ハル・ハートリー監督 POSSIBLE FILMS
吉祥寺に新しい映画館「アップリンク」が昨年末からオープンしています!でも、その場所は昔、パルコ・ブック・センターという吉祥寺で1番好きな場所でした。小学校4年生くらいから昨年までですから、38年間くらい通った本屋さんが無くなってしまった事は大変ショックでした。昔、パルコ・ブック・センターにはエスカレーター裏には洋書や美術書がならび、それこそ小学生の頃の私にとって自分の足で行ける本屋さんの中で最も充実した書籍がある本屋さんでした。その後リブロになったり、またパルコ・ブック・センターになったり、書店員さんに顔を覚えられたり、本当にいろいろな事がありましたし、想い出がたくさんあったので、悲しい出来事ではありますが、仕方が無かったのかも知れません。そもそもリアル書店はどんどんなくなってしまっていますし・・・でも、それとは別に、吉祥寺にミニシアターが新しく出来る事には、興奮を覚えます。
小さな場所ですから、まぁスクリーンは3つが限界だろうな、と思っていたら、驚いたことに5スクリーンもあります!!!すっごく驚きました。そこで、なかなか現在でも観る機会の少ないハル・ハートリー監督の3部作がかかっていたので、早速足を運びました。
高校生のマリアは大変奇抜な恰好をしていて、妊娠した事が分かり、高校を退学すると両親に宣言するのですが・・・というのが冒頭です。
何と言いますか、すっごく久しぶりにTendernessな映画を観てしまいました。制作されたのは1991年、28年前の映画です。
しかもこの映画はハル・ハートリー監督の長編デビュー作というのですから驚きがさらに大きい衝撃に変化しました。とてもスローテンポな展開なんですが、大変上手く構成されているので107分の上映時間はかなり短い体感でした。
高校生の女の子が、身をもって成長し、そばには大変生苦しい男が居る、ストーリィだけ書き出せば1行で終わってしまいます。でも、とても良い映画体験でした。
音楽も素晴らしかったですし、家族という檻を感じた事がある人には共感できる事がたくさんあると思います。主人公の女の子を女優エイドリアン・シェリーの幼くて、それでいて刺々しくしか表現出来なかった出口が、ある経験から見た目ではなく態度を、心持ちを改めるキャラクターを大変リアルに演じていて素晴らしかったです。また、同じように本心を隠す事が出来ない、鬱屈を暴力で表現してしまう、しかし真面目な青年をマーティン・ドノヴァンが好演しています。こちらも素晴らしかったです。
音楽も素晴らしく良かったんですが、これは吉祥寺アップリンクの音響の方にも感謝すべきかもしれません、音響の感覚気に入りました!
社会に向き合う為に、成長しなければいけなかった全ての人にオススメ出来る映画だと思います。
また、アップリンク吉祥寺、とっても綺麗な映画館!これからもよろしくお願いしたいです。