ロバート・エガース監督 A24
映画好きな友人にオススメしてもらい、DVDも借りたのですが、何しろ日本語字幕が無い海外のDVDだったので(お借りした方は英語が普通に使えます読み書き喋れる!)、しかも2人劇と聞くと、間違いなく会話劇なので、私の2歳時英語聞き取り能力では無理、と判断してお返ししましたが、ついに日本に翻訳字幕付きで上陸(2019年公開映画です)したので満を持して観てきました。
1890年代のニューイングランドの孤島にある灯台守りに1人の男(ロバート・パディンソン)がやってきます。年配であり先輩の男(ウィリアム・デフォー)があれこれと用事を言いつけ、それを守っているのですが・・・と言うのが冒頭です。
これは、確か以前観た映画にそっくりだなぁ、と思ったら同じ監督でした。「ウィッチ」という非常に先鋭的なプロテスタント教徒の一家が同じニューイングランドで暮らすのですが、と言う映画で、本当にそっくりです。前作「ウィッチ」は大家族だったのですが、今作は2人に絞って、より濃密な関係性を描いています。
本当に面白く観るのであれば、1890年代の1人として、この映画を観ている、と言う認識が必要だと思います。そうすると、本当に最高の映画体験が出来ます。
何を言ってもネタバレになってしまいますが、これは「ネジの回転」だと思っていただけたら、まず、間違いないです。同時期のヘンリー・ジェイムズの短編小説ですけれど、つまり、そういう話しの映画です。
純粋に、同時代の人間が観ている、と考えると、非常に恐ろしく、考えさせられ、現実が溶解していきます。寄る辺ない、といった感覚に陥る事が出来ます。
と、同時に、まだ、神や悪魔が存在していた時代とも言えます。生きている神や悪魔が居た時代です。
それを演技力の高い、しかも脂がのっているロバート・パディンソンとウィリアム・デフォーで演じてくれて、物凄い密度です。はっきりと狂気が画面に映っていました。特にロバート・パディンソンさんは、最初は私はサフディ兄弟監督作品の「グッド・タイム」という作品(の感想は こちら )で知りましたが、その後にあのクリストファー・ノーラン監督の超々お金のかかった「TENET」にも出演していますし、かなり旬な役者さんだと思います。もちろんウィリアム・デフォーの演技は、なんだか大御所のダニエル・デイ=ルイスのような重みを感じました、めちゃくちゃ様々な映画で演技を磨いてきた人の演技に見えましたね。
鑑賞後に、オススメして頂いた方とちょっとだけお話しする機会があり、その人が言った、「何人だったと思う?」は凄くこの映画を上手く表現出来ていると思います。虚実がないまぜになったこの映画で、私は2人の男の話し、と認識しました。もしかすると3人かも知れないし、1人かも知れないんですけれど。
そして教えていただいた、この映画の撮影について、です。出てくるある飲み物を、この2名は実際に、飲んでいます。その上で演技をしている。驚愕です・・・
1890年代の空気を嗅いでみたい方にオススメ致します。