カーロ・ミラベラ=デイビス監督 クロックワークス
2021年見逃し後追い作品 その6
飲み込み、という行為に興味があるのは、仕事に少しだけ関わっているからで、でもなんだか避けてしまっていましたが、流石U-NEXTさんはもうラインナップに入っている!という事で観ました、2021年1月1日公開作品でした。
豪邸に住むハンター(ヘイリー・ベネット)は大変な資産家の息子の嫁として、この豪邸に暮らしています。しかし、夫リッチー、その父母との会話はどこか空疎で、生まれの違いを容赦なく感じさせられるのですが・・・というのが冒頭です。
まず映画の色彩感覚や画角の精緻さは物凄くイイです。豪邸や衣服、さらに食べ物やインテリアまで、物凄くお金がかけられていますし、脚本上必要なお金だと思いますし、その見せ方もセンスが良くて素晴らしいです。
役者陣も素晴らしくて、まず主演のヘイリー・ベネットさんは私は「ガール・オン・ザ・トレイン」でしか見た事が無いのですが、全然違った役柄を演じていて、その説得力も素晴らしいです。これは何と言いますか、化粧による部分もあるんだと思うんですけれど、個人的にはチークが効いていると、凄く素朴さ、もっと嫌な言い方になりますが出自を出す意味でも田舎っぽさ、朴訥さを感じてしまいます。でも、確かにそういう役柄だと思うので、頬紅でそれを感じてしまう私の問題なのか、監督や衣装の意図なのか判然としませんけれど、そういう感じがしましたし、強調されていると思います。
割合まんま坊ちゃんな旦那であるリッチーを演じているのはオースティン・ストウェルさんで、無難、と言いたくなりますけれど、そういう演技なんだと思います。まぁこの人のお父さんであるデビッド・ラッシュ演じる父の庇護のもとにいる、そういう人です。この父が非常に問題あると思うのですが・・・
ネタバレは無し、もちろん何も知らないで観る方が断然楽しめる作品です。ただ、私は脚本にちょっと問題あるような気がしますし、恐らく私はフェミニストでありたいと思っていても振る舞いとして足りない自覚出来ていない死角があると思いますし、もちろんフェアネスに重きを置きますが、だからと言って男女が同じではないですし、そもそも人と人は分かり合えないですし、それが普通で、分かり合えたら嬉しいのですけれど、でも、分かり合えないからこそ努力するし、言葉で説明する生き物だと思います。
色彩感覚豊かで画角の精緻さ、その意図まで非常に分かりやすく汲み取れますし、とても女性を扱った作品。だから私が良く分からない部分も多いのも当然だと思います。もっと言うと、凄く身体的に、如何ともしがたい、という事のメタファーなのかな?と感じました。
女性の人にオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ココからネタバレ有の感想ですので、未見の方はご遠慮ください。
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まず、順番としてこの映画を完成度上げる努力は素晴らしいし、実際に非常に素晴らしい作品にはなってはいます。主演含めて夫の父とかパワハラが骨の髄まで沁みついている存在(「金を出しているのは私だ、結果を出せ」って実生活でまず聞かない言葉だなと思うし最低)としてわかるし、このオヤジにしてこの子あり、なダメ旦那ってのも十分よく分かる。そこに従属はしているけれど、出来なくても出来るふりをしろ!という女は、まさにこの家の女として相応しいし、お似合いです。だから、この家族から逃れられてよかったね、自分の生き方は自分で決める、正しいし、その通りだし、文句ないです。うん。
でもさ、いろいろ気になるんですよ。夫にさ、少しは恋愛感情があったからこそ、このすべての状況が始まっているんじゃないんですか?その責任や、少しは夫と関係性を結ぼうという努力はしたのか?という点が非常に疑問です。家に入る前に、籍を入れる前にですよ・・・お付き合いしていた期間はあるでしょう?そして、家に入って豪華な家を買い与えられて、もちろん人間扱いしているとは思えないし、治るとも思わないんだけれど、少しは軌道修正しようとしたのか?という部分が凄く気になるんです。看護師は自らの職務を犯してまで、逃がす協力をしてくれているんですよ!!本当に、酷い扱いをこの後に受ける可能性が高いリスクを冒してまで、なんです。それをお前はしたのか!と問いたい。
確かにこの金持ち一家は下衆なんだけれど、その金の享受は受けて後から批判って随分な神経の持ち主ですねっていう感覚が拭えない。
身体性については、私にはワカラナイです、妊娠するという可能性は男である限り無いからそもそも考えが及ばないし、基本的には宗教極右派の望まない妊娠でも中絶は殺人には、非常に問題があるし、それは2重の意味で苦しめるわけで(望まない性行為を強いられ、上に、望まない子育てを強いられる)ってどれだけ被害者の意識を貶めるんだよ・・・自分の決定を最優先に守る事が自主という事だと思うし、他者との常に折衝が必要な世界なのに、女性というだけでここまで狂ってる主張が出せるのは、じゃ、その望まない性行為を行った相手へは経済的な負荷と罪や罰はどのくらいを想定しているのか?伺いたいです。恐らく無駄なんだけど生殖器の切除くらいは当然考慮されていらっしゃるんでしょうね?もちろんGPS付の監視が生涯続くくらいでないと釣り合わないしフェアじゃない。それでもこれは抑止にはつながらないから、その点についてもどう考えているのか知りたい・・・
異食症、実際にあるみたいですね・・・好意的に考えると、自分の身体を傷つける自傷行為の中に入るんでしょうけれど、自分の身体を自分で傷つけようとする行為に、自分の身体が自分のモノであるという尊厳を認識出来る行為である事は認められても、確かにそういう部分もあるとは思うけれど、もう少し他の方法は無かったのか?と思ってしまう・・・
凄く違和感ある・・・良く出来た映画だとは思うんだけれど、それって望んでこの家族の中に入ろうとした自分の生き方を自分で選んだ結果なんじゃ・・・
もちろん、生物学的父を許す必要は無いし、もっと早く解決すべき問題だったと思うんだけど。順番がめちゃくちゃな気がするんです。
あとは、やっぱ自分の排泄物を探るって本当に頭おかしいと思います、普通じゃない。