アルフォンソ・キュアロン監督 Netflxe
ヴェネツィア映画祭でゴールドライオン、最優秀賞を獲得した映画、2018年12月に映画館ではなく、Netflxeで公開していたので見ました。
ある邸宅のタイル張りの床。誰かが掃除をしていると思われる音。水たまりに飛行機の影が映ります。そんな冒頭です。
とにかく、何も説明されない映画です。しかし、説明はしないけど、大変多弁な映画でもあります。もし、ヨーロッパ系の映画がお好きな方であれば、大変オススメの映画です。
キュアロン監督というと、「ゼロ・グラビティ」(の感想は
こちら )1作しか見てないんですけれど、エンターテイメント寄りの方かと思ったら、そうでもないのが分かりました。とにかく映像がシャープ!美しいです。全編モノクロの映画なんですけれど、極彩色に彩られた映像に見えます、本当に、そう見えます。
カメラの動き方も非常に独特で、左右にしか動きません。上下にはほとんど動かなかったと記憶しています。非常に淡々とした日常が描かれ、途中にやっと年代は分かるものの、正直ROMAが何を指しているのか、全然分からないんですけど、でも、この映画は後世に語り継がれる、という事だけは理解出来る傑作映画です。
住み込み家政婦の日常を描いているんですけれど、そして、使われる側の視点を描いているんですけれど、世界がこんなにも美しく、残酷で、それでいてかけがえのない一瞬の連続、人の営みの儚さ、だからこその愛おしさ、子供の愛らしさ、本当に様々に掬い取ってくれます。衝撃的な映画体験だと思います、控えめに表現しても。
浜辺の一瞬の美しさ、そこに『家族』がいます、正真正銘の、家族が。私は家族という言葉から連想するのは、まさに『檻』という言葉ですけれど、この映画の中には、美しい家族が確かに居ました。そういう意味では2018年の傑作映画「万引き家族」(の感想は
こちら )と同じような疑似家族を描いた傑作だと思います。
飛行機の影が何を指しているのか?私には完全には理解出来なかったけれど、でも、あの、空を飛んでいる飛行機の影を見るだけで、何と清々しい事だろう、と感じる事が出来た。
およそ私が生まれた年の、何処かの海外の都市の生活を描いています、セット等、物凄くお金がかかっていると思います。
雇用主と使用人、モンゴロイドと白人、男と女、持てるものと持たざるもの、子供と大人、望むものと望まぬもの、犬と人、警察機関と民衆、都会と田舎、様々な対比がなされますけれど、そのどちらにも、公平なフェアネスと、愛おしさを感じるカメラワークが本当に観た事ないレベルでした。
もう1点、特に強調しておきたい事として、ぼかしを入れてない事、です。この1点を於いても、素晴らしい作品だと思います。日本固有の文化『ぼかし』が配信ビジネスによって早期になくなる事を願いつつ。きっと内部での改革で改善されることがほぼない日本文化でも、外圧にはあっさりと変化するので、きっと将来的には無くなると思いますけど、出来れば出来るだけ早く消滅して欲しいです。
海外文化に触れてみたい方に、家族のいる人に、オススメ致します。