パク・チャヌク監督 ファントム・フィルム
韓国映画で少し毛色の違う作品に手を出してみたくなったので。パク・チャヌク監督は「オールド・ボーイ」しか見ていませんけれど、凄く特徴のある監督さんだと思います。何となく、日本の監督だと園子温監督と似ている気がします。非常に煽情的で、少年漫画っぽい感覚があります。今作も私はそのような部分を覚えましたが、凄くお金がかかっている!!そして、漫画的な表現、ストーリィだとしても、お金がかかっていると、凄く上質に見えるのが、とても不思議です。
日本統治下の朝鮮半島、孤児として生まれ、犯罪に手を染めて生きるスッキ(キム・テリ)は藤原伯爵(ハ・ジョンウ)に雇われ、ある屋敷の侍女として忍び込む事になるのですが・・・というのが冒頭です。
原作があって、しかもイギリスの話しをアジアに置き換えています。これが面白いのですが、たどたどしくも、ちゃんとした日本語を話してくれます。しかし、ちょっと聞き取りにくい。恐らく何を意味しているのか?までは理解していないのではないか?と思います。なのでイントネーションとして聞き取りにくい、ように聞こえてしまうのではないか?と感じました。しかし、美術、衣装、セット、画面に映るあらゆるものにお金が、それもかなりの額、かかっています。これは非常に豪華な映画です。
しかもミステリ仕立てにもなっていますし、まぁある種の愛の話しにもなっていますし、それでもR18指定作品なのですが、まぁ万人に受け入れられる作品に仕上がっていると思います。少し倒錯した世界観ではありますけれど、人を惹きつける性的な表現を多分に含んでいますし。
かなり原作からは脚色された展開だと思います。
キャスティングが非常に良くて、何を考えているか分かりにくい閉ざされた世界に生きさせられているお嬢様をキム・ミリさんが演じているのですが、確かに何を考えているのか分かりにくい表情で、イイ演技だと思いました。そこに犯罪を犯して生計を立てているとは言え純朴な侍女スッキをまさに純朴そうに見える、といえば聞こえは良いでしょうけれど、どちらかと言えば純朴ではなく世間知らずな感じに見えるキム・テリさんが演じている事で説得力が増して感じました。このキャスティングが素晴らしかった。
そこに、まさに詐欺師、という感じの、あのナ・ホンジン監督作品「チェイサー」での連続殺人鬼役のハ・ジョンウさんが、非常に良かったです、はまっています。
ただ、園子音監督で言ったら何をやっても許される道具として使われている『キリスト教』に当たるのがパク・チャヌク監督で言えば「性的なモノ」なんだと思います。凄く人気のあるコンテンツだと思いますし、3大欲求に数えられますけれど(本当に余談ですけれど、私は人間の根源的欲求は4大欲求だと思っていて、食欲、睡眠欲、性欲、えばりたい欲、の4つだと思うのです・・・)、それが大変倒錯した世界観で、大仰に、展開するので、好きな人には響く作品だと思います。
最後の展開も、悪くないと感じました。しかし、すっごくお金かかってます、豪華です、それだけでも観る価値はあると思います。
韓国映画が好きな人にオススメ致します。