井の頭歯科

「フランシス・ハ」を見ました と チャッピー先生

2020年3月13日 (金) 08:55

ノア・バームバック監督     ESCAPC SAROU

ノア・バームバック監督の「マリッジ・ストーリー」(の感想は こちら )が面白かったですし「マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)」(の感想は こちら )も好きな映画だったので、Netflixにありましたし、マイリストにもずっと入ってたのですが、なかなか手が出なかったのは、主演のグレタ・ガーウィグに、ちょっと危惧していたからです。

自分がダメ男なので、ダメ男の話しは理解出来ますし、共感はしないし同調もしないけれど、気持ちは分かる。それにやや同情的にもなってしまいます。

が、女性のこじらせた感じは正直メンドクサイと感じてしまう部分があります(もちろんダメ男をメンドクサイと、おそらくほとんどの女性が感じている事は知っています・・・)。そこに、何かしらのセンスがあると、急に近づける感じもあるのですが・・・でもそれは今までの事で、今回は違うかも、と思い、観た次第です。

フランシス(グレタ・ガーウィグ)はモダンダンサーとしてあるカンパニーの研修生として暮らしています。ルームメイトのソフィーとは親友なのですが、ルームシェアしている事で、いろいろ考える事もあります。そんな中、フランシスの彼が引っ越す事になり・・・というのが冒頭です。

大変役者として、面白い、と感じましたグレタ・ガーウィグさん。演技というかもしかすると地なのかもしれないけれど(脚本でもクレジットされてますし)恐らく自伝的なストーリーだと思います。そして、つまらなさそうな時の雰囲気が顔に出すぎです。演技として、なら凄いけれど、なんか違う気がしますし、だからこそ、晴れ晴れとしたときのギャップが凄くイイです。

男性の、ダメな男の、ダメな話しだと割合分かり易く、同情的になれるのに、このストーリィはちょっと乗れなかったです。でも、この主人公フランシスの、何処にも持って行けない、それでいて誰に相談すれば良いのか?も分からない、一時的なショック状態は理解出来ると思いました。

大人なんだけれど、完全に大人ではない、30未満の、それも女性に向けた映画。

ただ、監督の、この題材に対するまなざしは、真剣で、愛に溢れ、そして力強いです。

何となく心情が理解できる人物が、個人的には1人しかいなくて、それは、アダム・ドライバーのルームメイトです。この人の方がフランシスより多分ダメで、よりどうしようもない、と思います。だからこそ、同情的になってしまう。

無目的に、無軌道になれる最後のチャンスを、私はフランシスは、モノにした。と思ってます。

あ、これは、また別の話しかも知れませんが、やはりオマージュとしても「汚れた血」は、ハードル高すぎるし、あれが許されるのは、あの時の、ドニ・ラヴァンだけだと思う。

でも、悪くない映画。特別好きか、と聞かれたら、そうでもない、とも言えるけれど。

まず、モダンダンスの踊て手として、ちょっと、肉付きが良すぎるのが、よりダメさを実感させますし、ダンスのキレがほとんど感じられないのが致命的に理解されられますが、これが演出なら、凄い。多分、地だと思うけど。

しかし、イタいな、本当に。そして、イタ過ぎる過去を開示出来る部分に、私は素晴らしさじゃなく、自己承認欲求を感じます。もう少し受け手が想像出来る余地があって初めて、その自己承認欲求の匂いが気にならなくなる消臭作業だと思ってます。

ま、この後、監督ノア・バームバックとグレタ・ガーウィグが付き合うんですけれど、ね。もしかしたら、この時既に?と考えると、それはそれで、キツい感じ、します。

ちょっとだけ、ネタバレですけれど、結局、私は友人ソフィーとの友情の確認という、あくまで、運命的な再会が無かったら、多分開き直れなかと思うし、そこが気になる。 今回調べて、なんか、ああ、と思ったのは、ノア・バームバックの誕生日はドラえもんと同じなんだ、という事ですね。

追記

時々通勤の最中に。とても人懐っこい、茶トラの地域ネコ(耳の端をカットしているので)私命名『チャッピー先生』がなくなられてしまいました・・・とても、とても残念です、あのもふもふに触れないのかと思うと、突然悲しくなります。どうしても、あの道を通ると、目で探してしまいます・・・でも、いろいろな人に愛されていたんだな、と感じました。ありがとうね。

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