井の頭歯科

「私は確信する」を観ました

2021年11月2日 (火) 08:19

アントワーヌ・ランボー監督       セテラ

そろそろ始めないと今年は間に合いそうもないので。

2021年見逃し後追い作品 その1

毎年、その年公開映画を36本は観て、私の個人的なベスト10を決めようと自分に課しているのですが、まぁ36本くらいが私の限界です。週に1本観られていれば52本は見られるでしょうけれど、ちょっと私には難しい。1ヵ月に3本の新作映画が見られるとなんとか達成できるくらいの感じです。ただ、Netflix、AmazonPrime、U-NEXT等の動画配信サービスのおかげで、かなり見やすくなりました。

そんな今年の1作目のわずか20分くらい見たところで、いきなり容疑者がヒッチコック映画狂の教授で「間違えられた男」の話し、とか言い出したので、先に「間違えられた男」を観る事になってしまいました・・・

2000年2月に実際に起こった事件を基にしたフィクションです。詳しい当時の事件について、どうしてもよく分からないのですが、とにかく実際の事件を基にはしているようです。

2000年に3人の子供を残して母親が失踪する事件が起こり、生死不明、その後夫が起訴されますが、証拠不十分で不起訴になります。その間9年の年月が流れましたが、検察は控訴する事になり・・・というのが冒頭です。

主人公は、失踪(?)した妻で被疑者の夫ジャック・ヴィギエの娘が家庭教師をしている子供の母親ノラです。はい、もうこの時点でよく分からないですよね?私も観ていて、似たような人が多く出てきますし、え、ヴィギエって誰だっけ?デュランデってどこから出てきたの?と大変困惑しました。登場人物が多い上に、誰が家族で、誰が検察で、という映画の観せ方が非常に上手くないんです・・・

登場人物の顔写真と相関関係図がHPにはありましたけれど、これを事前に観ておかないと、非常に、非常に分かりにくい。なので筋を追うとか、ディティールへの注意の払われ方がどうしてもおろそかになります。その上、さらに被疑者や新たな容疑者に纏わる周囲の人の会話の録音から、犯人や怪しい人へのアプローチをするのに、誰が誰だかワカラナイのは致命的だと思います・・・私の能力も低いですよ、それは充分承知の上で、この映画はそういう人への配慮が無い、と思いますし、良い方に解釈すると、ヴィギエ事件がいかにフランス国内では有名で、それぞれ似ている人がキャスティングされているんであろう、と思います。が、良くない解釈をさせていただけるのであれば、あくまで手抜き、その場の雰囲気重視の結果でしかないと思います。

ネタバレありでもう少し言いたい部分はありますが・・・

ただ、法廷モノって面白いですし、私はラストの弁護士の最終弁論を聞けただけで、これだけ文句を言いつつ、とりあえずは見て良かったとは思える映画だと思います。

法廷モノが好きな、割合ヒマな人にオススメします。

あ、ヒッチコック作品は観なくても全然問題ない作品だと思います、ほぼ関連性無し・・・なんだったんだ・・・

アテンションプリーズ!

ここからネタバレ有の感想です、出来れば鑑賞後に読んでいただけるとありがたいです。

主人公である、このノラさんがどうして、そこまで(職場の人間関係を崩し、息子との関係も崩し、職を失ってまで)、この事件にこだわっているのか?が全く分からなかったです・・・

ここがラストに明らかになって、驚愕、という事になるのかと思ったら、全然肩透かし・・・ すんごく異常な人に見えました。

だってこの人の、私は確信するって妄想レベルなんです・・・

確かに録音素材は、本物だと思いますし、記録された資料です。しかし、本人が誰しもが、絶対の真実を語っているか?そんな証明にはなりません。証拠としては全然弱いし、これは検察の捜査も同じように、証拠がひとつもない。 そりゃ妻の恋人はめちゃくちゃ怪しいですよ、当然。でも、この裁判の被疑者である夫だって同じなんです。それを、今の被疑者夫を救うのか愛してるのか何でここまでの執着があるのか全然理解出来ないし、分からないけれど、こちらには物的証拠が無くて無罪を勝ち取ろうというのに、浮気相手の場合は状況証拠で訴えようとする、このノラに全く乗れませんし、共感も同情も、もっと言えば何も感じないのです。

何となく邪推ですけれど、凄く有名な事件(あくまでフランス、もしくはヨーロッパでは、なんで・・・)で、脚本の基になった人は、膨大な録音を実際に聞いて、そこから妻の恋人が犯人であるという『状況証拠』だけで辻褄のつく理由を見つけたので、映画化!という流れなきがします。

うんざりします・・・だって被疑者夫と同じ人を作ろうとしているんですよ・・・

しかし、流石に弁護士は非常に良く分かっていて、最終弁論は大変素晴らしいモノでした。ココが聞けたのである程度満足。もし、この最終弁論がダメだった場合は、かなり悲しい結果になっていたと思います・・・ しかし、登場人物の紹介も、見せ方、順番も、何もかもちぐはぐな印象です、そりゃノラに自己投影してたら気持ちいいのかも知れないけれど、ノラは想像上の人物って言ってるんで、それが原作者だとでも言いたいのかな・・・

ノラさんや、あなたがいくらでも確信してくれていいけれど、それを他人に押し付けるのは止めましょう。

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