベトナム戦争について重大な事実を扱っている文書、通称「ペンタゴン・ペーパー」のリークを受けて記事を掲載します。そのころワシントン・ポストの社主は自殺した夫の後を受けて妻のキャサリン(メリル・ストリープ)が株式上場を控えて役員に説明をしているのですが・・・というのが冒頭です。

同時期に撮影していた、大変権利的に難しかったであろう大作「レディ・プレイヤー1」の合間に完成させた、というスピルバーグの凄さを感じます。おそらく、トランプ政権批判としてなんじゃないかな?とも思います。報道の大切さと共に、ネットの発達した現代からみるとまた違った感覚もありますけれど、根本は同じ話しだとも思います。報道の自由、大変重要な話しだと思います。

政府との関係、個人的交際と記事との兼ね合いの問題、知る権利の行使と法治の重要度の問題、本当に様々な面をとても短い時間で上手くまとめて魅せる脚本にも演出にも素晴らしいものがあります。

それを名優であるトム・ハンクスとメリル・ストリープが演じるわけですから、大変説得力あります。

社主であるメリル・ストリープは友人関係と報道の自由の間で葛藤するのですが、政府関係者と親しくなればなるほど、客観的に立てなくなる危険性は承知しながらも、報道機関としての立ち位置をどう担保するのか、特に家族経営をしている新聞社としては難しい立場です。

報道の自由を確立するのは報道する事だけだ、というトム・ハンクスの立場も重要です。国家の機密を扱うとなると、相対する国防長官のマクナマラの主張する「戦争中は冷静になれない、この機密文書は歴史的に検証される事は望むが、今公表すべきではない」という主張にも理があると思います。しかし、現実に、恣意的な情報から正しい判断を下す事は出来なくなるし、既に泥沼化していた現状を考えると、私は報道するとした判断は支持出来ると思います。

でも、現代の日本ですと、公文書の改ざんが行われている可能性がある、いや事実あったわけで、もう1回あったという事は、多分何回か、いや何回もしているんだろうな、忖度という修正入ってるんだろうな、と思うと暗澹たる気持ちになります。後世に判断してもらう為にも正確に事実のみを書くのが公文書の役割だと思うんですけど、まぁリークされる危険性よりも、後世に判断できるように書いておく事を重要視しているのは立派だと思います。その点日本ももう少し何とかして欲しいですけど、公文書の改ざんをしても特に処罰が無いのは、ちょっと信じられないですね・・・

まぁこの直後に、ウォーターゲート事件があるのですけど、もし、無かったらどうなっていたのか?と考えると怖くなりますね。

最高裁判事をめぐる2018年の状況を考えると、かなり怖い話しでもあります。

報道という事に関心がある人にオススメ致します。

ブログカレンダー
2018年12月
« 11月   1月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  
アーカイブ
ブログページトップへ
地図
ケータイサイト
井の頭歯科ドクターブログ