井の頭歯科

2021年の個人的映画ベスト10

2021年12月29日 (水) 09:26

2021年ももう終わりですね。段々と1年が短く感じられるようになります。

今年は全部で112本の映画を観ました、うち2つほどドラマがありましたが(全裸監督シーズン2とゴジラS.P<シンギュラ・ポイント>です)それぞれ1つの映画としてカウントしました。2021年日本公開映画は全部で42本なので過去作品を70本という事になります。でも劇場に行けた回数は僅か19本でした。映画館に行けないけれどある程度充実したのはU-NEXTさんのおかげです。今年最も記憶に残った事は、U-NEXTに加入した事だと思います。Netflixと比べてもかなり価値があり、自由度もある気がします。

今年公開映画で見逃してしまって後悔しているのは

「DUNE/砂の惑星」

「ルーブル美術館の夜 ダ・ヴィンチ没後500年」

「KCIA南山の部長たち」

「コレクティブ 国家の嘘」

「欲しがり奈々ちゃんひとくち、ちょうだい」

「JUNK HEAD」

「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」

「ベルーシ」

「ベイビーわるきゅーれ」

「最後の決闘裁判」

です。行きたかったけど行けなかった・・・この10作品は行こうと思っていたのに行けなかったので余計に悔しいです。

では今年観た42本の2021年日本公開映画の中の私的ベスト10です。

今年の私的10位   「ミッチェル家とマシンの反乱」   (の感想は こちら

ちゃんと笑えますし、ちゃんと面白いですし、でも、まだアメリカでは平均的な家族の形として、父母と子供2人なんだな、という事を感じさせる映画です。でもとにかくエンターテイメント作品です。私はエンターテイメント作品をそれほど好まない暗い性格ですけれど、それでも、ここまで突き抜けた感じは好きにならざるを得ないです。あとは猫原理主義者の私でも犬も好きになれます。

第9位   「Drive My Car」   (の感想は こちら

正直、確かに結末が楽しい話じゃありませんし、まぁ村上春樹さんの短編が原作ですから、なんとなく、分かりますよね。しかし、個人的には原作はチェーホフの「ワーニャ伯父さん」だと思います。そして長尺ですし、飽きる、という感想の方もいらっしゃるとは思いますけれど、製作している監督の演技の演出が、本作の肝になっている演劇として描かれていて、そのマジックが起こる瞬間を目の当たりに出来る、という点に於いて、評価が上がりました。今思いだしても濃密な時間。しかし、結末、それも映画で改変というか付け足された結末いりますかね?

第8位   「Don’t Look Up」   (の感想は こちら

凄く、凄く、お金をかけて、俳優も演出も真剣に、馬鹿な事をする。そういう作品です。ブラックなジョークばかりを積み重ねていますが、それでも、とても楽しいエンターテイメント作品。観終わった後はケロっと忘れてしまえるのがエンターテイメント作品の評価が個人的には下がるところです。それよりもずっと考えていたくなったり、誰かと映画について解釈の幅を話し合ったり出来る映画が好みなんですけれど、凄くそういう意味ではなくとも、面白くて思いだせる映画です。ジェニファー・ローレンスは損な役回りですけれど頑張ってて、最後にシャラメが美味しい所を全部持ってきます。ずるいけど許せる美貌。

第7位   「The Lighthouse」   (の感想は こちら

非常に優れた俳優2名の会話劇なんですけれど、本当におかしな作品です。製作者の意図は読み取れるんですけれど、それにしてもここまでやるか?というくらい凄い作品で製作の突き詰め方が異常です。それに出演しているウィリアム・デフォーとロバート・パディンソンの、演技の狂気がフィルムに焼き付いています。

第6位   「The Suicide Squad ”極”悪等、集結」

みんな大好きジェームズ・ガン監督作品なんで、まあ、外さないし、頭空っぽで大丈夫な作品です。

ネタバレ無しの感想としては、やっぱりジェームズ・ガンは上手いな、です。

前作から引き続きのキャストも頑張ってますし、今作からの人も素晴らしいです。ただ、私が名前を覚えられないだけ。

ハーレイとサメは分かるけど、リーダーの名前も忘れちゃったし、1番気に入った水玉さんに至っては良く分からないのに、気に入りました。暗そうで。

ちゃんと、お金をかけて、ちゃんと楽しませてくれる、上質な作品です。

また、ジェームズ・ガンの株が上がりますね。

あまり言いたい事が無い感じになってしまうのがエンターテイメント性に振り切った作品の特徴(私にとって)です。でも、残酷花びら描写は、」マシュー・ボーンの「キングスマン」が最初だと思いますし、キングスマンの方がよりキツくて個人的には好きです。

