2016年に公開された「この世界の片隅に」に追加40分を加えた完全版が2019年に公開されたので、遅まきながら、足を運びました。
あまりに力強い作品で、内容を頭で理解出来ていても、何か掴みきれていないのでは?と感じられていたからです。その後もおりにつれ、5回ほど見直して、やっと腑に落ちる感じになりましたし、素晴らしい映画だと確信持てるようになりました。
1943年、日本の広島に住む18歳の女性すず(のん)を主人公に、当時の日本の広島、また嫁ぎ先である呉を舞台にした、映画です。幼少期の1934年頃が冒頭で、年月は字幕で書き込まれ、その中で生活、生きていくすずを描写しているアニメーション作品。
個人的には本当に素晴らしい作品です。 今回加えられた新しいカットにより、今までとかなり違った印象を持ちました。さらに、すずさんがリアルな、生きている人間として、そしてその夫が、夫としてだけでなく、やはり生きている人間として、描かれています。人は結構間違いを犯したり、ダメだったりする、という事を、この映画でも感じました。
当然、かなり長くなったわけですが観るのであれば、この補完された新しい映画版を、強くオススメ致します。
戦争が起こっていても、それでも、人は何かを食べたり、誰かと話したり、人間関係の葛藤を経験しながら、それでも生きて生活しなければなりません。そんな日常を、あるいは戦争という非日常における生活を、細やかに、丁寧に描写した傑作です。
すずさん、という主人公のキャラクターが、まず素晴らしく、彼女が経験する戦争の中の日常、その生活、人間関係、そして、経験から成長する事、様々な事柄が本当に丁寧に描かれていて、しかもこれはアニメーションでなければ出来なかった表現、またすずさんが得意とする事が絵を描き、創作する、という事で、さらにアニメーションという媒体との親和性、物語上の意味と二重の意味で補完されているのが素晴らしいです。
とにかく、すべての人に観て欲しい映画として、オススメ致します。 コトリンゴさんが歌う唄とのシンクロ率が、たまりません。 大好きな唄になりました。