ヴァーツラフ・マルホウル監督 トランスフォーマー
モノトーンの映像美に惹かれて、劇場に足を運びました。事前情報は全く入れなかったので、なんの映画なのか?も知らなかったですが、これがより楽しめた気がします。
ですので、ネタバレ無しの感想にまとめさせていただきます。ただし、ポスターから分かる通り、大変ヘヴィーな映画である事は間違いないと思います。なんで映画で暗い子持ちにさせるんだ、という映画と言うジャンルにエンターテイメント性だけを求めている人には全く向かない作品ではありますが、アートというモノは人を傷つけて、見る前と見た後の人が変わってしまうモノである、という認識の人には強くオススメしたくなる作品です。まぁ少々盛り込み過ぎな感じは致しますが。
モノトーンの映像がとにかく美しいです。雄大な自然を様々な角度から映していますが、その光の輝きや漆黒の暗さ、どこまでも広がる雄大さ、細部に宿る神々しさを、大変ソリッドに取り込んでいて、本当に美しいです。
主演の子役の子供の表情、瞳が、異様なレベルで多弁です。実際この映画は言葉数が少ないのですが、それも意図されたモノだと思いますが、それもこの主演の子供の瞳の力強さと多弁な、感情豊かな瞳の表現があればこそ、だと思います。本当に素晴らしいです。
物語は何処までも普遍的な事柄を扱っています。それもよりキツイ面ばかりを、です。しかし目が逸らせない説得力があり、且つ、非常に寝覚めが悪いモノです。それを主演の子供がどう感じるのか?どう成長するのか?という部分含めて、恐ろしさが増します。
猫が好きな人には、不快に感じる場面もありますし、鼠が嫌いな人は見ない方が良い映画である事は断言できます。
ちょっと気になったのは、人間の暗部ばかりが数珠つなぎな部分ですね、ちょっと盛り込み過ぎな気はしますが、実際はもっと過酷で陰惨だったと思います。
モノトーンの美しい映像が好きな方に、オススメ致します。