増村保造監督 大映
2作目です。
「青空娘」は好みからするとちょっと脚本がいただけなくはありますが、流石に1本で評価できるわけでは無く、次いで見たのが、なんとなくコメディなんじゃないか?というタイトルで選んだのがこの「最高殊勲婦人」です。
また若尾文子が主人公。今まで見た事が無かった方ですが、結構いろんな役が出来る方とお見受けしました、そういう意味で大変主役に座り心地が良い女優さんだと思います。
結婚披露宴パーティの挨拶に立つ男が、三原商事次男と、野々宮家次女の結婚を祝っています。しかも三原家3兄弟の長男は野々宮家3姉妹の長女と結婚していて、歴史は繰り返す、などと祝言を述べています。長女桃子は夫の弟三郎(川口浩)と、末の妹杏子(若尾文子)の結婚を画策しているのですが、杏子と三郎は反発して・・・というのが冒頭です。
なんだこのフジテレビのバブル期のドラマ感デジャヴュは・・・しかもあの頃のいわゆるトレンディドラマよりも、ずっとちゃんと演出されていて、お金と時間がかかってる!というのが第1印象です、ドラマが好きな人は観た方がいいです!コメディ女性向け恋愛結婚までドラマのお手本じゃないですか。
個人的には、80年代のバブルの頃のトレンディードラマの基になるるドラマと認識しましたが、男女の仲の様々な葛藤含んだ障害、その乗り越え方や演出方法など、この作品で既に出来上がっている、と感じました。
まず、役者さんの言葉では説明しない、ダメさ、尻に敷かれっぷり、ヒステリックな面、それこそ長男のぼんぼん感(私も長男なんで、いつも思うのですが、どうして3兄弟ものの長男は1番馬鹿なんでしょうね、3匹の子豚とか・・・)、ブルジョワの家の母のおっとり感など演技というよりもキャスティングの上手さが光ります。
中でも、終盤、失恋してロカビリーを唄う役者さんがいるんですが、多分この方は歌手を抜擢したんじゃないか?と思います。いや、調べてないんですけれど、そう感じました。
誰もが思う大団円的な落としどころに落ち着くにしても、その過程が重要で、その演出が大変細やかで丁寧です。無論、お金と時間をかけられる時期の、ドラマじゃなく映画の素晴らしさは充分に理解していますけれど、本当に上手い演出だと思います。
これ当時の女性の皆様には大変受けたんじゃないかな?
当時の街並みが、また大変興味深く見れますし、貴重な資料になりうるとも思います。
jazzとファンファーレのまじりあった大変簡単なアレンジですけれど、円環構造を持つこの映画の最初と最後の音楽も、とても良かったと思います。
ドラマとしての演出の丁寧さ、その落としどころへのスピード感、貯めるところは徹底的に貯め、そして一気に流す事でのカタストロフィを感じさせる演出は、上手いと感じました。
増村保造監督、これは腕アリ!と感じました。早速次の作品を観たいと思います。
女性の方に、そして日本のドラマが好きな方に、オススメ致します。
しかしこれ見ちゃうと、今のドラマの、ペラッペラ感はより感じられるんじゃ・・・