第5位   「あのこは貴族」   (の感想は こちら

恐らく、2021年の邦画の中で、とりあえず日本人で映画に興味がある人は全員観て!と言える作品はこちらだと思います。世の中には本当にたくさんの映画がありますけれど、めちゃくちゃ豊かな映画です。特に女性は観た方が良いです、この映画の主人公は門脇麦さんですが、石橋静河さん演じる相良逸子の存在は、ちょっと見た事が無い理想形でした。この人が主役の映画を作って欲しいくらいです。門脇麦さんはやはりかわいいですね。

第4位   「The Father」   (の感想は こちら

私にとってはアンソニー・ハンニバルレクター博士・ホプキンスなんですけれど、認知症という病についてを知る映画だと思います。流石にいかにレクター博士でも病には勝てないですよね・・・そういう意味ではACP(アドバンス・ケア・プランニング)の話しでもあると思います。1度しかお会いしてはいませんが、足立先生の講演を聞いてみたいなぁ。あ、「東京の生活史」も読まなくちゃ!

第3位   「Never Rarely Sometimes Always」   (の感想は こちら

この映画はまだ配信には来ていないと思いますが、とても好きな映画になりました。NYってすっごく煌びやかで、アッパーなイメージがありましたけれど、当たり前ですが、そこで生活している人もいて、毎日が輝いている訳ではなく、日常があるはずです。そのNYの日常を垣間見れる映画でもあります。私は女性では無いのでワカラナイのですが、妊娠って恐ろしいと思います。体の中で何かが成長しているって単純に恐ろしく怖いです。善き事でもあるんでしょうけれど。

第2位   「Promising Young Woman 」   (の感想は こちら

普通であればこの映画が№1です。脚本の粗は少し気になりはしますけれど、そしてラストをこの形にするにも異論はありますし、そんな事言ったらキャリー・マリガンは30には見えないとか、いろいろツッコミどころもあるにはあると思います。しかし、それ以上に、初監督作品でこの完成度、キャリー・マリガンの今までのキャラクターからの脱皮、映像的美しさ含めて観終わった瞬間から今年のベストだと思ってきました。何しろ映画として面白すぎます。劇場で観れて良かったです。

第1位   「由宇子の天秤」   (の感想は こちら

その「Promising Young Woman」を映画の密度、演技、脚本、美術、それぞれの完成度で抜いてきたのがこの「由宇子の天秤」です。私のパソコンでYU(=ゆ)と叩くと予測変換で由宇子の天秤と最初に上がってくるくらい、何度も考えさせられた作品です。春本監督は人としての格が私とは違い過ぎていて、本当に素晴らしいし、日本映画ダメじゃない!と強く思えた作品です。劇場できっとまたやると思いますし、何度も見てみたい作品です。

あと数日あるので、もう少し見れるかも、ですけれど、多分トップ5は変わらないと思います。

「音楽」を観ました

2021年12月28日 (火) 09:26

岩井澤健治監督     ロックンロールマウンテン

友人に劇押しされました「Netflixに今日入ったから、すぐ見て!」と。で、忙しい、大変忙しい中、一気に観てしまいました・・・

物凄く、カッコイイです。

坂本慎太郎さんに気がつかなかった、エンドロールで知りました・・・坂本慎太郎さん、本当にゆら帝でもソロでもカッコイイですけれど、まさか声をしていたとは!

