アッシュ・メイフェア監督 クレスト
初めて観るベトナム映画です。ベトナムが舞台になった映画はたくさん観ていると思いますが、ベトナム映画は観た事が無かったです。
注!めちゃくちゃ凄い映画ですが、女性にとっては大変厳しい、過去の現実であり、残念ながら今もそのままではないにしろ、残っている現実を扱っています。なので、かすかな救いしかない作品だと思います。しかしこれがデビュー作とは思えない深みがあります。
19世紀のベトナム。14歳のメイは富豪の男に第3夫人として嫁ぐのですが・・・というのが冒頭なんですけれど、ちょっとした地獄が待ってます。
私は男性ですので、女性の感覚が分かりません。人として、と言う意味では理解しようとしていますけれど、いろいろな場面で様々な人に指摘されてきましたし、多少の自覚もありますが、共感する、と言う意味が、正直なところよく分かりません。相手の気持ちになって、という意味である事は理解出来ていますけれど、私の想像する相手の気持ちを考えて、は大抵相手を困惑させたり、驚かせてしまったり、怒らせることになります。良かれと思ってい見ても伝わらない、違う意味で捉えられる事もありますし、実際に見当違いな事も多いと思います。コミュニケーションのスキルを上げたいけれど、人は勝手に解釈するものですし、こう解釈して欲しい、というのは、相手を思い通りにしたいという欲求、私の思い通りになって欲しいという傲慢だと思ったりします。そんな人間の感想ですので、女性の方は」読まなくても良いと思います。
非常に綺麗な景色や季節の変化を映しつつ、いわゆる人間の営み、を通しての人の開放をテーマとして扱う映画なんですけれど、非常にストレートな表現を」しますし、すっごく男尊女卑であり、しかし当時にとっては普通の、常識的な生活を扱っています。まずベトナムでも一夫多妻制度が行われていた、というのも知らなったです。その上、男児を生まないと正式な妻認定されないのも凄いですし、まぁ今から考えるとどう考えてもアウト、男尊女卑だけじゃない人のモノ扱いまで含めてヒドイ過去の日常を描いています。
ところどころで差し込まれる歌があるのですが、ここに字幕が出ないのが、すっごく気になります、多分大切な何かが謳われていると思うのに!それと、ベトナムの四季があるのか?全然分からなかったです、季節の移り変わりが自然描写で表されているんだろう、というのは理解出来ますけれど、雪は降らないし寒そうでもないし、暑そうでもないので、良く分からないのが残念。多分土地柄がワカラナイとその辺の描写も掴めなかったです。
嫁ぐ日からは始まる様々な出来事に、いちいち現代の感覚ですと、OUT!と表現したくなる様々な事が行われるのですが、当時の常識ではありますけれど、それって女性の我慢や忍耐や苦労があってこそなのだな、というのがちゃんとわかるようにしているので何とか見れますけれど、まぁ凄いです。わざわざシーツを表に晒したり、なんのこれは作業なのだ?と考えさせられます・・・・
常識って、すぐに更新されます。常識を疑わないのは、どうかと思います。
皆よく働くし、仕事は大変多いですし、蚕を飼育して生糸を生産しているのですが、とにかく、働くのは全部女性です。男性は4名出てくるのですが、メイの旦那、旦那の父であり当主であるおじいさん、メイの旦那の第1夫人の息子、そして下男、の下男は少しだけ働くのですが、それ以外は全く無生産性で、人間の3大欲求を満たしているシーンしか出てきません、そう撮っているんでしょうけれど、徹底していますし、本当にそうだったんでしょうね。
この蚕を使った暗喩が、私には非常に良い意味でキモチワルイと思いますね・・・どうしてこういうの思いつくんだろう・・・
最後の最後に、名作エレム・クリモフ監督「炎628」の最後をオマージュしたシーンが印象的でした。
過去の常識を再確認してみたい方にオススメ致します。