井の頭歯科

「ホワイト・クロウ」を見ました

2019年12月6日 (金) 09:03

レイフ・ファインズ監督     キノフィルムス

2019年見逃し後追い作品 その9

私はそんなに詳しく知りませんし、実際に観た事が無い、映像作品と振付作品を観た事があるだけなんですが、何といっても、シルヴィ・ギエムを抜擢し、そして、私はより偉大だと思うマニュエル・ルグリを見出した人、として認識しています。ルグリが、パリオペラ座の生徒に指導する番組「スーパー・バレエレッスン」で踊られていた演目に「ロミオとジュリエット」の有名なバルコニーのシーンがあったのですが、それまで知っていたのはマクミランの振付で、フェリが踊っていたモノを知っていましたし、それが最高だと思っていたのですが、その番組では全く違う振付でした。模範として踊っていたのはエルヴェ・モローとドロテ・ジルベール。この2人がとんでもなく素晴らしかった。しかも、物凄く、難しい事をやっているのです。私は全く、盆踊りすら踊れませんが、ド素人の私が見ても、明らかに、とんでもなくテクニカルな踊りを要求されているのに、そこにロマンティシズムを感じるのです。エコーがかかったかのように、女性のダンスの後を男性が同じ動きで追いかける事で男性が女性に夢中になっている、と分からせる振付は素晴らしいですし、思いが通じた後の喜びの爆発の表現にまず男性だけが踊るというセンスの良さ、その後にユンゾンする事で完全に同じ心持ちになった事を表現する時のクライマックス感、そしてラストの余韻が残って大好きな手を振るシーン!こんなの一部のエリートしか踊れないに違いない、と思って調べてみたら、このパリオペラ座のロミオとジュリエットの振付をしていたのが、ルドルフ・ヌレエフ、この映画の主役です。

この映画は、とても個性の強い、ロシア生まれでキーロフで育ち、フランスへソ連のカンパニーとして公演に来ていた時に亡命する場面を扱っています。ですので、あまりサスペンスは起きにくい映画です。

また、主役を演じている方は結構ルドルフ・ヌレエフに似ていると思います、顔がですけれど。

実際に、どうだったのか?がワカラナイですし、途中で結構キツい展開もありますし、ドイツ系のある人物との描写なんて、ギリギリすぎるとは思いますが、まぁ映画なので仕方ないかも。

私は実際には生のヌレエフのダンスとして、衝撃を受けていませんが、それでも、現代にまで波及させるほどの影響力を与えた人物。映画になっても不思議じゃないです。

ヌレエフに興味のある方に、オススメ致します。

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