ジョン・ファブロー監督 パラマウント
最初にびっくりしたのが、この映画はパラマウント配給なんですよね。MCUが今でこそ凄い会社ですけれど、この当時はスタジオだったんですね。
巨大な軍事軍事産業の創始者を父に持ち、ギフテッド的な才能も有しているトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は非の打ち所がない男です。今日も自ら作り上げた軍事機密に値するような兵器の実演にアフガニスタンに降り立つのですが・・・というのが冒頭です。
とにかく、これは男の子が好きな要素だけで出来上がってる映画だなぁ、と感じました。物凄く、イイ事しかトニー・スタークには訪れません。その辺をどう捉えるか?で映画の評価は分かれそうです。少なくとも、男の子に向けて作られ、男の子が喜んで映画館に押し寄せ、マーベルが自社スタジオだけでなく、MSUという巨大映画産業を作り上げるきっかけになった作品として、これからも残り続ける作品だと思います。
トニー・スタークの全能感、ここまで衒いなく、男児性を肯定してくれると、清々しささえ感じます。お金持ちで、多くの女性に好かれ、自らの手作り素材で、悪を倒す、まさに申し分ない存在です。もし、トニー・スタークに自分を重ね、感情移入出来るのなら、素晴らしいと思います。ある程度の年齢を重ねてしまうと、ある種の客観性、比較を行える様になって、ここまでのスーパーマンに自分を重ねるのは難しくなると思いますけれど。その非日常ぶりが受け入れられたのかも知れませんね。
私の大好きな俳優、ジェフ・ブリッジスも出演していますし、結構好きな女優さん、グウィネス・パルトローさんも凄く良かったです。
全能感に包まれたい方、非日常を楽しみたい、エンターテイメントに振り切った作品が好きな方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ココからネタバレありの感想です。
この映画が好きな方には、かなり否定的な文言あります、別に無理して読む必要は無いと思います。
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とにかく、トニー・スタークの為の映画なので、不安視される要素をことごとく排除してあって、その点が凄いです。
女性関係に奔放でありながら、まるでお母さんのように自分を肯定してくれる女性秘書(しかも美人)の存在は、本当に都合良くってビックリするほどです。ここまであからさまに『お母さん』を肯定的に扱われると、本当に驚愕しました。本作の中ではグウィネスはまさにお母さんとしてしか表現されていません。お母さんから外れそうになるギリギリのところで外れない部分の匙加減が絶妙です。
また、捕虜生活の中で命の恩人でもある博士は、家族の存在を最大限に善き事として打ち明けておいて、非常にあっさり、トニーを生かすためだけ、に亡くなってしまいます。
さらに、悪人はどこまでも悪人なので、つまり、悪人の組織の中にも、この働きに手を染めないと子供や妻を養えない、とかいう生活レベルが全く写されないので、気持ちよく、トニーが良心の呵責を与えられないで、人を殺せる、のです。ここの匙加減も割り切っていてスゴイ。まさに見た目からして、絶対悪人顔しかしないんですね・・・
ジェフ・ブリッジスもすっごく悪役っぽい姿にされてますし、見た目がサノスっぽくてびっくりしました・・・
さらに、最後の最後も同じで、諸所様々な関係機関の配慮、手配、折衝、交渉、自らの責任を果たす事で告白する、カッコイイ俺さま、という事になっていますけれど、私には、虚栄心を満たしたいけど、ストレートにやってしまっては葛藤が生まれかねない、という危惧を、責任を負うのだから仕方ない、という理由付けをしている事で隠せる仕組みになっていて、恐ろしく上手いな、と思いました。とは言え、私はすっごく気持ち悪い、と感じてしまいましたが・・・
幼児性を肯定、業の工程のような響きがありますね。