増村保造監督 大映
増村保造監督なので、観ました。多分徐々に全作を追いかけると思います。
ただ、なんか、微妙に合わなかったと言うか・・・決して悪くない作品なんですけれど、凄く極限状態過ぎて、普遍性が無かったな、と。
微妙に中途半端な感じを受けたのです。それは増村保造監督の『日本のようなムラ社会における個人の自由を獲得し貫こうとする者の眩しさとその凄惨な結末』と言う意味では戦場だと光りにくい、と思ったからです。
天涯孤独な西(若尾文子)は看護婦として戦地に赴きます。そこはまさに地獄のような世界で・・・と言うのが冒頭です。
若尾文子は確かにエロく見ようと思えば見えます。また大変フェティッシュな、もっと言うと谷崎潤一郎的な作品になってはいますが、若尾文子に焦点が合っているのか、軍医にあっているのか、微妙な感覚になりました。軍医の個人的自由も、もう少し描ければ、もっと入り込めたような気がします。
脚本に増村保造が入っていないので、その辺も判断が難しいのですが、もう少しカタストロフィが欲しかった気がします。
また、確かに性的な不能は恐ろしいとは思いますが、西の全てを手に入れたいと言う欲望も、また私には恐ろしく感じまして・・・その辺でやや腰が引けてしまいました。
やはり極限状態では、人はより刹那的な生き物になる事なんでしょう。
エロいと思えばエロく見えますしが、私は結構なホラー作品に見えました。
増村保造監督や若尾文子が好きな方に、オススメ致します。
フェティッシュって響く人には凄く響くし、響かない人には、あんまりというか全然響かないのかも知れません。