ジョーダン・ピール監督 ユニバーサル・ピクチャーズ
2017年の映画でしたけれど、見逃してしまい、その後なかなか見れなかったのですが、ついにNetflixに登場したので見ました。大変面白かったです。
クリスは付き合っている彼女の実家に、両親へのご挨拶に向かおうとしています。クリス(アフリカンアメリカン、という表記も分かるんですが、しかし黒人しか表記が無いのも、そろそろどうかと思うんですけれど・・・長いけどアフリカ系アメリカ人にします)はアフリカ系アメリカ人で、恋人ローズは白人(という表記もなぁ・・・ホワイト系アメリカ人って言葉はあるんでしょうか?)なので、その事を両親に伝えてあるか?が気になっています。そして2人で車で出かけるのですが・・・というのが冒頭です。
はい、凄くホラーテイストな映画ですけれど、もちろんそれだけではない映画でした。大変ビターな味わいのある、エスプリの効いた、作品です。私は自分の事が、アンフェアでないように、差別的でないように、気をつけているつもりでも、態度で、言葉で、差別的な事をしてしまいます。または、後で考えると、あ!というような事がある人間です。ので、余計に身につまされるような要素を扱っているように感じました。
その集団の中での立ち位置と言いますか、暗黙の了解を犯してしまったかのような、恐ろしさがあります。立場も理解しているつもりであっても、間違えてしまう事、身に覚えがあるので怖いです。特に、これなら大丈夫、と思った矢先に起こる事が多い気がしますし、そういう時ほど重大な失態をしてしまうように感じます。
自分たった1人だけが、異質な空間に入り込んだ時の恐ろしさを感じさせる映画ですし、その点を、その他大勢が、分かっていますよ~理解ありますよ~と言いながらも、そのポイントが妙にずれている、そんな感覚に陥る、そんな映画です。
まず何といっても、アフリカ系アメリカ人の女性の使用人ジョージナを演じている方の演技力、その笑顔がひきつりつつも一筋だけ流す涙の演技は意味が分かると鳥肌モノの演技力です。もう1名、パーティに招かれたアフリカ系アメリカ人の青年の、とある場面で瞬間的に変化する演技の凄さ、に驚かされました。
私は差別に理解ある方、と思っている方(当然少しは思ってた私含む)にオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ここからネタバレありの、個人的な、こうだったらもっと怖かったな、という映画の結末の話しになります。
未見の方はご遠慮ください。
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とても上手い話しでした。
でも、私だったら、ここまで捻りとキックが効いている作品なら、クリスがパーティで会う紳士淑女の中に警察関係者を1名いれて会話を少しはする客の1人として登場させておきます。この周囲の人々もみんな理解ある人ばかりだよ、的な会話を交えつつ、警察関係者である事だけを伝えておいた上で、クリスが家から脱走、ジョージナを車に運んだ上でローズに撃たれて逃げ出した後、友人のロッドは登場させないで、ローズに馬乗りになった後に、パトカーが到着、何も知らない警官がアフリカ系アメリカ人の男が、ホワイト系アメリカ人女の上に馬乗りの状態を見ただけでクリスを犯罪者と断定、クリスが両手を挙げて投降、クリスが説明しようとするのを遮り、暴行して黙らせた上で、警察上層部の1人としてパーティであった人物が登場し「連行しろ!」と怒鳴った上でにやりと笑いつつエンドクレジット、みたいなバッドオープンエンドになってたら、もっと好みでした。