初見で分かったのは竹中直人さんだけ・・・

しかも岡村ちゃん(←敬意をこめてます)!!!!!凄くびっくりです。

衝動の勝利。

音楽が好きな方にオススメ致します。

「Don’t Look Up」を観ました

2021年12月27日 (月) 09:42

アダム・マッケイ監督     Netflix
壮大な予算とめちゃくちゃ豪華な出演陣なのに、とんでもなく、すっ飛んだ感じで非常に面白いです。笑うに笑えないけど笑ってしまう展開ばかりで、これは日本だけじゃなく、凄い事になってるなぁと思う次第。
田舎の天文学者ミンディ博士(レオナルド・ディカプリオ)とその院生ディビアスキー(ジェニファー・ローレンス)は地球に急速に向かっている彗星を偶然発見してしまうのですが・・・というのが冒頭です。
凄くブラックな笑いですが、なんだか全面的に笑えない感覚があります。ワイドショーとか本当に要らないと思うけれど、ワイドショーが必要な人がいるから作られているわけで、世界は本当に不思議です。
細かなギャグが凄く面白いですし(著名な携帯開発者、アップルのジョブズ的な感じの人の登壇前にアナウンスで「禁止事項があります、目を合わせる、咳払い、不快な表情」と言ってて本当にオカシイ)、もちろん不謹慎な笑いが多いですけれど、不謹慎だからこそ、イイと思いました。
脚本は先が読める、という展開ですけれど、この映画の肝はそこではなく、演者が皆一応に、全員非常に楽しんでちょっとだけオーバーアクションで楽しんでいる、というのがこの映画の最も素晴らしい所だと思います。本当にめちゃくちゃに楽しんでます。
特に、レオナルド・ディカプリオが最高に笑わせてくれます。これは「Once Upon a Time in… Hollywood」のオマージュか?というトイレのシーンがサイコーでした。ここに損な役回りではありますがシリアス一辺倒のジェニファー・ローレンスが対比を効かせてくれますし、悪ノリで言えば間違いなく1番悪ノリしているのはケイト・ブランシェットですね。
そして7今作でも、ティモシー・シャラメはいい役ですが、それも納得の顔。


ジョナ・ヒルももちろんいい味ですし、大統領がメリル・ストリープなんですけれど、絶対やり過ぎなのに、でも笑っちゃいます。



めちゃくちゃに豪華なお金がかかっていますし、綺麗な映像なのに、すっごく馬鹿で風刺が効いています。



役者の皆様がこの馬鹿映画(←褒めています)に全力で、しかもどちらかと言えばいい意味でオーバーアクションなので、そこも素晴らしいです。



年末のお祭り騒ぎにふさわしい作品。年末年始に何処にも行かない人にオススメ致します。

「Last Night In Soho」を観ました

2021年12月25日 (土) 08:58

エドガー・ライト監督     パルコ

「ベイビー・ドライバー」でオトナになってしまった(嬉しくもあり、ちょっぴりの寂しさもある)エドガー・ライト監督最新作なので、劇場に観に行きました。ギリギリ空いてる時間と重なったので。

エロイーズ(トーマシン・マッケンジー)はイングランドの田舎でファッションをロンドンで学ぶことを夢見ている学生で、60年代のロンドンの文化に惹かれています。そんなエロイーズの基に手紙が届き・・・というのが冒頭です。

まず、何と言っても映像美が非常に素晴らしく、同時に前作「ベイビー・ドライバー」で完成した音楽と動作の同期がさらに極まっています。そしてオトナになったエドガー・ライトの今作の主人公は女性になりました。ついにボンクラ→普通の人を経て、女性にまで来てしまったエドガー・ライト監督、もう結構なフィルモグラフィですよね。嬉しくもあり、そしてやっぱり、ちょっぴり寂しい。

今作は主人公を女性にしなければならなかったし、そして今まで行ってきた、ジャンル映画のオマージュと言う意味では、ホラーとかサスペンス、もしくはアルジェントなんだと思います。ま、私はホラーもダリオ・アルジェントも詳しくないのですが、少し今作を観て、なんとなく、ホラーを好きだ、と公言している人の好みが理解出来たような気がします。

とにかく、主演の2名の俳優さんがどちらも素晴らしいです。何と言ってもトーマシン・マッケンジーの無垢さ(≒田舎者)とアニャ・テイラー=ジョイさんの妖艶(≒欲望に素直)の様々な対比が効いていて、本当に素晴らしかったです。ちょっと、そこまで着飾るとかショーアップに素直に乗れるアニャ・テイラー=ジョイさんの身体的含むオプティズムから醸し出される魅力は、個人的な好みでは無いにしろ、非常に煌びやかで、確かに魅力的です。同時にトーマシン・マッケンジーの無垢さが変容していく様の美しさ、憧憬への真っすぐさが余計に光るので、この組み合わせを、キャスティングした人、本当に凄いです。特に「ジョジョラビット」と「ウィッチ」を見ていたので、余計に素晴らしく成長を感じました。

