吉田 恵輔監督 ハピネット
原作者の古谷実先生作品ですから、何かとギャグなんですけれど、かなり面白かったです。映画ですとコーエン兄弟監督作品が、クライムサスペンスコメディ、という作風を、映画界に持ち込んだ、と私の世代だと思ってますが、漫画でやってるのが、古谷実先生だと思います。ある種のブラックコメディ。
それを、名作「さんかく」の吉田恵輔監督が映画化しかも99分とかなりコンパクトにまとめています。吉田啓輔監督をすべて見ているわけではありませんが、「さんかく」は邦画史に残ってもオカシクナイ名作だと思ってます。ちょっと言い過ぎかな?でも、観てない人が多いけれど名作だと思います。凄く、男性性というものを、例えばハリウッドというアメリカナイズされた映画世界で男性性と言えばスコセッシ監督「タクシー・ドライバー」だと思いますが、日本の映画世界で言えば私は「さんかく」だと思うんです。それくらい普遍性があると思ってます。多分「タクシー・ドライバー」と「さんかく」を比較している人はいないと思いますけれど、私には男性性という単語で繋がってる映画。
タクシー・ドライバー の予告
さんかく 予告
アメリカと日本の違い・・・
W主演で、巻き込まれる方のダメ加減が絶妙で良いですね、この俳優さんは全然知らなかったですが、面白いです。すっごく普通の人に見えます。まばたきの演技がサイコーに良かった。しかし吉田恵輔監督が凄いと思うのは、もう1人の主役を軸にしているところです。
また、コメディ部分は全てムロツヨシさんが持っていきますが、納得の演技でこちらも良かったです。こういう人は多分これからもたくさんの映画で見かける事になるんだろうな。安定感がありますし、凄く良かったし笑えます。
が、その上をいくのが、森田くんです。
この人も全然知らなかった人ですが、とにかく虚無感のある眼の演技が凄い。何をしてもどうにもならない上に全てを諦めた人にしか宿らない瞳をしていて、マジでヤバい人にしか見えません。
皆さん高校生から大人まで演じ分けられていますが、森田くんは別格に演じ分けられてて素晴らしかったです。
それと、タイトルが出る瞬間が素晴らしく良かった。
普通の人は絶対に経験した事がない瞬間と、普通の人が皆経験しているが人に見せた事がない瞬間を、カットバックしながらクライマックスに進む演出は凶悪です。
邦画にアレルギーが無い全ての人に、オススメします。