今村 夏子著 新潮文庫
昔はそれなりに本を読んでいたのですが、最近はさっぱりです・・・どうしても仕事を優先させなければなりませんし、読書の時間ってなかなか確保しずらく、さらに、読書の波に乗るまでに、昔と比べて時間がかかるようになりました。まぁオジサンになったわけです。しかし、たまには手に取りたくなる事もあります。今回は友人の方が面白かったとお話しされていたのを聞いて、手に取りました。
今村 夏子さん、全然知らない方ですし、初めて読みました。
1人称で語られる主人公のあみ子視点の物語です。あみ子には父、母、兄との4人家族で、地方都市で暮らしています。そんなあみ子は小学生で、学校に気になる男の子がいるのですが・・・というのが冒頭です。
大変読みやすく、リーダビリティ高い文章です。それでいて、想像をめぐらせる事が出来る幅の大きい文章というのが特徴だと思います。そもそもあみ子の存在そのものがちょっと特殊です。そこを信用ならざる語り手、と取るのか、はたまた作者の意思と取るのか?で受け手側の印象も変わると思います。
また、大変に太い、文章と受け取りました。意志が強い、というだけでなく、度量が広いと言いますか、強さと同時に解釈が開かれていて、かつ、それでもいい、この形でしか伝わらない、という確固たる意志を感じます。あみ子の意思の強さよりも、この形を採らざるを得なかった、今村さんの太さを。
あみ子の自由さ、奔放さ、に憧れるのも理解出来ますけれど、私は、この小説を書く事になった今村さんの太さを、感じました。
多分新しい書き手だと思いますが、もう何冊か読んでみないとワカラナイけれど、とても新しいタイプの女性的な書き手、と認識しました。
タイトルが素晴らしいし、まさに強さ、についての話しだと思います。
強さ、が気になる人にオススメ致します。