この非常に今しかできない旬の2名の対比が、美しい音楽や踊りの中で、くるくると入れ替わる面白さは、ちょっと見た事が無い映像美だと思います。

また、美術も素晴らしくて、白いコートの美しさ、桃色のドレスの美しさ、確かに60年代っぽいと感じられますし、象徴的に扱われていて、大変面白かったです。

ただ、観ている時はアレ?程度で済んでいますし、それよりも話しの流れや映像に集中しているので気にならないのですが、ストーリィは結構めちゃくちゃな気がしますけれど、それは多分、ホラー作品というジャンル映画のお約束なんでしょう。だからここはしょうがない、のかも知れない・・・

ただ、人の夢を餌に、夢の裏にある現実を見せずに契約させた事にする、という手法の悪を見せるのであれば、もう少し現実パートのクラスメイト(含む指導先生も・・・)あたりの描き方にも、もう少し平易で安直にならない深みを感じさせて欲しかった。ココは本当にヒドイと言えると思います。もう少し脚本の段階で練れたはず。すっごく残念です。いつもこういう細かな部分まで、とても上手く説得力や変化を描いてきたのがエドガー・ライト作品だったわけで、それはサンプリングやオマージュ的に、先人への敬意が含まれる部分であり、だからかこその意味があったのに、そこを蔑ろにするのは、本当に残念。もしかすると、ホラー作品では当たり前なのかも知れませんけれど、だったらこのテーマを扱っていい事にならないので、本当に残念。

それと、何となく、なんですけれど、ホラー作品を好む人の中に、俳優の苦しむ所が観てみたい、という欲求があるんじゃないか?というのを気づかされました。これがちょっと個人的には苦手な感覚です。有名な話しですけれど、キューブリックの「シャイニング」で、シェリー・デュヴァルがジャック・ニコルソンに襲われる有名なシーンがありますけれど、より真に迫った演技を求め、127回もテイクを繰り返し、監督に怒られ続けた結果、監督への恐怖が、あの表情を生んだ、という話しですけれど、確かにこだわりと唯一無二な映像になっているとは思います、思いますが、役者の演技の限界を越えさせるのは、倫理的にどうなのかな?とも思ってしまいます・・・もちろん本当に忘れがたい素晴らしいシーンにはなっているとは思いますが。

しかし映像美は本当に素晴らしいですし、演者の美しさ、魅力が物凄く高い所で結晶化されたような作品です。

俳優の美しさに興味がある方、そしてエドガー・ライト監督作品が好きな方にオススメ致します。

「グリーンブック」を観ました

2021年12月24日 (金) 09:40

ピーター・ファレリー監督     ギャガ

特に何でかワカラナイけれど、映画を観るタイミングがピタリとはまる事があります。

今作を2021年12月15日に見れた事が、私にはピッタリでした。

トラブルも続いていて、同時に5~6件のヘヴィーな案件を抱えると、映画を観ようという気すら起こらなくなる事もあります、が、有るキッカケでNetflixで見る事にしました。

基本的に泣かせようとする作品は下品だと思うし、そもそも年を取ったから涙もろくなるなんてことはあまり無くて、どんどん醒めるようになる気がします、私の場合はですけれど。

ですが、本作は大変良かった。泣きはしないけれど、距離の詰め方は大変丁寧で、素晴らしかったし、主演者2名はどちらも素晴らしかったけれど、特にドクター・ドナルド・シャーリーを演じたマハーシャラ・アリの演技は凄みすら感じたし、これがあのヴィゴ・アラゴルン・モーテンセンだって?どうしてこんな体形に?とは思いましたが、大変良かったです。

取りあえず、今夜、もし、お酒が飲める状況なら、私はカティーサークが呑みたいです。

フライドチキンとかピザとかじゃなく、ストラヴィンスキーを聞きながらカティーサークが飲みたいのです。

ヘヴィーな案件をひととき忘れる事が出来た事に感謝です。

オススメしてくれた友人に感謝しています。

本日は異教徒のお祭りであるクリスマス・イブですね、あまり感謝の気持ちは湧かないのですけれど、そもそも神様という存在は人間が不条理の世の中で礼儀正しく振る舞う為に作られた存在だと信仰している私には関係ない、と思っていますけれど、「素晴らしき哉、人生!」(の感想は こちら )と同じようなクリスマス映画でした。クリスマスを祝う気持ちになれる映画を観たい方に、オススメ致します。

それでも、宗教にも文化の一面があり、そこは尊重出来るんですけれど、ね。

ブログカレンダー
2021年12月
« 11月   1月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
アーカイブ
ブログページトップへ
地図
ケータイサイト
井の頭歯科ドクターブログ